バター・ショートニング・サラダ油の三種類を比較
一般的にパン作りに使う油脂は、バターやショートニングが使われる事が多いですね。
ではバターとショートニングの違いは?また、サラダ油を使うと!?
今回は、バター・ショートニング・サラダ油の3種類の油脂を使い、同配合のシンプルな丸パンで焼き上がりの比較をしようと思います。
パン作りでの油脂の役割について
油脂は、主にソフト系のパンに使われる事が多いですが、パンに風味やうま味をあたえ、クラムをソフトに食べやすくする働きがあります。
また、パンを作ったことがある方は感じるかと思いますが、油脂を入れると生地が伸びやすく滑らかになりますね。生地も扱いやすく感じると思います。
そして窯伸びやボリュームもよくなり、老化も遅くなるようです。
バター、ショートニングの共通点
今回の3種類の油脂の中で、バターとショートニングには共通点があります。
それは何でしょうか?
二つに共通しているのは、バター、ショートニング共に可塑性油脂(かそせいゆし)だというところです。
粘土のように形が変わり、戻らない性質を可塑性といいます。この性質があるため、パン生地中、もっといえばグルテンの中に油脂が形を変え入り込み、伸びのいい生地になるという事です。
その他にマーガリンなども同様に可塑性油脂といえますね。
一方、サラダ油は液状の油脂。
可塑性油脂ではないため、生地表面でツルツル滑り、なかなかグルテンの中に入り込めません。
実際に比較をしてみましょう
今回の丸パンレシピは私の公開しているレシピを使い、油脂だけをそれぞれ変えました。
パン作りの基本「まるパン」と「ちぎりパン」の詳しいレシピはこちら。
(※サラダ油については水と一緒に混ぜています。)
生地作り~成形について
今回は比較のため、こね・丸め・成形での生地の締め具合もできるだけ同じ力加減に♪
その中でサラダ油は水と一緒に入れるため、若干べとつきのある生地になりました。
焼き上がりはどうでしょう?
見た目はそれほど大きな違いはないでしょうか。
写真ではわかりにくいですが、サラダ油のボリュームが若干足りないといったところです。
食べてみると?
バター
今回、卵の配合はないのですが、クリームがかったクラムにおなじみのソフト系のパンらしいバター風味と食感です。
ショートニング
クラムは若干白いように見えますね。食感はバターとあまり大きく違いはないようですが、よりサックリ。
無味無臭の油脂だけに、とてもシンプルなパン。食事にも、サンドのどんなフィリングにも合いそうです。
サラダ油
膨らみがよくないせいか、ソフト感も少なく、ザクっとしたクラム。歯切れはいいのですが、少しパサついた食べ口です。
その差は焼きたてより少し時間が経つほど感じるようです。
それぞれの油脂はどんなパンに使用すると良いでしょうか?
バター
あえて言う必要もないくらいですね。
一般的に使われるように、定番でリッチなバター風味のソフトなパンを焼きたい時に。
ショートニング
素敵なバターの香りだけれど、時には風味が強すぎて、粉や発酵の風味・他の配合やフィリング・トッピングの味の邪魔になる事も…。
そんな時は無味無臭のショートニングを使用するといいですね。
サラダ油
膨らみをあまり必要としない歯切れのよいパンや、ピザなどに使用するのもいいですね。
※基本的に油脂は、ある程度グルテンがつながったところで生地に入れるのですが、液状油脂については前述のように生地に入りにくいため、水と一緒に配合します。
別の使い方としては、今回の趣旨とは違いますが、アレルギー等で乳製品が食べられない方に同じ液状油脂のオリーブオイルで作ったレシピを公開しています。
よかったらこちらも参考にしてみてください♪
「ヴィーガンポテトパン」の詳しいレシピはこちら。
油脂の種類、油脂の役割を考えながら
パンの材料。油脂の役割。そんな事を意識しながらのパン作り。
もちろん知らなくてもパンは焼けるけれど、知って焼くのと、知らないで焼くのでは、この先のパン焼きが変わってくるかもしれません。
何よりパン作りがちょっとだけ上手になった気持ちになりますよ♪