ベーキングパウダーについて詳しく知ろう!
お菓子作りでよく使うベーキングパウダー。お菓子をふんわり膨らませるのに欠かせない製菓材料の一つです。
「そもそもベーキングパウダーってどんな役割?」「保存方法は?」「代用品はあるの?」などと気になったことはありませんか?
このコラムではベーキングパウダーに関する疑問について解説します。ベーキングパウダーの代用品アイデアもご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてくださいね。
ベーキングパウダーとは
ベーキングパウダーとは食品添加物の一種で、お菓子作りなどに用いられる膨張剤のこと。主に炭酸水素ナトリウム・酸性剤・コーンスターチ(遮断剤)からできています。
下記は「cotta オリジナル配合ベーキングパウダー(アルミ不使用)」の原材料です。
- 炭酸水素ナトリウム…30.0%
- グルコノデルタラクトン…22.0%(★)
- フマル酸一ナトリウム…10.5%(★)
- フマル酸…3.3%(★)
- 第一リン酸カルシウム…2.0%(★)
- 第二リン酸カルシウム…2.0%(★)
- d一リン酸カルシウム…2.0%(★)
- ステアリン酸カルシウム…0.5%(★)
- コーンスターチ…27.7%
★は「酸性剤」の役割を持つ成分です。
炭酸水素ナトリウム・酸性剤・コーンスターチそれぞれの働きについて解説します。
炭酸水素ナトリウム
膨らみの元となる材料です。
炭酸水素ナトリウムが水に溶けて加熱されることで、炭酸ガス(二酸化炭素)を発生させ、生地を膨らませます。
酸性剤
ガスの発生を調整する材料です。
炭酸水素ナトリウムと反応して炭酸ガスの発生を促すとともに、生地がアルカリ性になるのを防ぐ役割があります。
酸性剤の種類はさまざま。炭酸水素ナトリウムに作用する温度帯がそれぞれ異なるため、商品ごとに配合が工夫されています。
コーンスターチ(遮断剤)
炭酸水素ナトリウムと酸性剤が保存中に反応しないように、遮断する役割として入れられています。
ベーキングパウダーは水を加えたときと加熱したときに、炭酸水素ナトリウムと酸性剤の反応が起こり、炭酸ガスが発生します。
ベーキングパウダーの保存方法
ベーキングパウダーは常温保存。直射日光、高温多湿を避けましょう。保存をする上で特に注意すべき点は2つ。
注意点1.密閉保存をする
ベーキングパウダーは空気中の湿気(水分)と触れ合うと反応が始まってしまうので、密閉保存が必須です。
使用後は容器の蓋をきちんと閉めるように気をつけましょう。
注意点2.冷蔵・冷凍保存はしない
冷蔵庫や冷凍庫から出したときに温度差により結露ができてしまい、湿気の原因になります。
ベーキングパウダーは水分を吸うと反応が始まってしまうので、冷蔵・冷凍保存はしないでください。
まだ使える?ベーキングパウダーのチェック方法
未開封のベーキングパウダーの賞味期限は、製造日から1〜2年間(製品によります)。
開封後の使用目安は1~6カ月くらいといわれていますが、頻繁にお菓子を作らないとなかなか使いきれませんよね。
ベーキングパウダーは古くなると膨らませる力が落ちてきてしまいます。まだ使えるか不安なときは簡単にチェックできますよ。
<チェック方法>
小さじ1/2程度のベーキングパウダーに熱湯を100mlほど注いでみましょう。
泡が瞬間的にシュワッと勢いよく出てきたら、まだ使えます。5分間経過してもパチパチと泡の音が続きます。
古いベーキングパウダーは泡の勢いが弱く、泡が出たとしてもすぐにおさまってしまいます。お菓子作りに使っても炭酸ガスが少ししか発生しないので、生地があまり膨らみません。
重曹はベーキングパウダーの代わりになる?
ベーキングパウダーの代用で最初に思いつくのは、重曹(ベーキングソーダ)ですよね。
重曹は炭酸水素ナトリウムのみでできています。
加熱によって炭酸ガスを発生させるときに、アルカリ性である炭酸ナトリウムができます。そのため生地は重曹特有の苦味や黄色味を帯びた仕上がりに。
多く入れすぎると苦味が出てしまうため、ベーキングパウダーを使ったお菓子とは違う味わいになってしまう点にご注意ください。
ベーキングパウダーと重曹の違いについては、下記のコラムで詳しく検証されているのでご参照ください。
ベーキングパウダーの代用品5選
ベーキングパウダーの代用になるといわれているもの5種類でマフィンを焼成。それぞれ、ベーキングパウダーを使用したマフィンと比較してみました。
代用品1.重曹+レモン汁
酸性剤の役割としてレモン汁を使用しました。
アルカリ性の重曹と酸性のレモン汁を合わせることで化学反応が起こり、炭酸ガスを発生させます。
また、重曹の苦みを抑える効果も。
ベーキングパウダー小さじ1を重曹小さじ1/4+レモン汁小さじ1/2で置き換え。
結果
- 高さが出る。
- 断面の気泡の入り方はほぼ同じ。
- 食感は似ている。
- 重曹特有の香りや苦味はわずかに感じるが、気になるほどではない。
代用品2.重曹+ヨーグルト
酸性剤の役割として、酸性の食品であるヨーグルトを使用しました。
レモン汁と同様に重曹の苦みを抑える効果も期待できます。
ベーキングパウダー小さじ1を重曹小さじ1/4+ヨーグルト100gで置き換え。
*レシピ材料の水分(牛乳など)を減らして、水分量を調整する必要があります。
結果
- 高さが出る。
- 断面の気泡が少し大きい。
- ヨーグルト効果でしっとり。フワフワ感がある。
- 重曹の香りや苦味はほぼ感じない。ベーキングパウダーを使ったマフィンと食べ比べるとわかる程度。
代用品3.ドライイースト
ベーキングパウダー小さじ1をドライイースト小さじ1/4に置き換え。
発酵のため、生地を混ぜた後30分間おいてから焼きました。
結果
- ベーキングパウダーほどボリュームが出ない。
- 断面の気泡はあまりない。
- しっとりどっしり。ふんわり感はない。
*発酵の時間によっても差が出る可能性があります。
代用品4.メレンゲ
レシピ分量の卵を卵黄と卵白に分け、卵白を泡立てて使用しました。
*分量外の卵白は追加しないため、卵白を使わないレシピには使えません。
結果
- 高さはベーキングパウダーと同じくらいだが、表面は平ら。
- 焼き色は薄め。
- 断面の気泡はあまりない。
- きめが細かく、ケーキのような食感。やさしい味わい。
代用品5.ホットケーキミックス
ベーキングパウダーが含まれているホットケーキミックスを使えば、ベーキングパウダーがなくても大丈夫。
ホットケーキミックスを使用したレシピで作ると、失敗もなく安心です。
まとめ
代用品で作ったマフィンは、ベーキングパウダーを使用したものとは違う食感や味わいになるものの、どれもおいしく作ることができました。
お菓子によっては代用できないものもある(例えばスコーンにメレンゲは代用できない)ので注意してください。
ベーキングパウダーの代用に不向き!NGアイテム
ベーキングパウダーの代用品には向かない材料についてご紹介します。
コーンスターチ
ベーキングパウダーにコーンスターチが配合されていることが多いです。
ただし、コーンスターチは炭酸水素ナトリウムと酸性剤が反応しないように遮断する役割。コーンスターチ単体では膨らませる効果がないため、ベーキングパウダーの代用品にはなりません。
炭酸水
炭酸水に含まれている炭酸ガスでも膨らませることは可能です。
加熱とともに炭酸ガスを発生させて膨らむベーキングパウダーに対し、炭酸水は時間が経つにつれて炭酸ガスが消えていくのでご注意を!
生地を作って焼いているうちにどんどん炭酸ガスは消えていきます。ベーキングパウダーの代用になるほどの膨らませる効果はありません。
ベーキングパウダーの特性を理解した上で代用品を使おう
今回のコラムではベーキングパウダーの保存方法や、いざというときの代用品について詳しくご紹介しました。
ベーキングパウダーの特性を知り、きちんと保存することで「膨らまなかった!」という失敗がなくなります。
ベーキングパウダーがなかったときは焦らずに、ご紹介した代用品を参考にしてみてくださいね。