今回のコラムを書かせていただきました、みらくしょうあんです。
お菓子やパンを作るのが大好きで(時々お料理も)、素材の比較検討や食べ比べなど、いろいろな側面から検証することも大好きです。
ほんの少しでも皆さんのお役に立てたら嬉しいです。
スイスの銘菓・エンガディナー
ヌガーをからめた、たっぷりのくるみをクッキー生地で包み込んだボリューム満点のお菓子・エンガディナー。
日本でも洋菓子店で見かけることが増えましたが、元々はスイスのエンガディン地方の伝統菓子です。
今回は、エンガディナーの成り立ちや逸話をご紹介します。
エンガディナーってどんなお菓子?
日本ではエンガディナーと呼ばれることが多いのですが、現地ではヌストルテと呼ばれています。
このお菓子はいつ頃誕生したのでしょうか。
諸説ありますが、広く知られているエピソードをお伝えします。
時は200年ほど前。
当時、菓子職人が多かったエンガディン地方。フランスやイタリアに出稼ぎに行った彼らが、滞在先でくるみという食材に出会い、地元のバタークッキー生地にくるみを詰めてみたことから生まれたお菓子だそうです。
エンガディナーが生まれたエンガディン地方は寒い土地。日持ちのするクッキー生地で栄養価の高いクルミを包んだお菓子は、体内にエネルギーを蓄えておくにはぴったりですね。まさに生活に密着したお菓子として、受け継がれてきたのかもしれません。
ちなみに、エンガディナーと似たお菓子がフランスにもあるんです。スイスに近いフランスのドーフィネ地方にあるグルノーブルの伝統菓子で、ドフィノアと呼ばれています。
エンガディナーってどうやって作るの?
私が初めてこのお菓子の作り方を教えてもらったのは数年前。
香ばしいくるみにキャラメル味のヌガーをたっぷりからませて、クッキー生地で包み込んで焼いたこのお菓子はボリューム満点。でも一口食べるとまた一口、と止まらなくなりました。
以来このお菓子の大ファンとなり、プレゼント用などに繰り返し作っています。
個人的にはマンケ型で焼くのがすっきりとしていて好きですが、丸や細長い角のタルト型で作られているものも多いですね。
作り方は意外とシンプル!
- 型にクッキー生地を敷き込み、ふたにするクッキー生地を別にのばして、冷蔵庫で冷やしておきます。
- キャラメルヌガーを作って、くるみにからめます。
- 2がさめたら、冷やしておいた型にたっぷりと詰め込んで、クッキー生地でふたをし、表面に切り込み模様をつけて焼く。
作り方のステップはこれだけです。
好きな型でアレンジも
トヨ型でアレンジ。
小さなタルトレット型で作るのも可愛いでしょう。
切り込み模様(レイエ)には意味がある!
表面の切り込み模様(レイエ)は、ガレットデロアやハード系のパンなどにも見られますが、主として4種類あって、それぞれ縁起の良い意味があるそうです。
- 月桂樹(葉っぱ)は、勝利
- 太陽(渦巻き)は、生命力
- ひまわり(格子)は、栄光
- 麦の穂(矢羽)は、豊穣
私がよく作るのはマンケ型で格子模様。
タルト型の渦巻き模様も時々作ります。
まずは楽しんで作ってみませんか?
ブロガーさんやプロのシェフが作るエンガディナーのレシピが色々なサイトで紹介されているので、ぜひ皆さんも、自分好みの形や模様で作ってみてはいかがでしょうか。