モルトパウダーを使って、パンを焼いてみよう
フランスパンなどのハード系パンのレシピで見かける「モルトパウダー」という材料。
どのようなもので、加えるとどんな効果があるのでしょうか。
今回は、モルトパウダーについて解説していきます。
モルトパウダーとは
モルトパウダーとは、発芽させた大麦(麦芽=モルト)を乾燥させ、粉砕・精製した粉末状のもの。
主に糖分を加えないハードパンや、糖分の添加が少ないパンを作るときに加えます。
モルトパウダーの3つの効果
パンにモルトパウダーを加えると、次のような効果が期待できます。
効果1.スムーズな発酵
モルトパウダーに含まれている「アミラーゼ」というでんぷん分解酵素が、小麦粉中のでんぷんを分解することにより、デキストリンや麦芽糖が生成されます。
フランスパンのような糖分を加えない(または少ない)生地では、この麦芽糖が酵母の栄養源となって、生地の発酵を安定した状態で促します。
効果2.焼き色と風味がアップ
パン生地の中に増えた麦芽糖は発酵にすべて使われず、残った麦芽糖が焼成の時にこんがりとした濃い焼き色を付け、香ばしさと風味のよさも引き出してくれます(メイラード反応)。
比較してみると、モルトパウダー入りのほうの焼き色が濃く、香ばしい香りが伝わってきそうですね。
効果3.生地ののびをよくする
モルトパウダーに含まれているタンパク質分解酵素のプロテアーゼや、アミラーゼがでんぷんを分解してできたデキストリンには、生地の伸展性や柔軟性をよくする効果があります。
比較してみると、モルトパウダー入りのほうの窯伸びがよく、ボリュームがあります。
モルトパウダーの使い方
使い方は簡単!モルトパウダーを小麦粉に直接混ぜるだけ。手軽に使えます。
使用する分量は、「cotta モルトパウダー」の場合、小麦粉に対して0.1~0.3%(フランスパン生地の場合0.05%)です。
なお、製品によって使用量が異なるので、パッケージの表示に従って加えてください。
また、入れすぎると生地のべたつきの原因に。少量ですが、きちんと計量するのがポイントです。
モルトパウダーの保存方法
直射日光、高温多湿を避けて冷暗所で保存します。水濡れや湿気にはじゅうぶん注意を。
おすすめの保存方法は、袋の口をクリップなどで閉じ、保存容器またはジッパー付きの保存バッグに入れます。
モルトパウダーとモルトシロップ(モルトエキス)の違い
モルトパウダー同じ役割をする製品に、モルトシロップがあります。
モルトパウダーは麦芽を乾燥させて粉末状にしたものなのに対し、モルトシロップ(モルトエキスともいう)は麦芽を煮出して抽出した麦芽糖の濃縮液で、水あめのような粘りのある液状です。
モルトシロップの使い方は、分量中の水の一部に溶かして使います。
加える分量は、小麦粉に対して0.3~0.5%が一般的。
保存は冷蔵庫がおすすめです。
モルトパウダーがなかったら、代用できるものはある?
モルトパウダーがない場合、代用できるものはあるのでしょうか?
モルトパウダーと全く同じ効果が得られるわけではないのですが、身近な材料では砂糖。
1~2%加えると焼き色の改善にはなると思います。
また、麹で代用することもあるようです。
ただし、生地の改善や焼き色の向上、風味のよさを得るためには、やはりモルトパウダー(またはモルトシロップ)を使うことをおすすめします。
モルトパウダーを使ったおすすめレシピ:ハードトースト
パリっと香ばしいフランスパンのような食パン「ハードトースト」。
モルトパウダーを加えることでお味はもちろん、窯伸びのよさとボリューム感がアップ。
材料(1斤型1台分)
- 準強力粉…250g
- インスタントドライイースト…2.5g
- モルトパウダー…0.7g
- 砂糖…2.5g
- 塩…5g
- 水…165g
- 無塩バター…5g
作り方
- ホームベーカリーなどのこね機に無塩バター以外の材料を入れて8~10分間、無塩バターを加えて7~8分間こねる。
- 27~28℃で60分間発酵。パンチをして、もう30分間発酵。
- 生地を2等分に分割して軽く丸め、20分間ベンチタイム。
- 成形。生地を丸め直し、オイルスプレーをした1斤型に入れる。
- 36~38℃で50~60分間最終発酵。
- 生地に霧吹きで水をかけ、250℃で予熱したオーブンの温度を210~220℃に下げ、約30分間焼成すれば出来上がり。
「ハードトースト」の詳しいレシピページはこちら。
モルトパウダーで本格パン作りを
イーストの働きを助けて発酵をスムーズにしたり、こんがりきれいな焼き色を付けたりする「モルトパウダー」。
おうちでのパン作りにも取り入れてみてはいかがでしょうか。
ご家庭で本格的な味わいを楽しんでみてくださいね。