そういえばイーストってなんだろう?
去年の年末からパン作りがマイブームです。
手でこねて焼くパン作り。強力粉とイースト、塩と砂糖少しを混ぜ、水を加えてこねる。生地を暖かい場所で寝かせると「発酵」がすすんで、3~4倍にふくらんでいきます。粉と水を混ぜただけではもちろん膨らみません。イーストのおかげでふんわりとしたパンが食べられます。ありがとう、イースト。
ところで、皆さん「イースト」が何か知ってますか?
yeastは日本語にすると「酵母」です。酵母って何かというと「菌」の一つです。菌は、単細胞生物、つまりひとつの細胞が一つの体である小さなやつ。しかし、立派な生き物なのです。
では、なぜ、その小さな生き物が 粉と水でできたパン生地を膨らませるのか。つまるところ、「発酵」とは何なのでしょうか?
発酵は酵母の生きる力
イーストは生き物。人間と同じで生きています。つまりエサを食べてエネルギーを手に入れます。イーストは糖分からエネルギーを手に入れます。僕たちが、お米やパスタやパンなどの炭水化物を食べてエネルギーを得ているのと同じですね!炭水化物はたくさんの糖が手を繋いでできたものです。だから多糖と呼ばれたりします。
エネルギーは糖類が分解されたとき、バラバラになったときに手に入ります。そのため、酵母はエネルギーを得るため、生きるために糖を分解します。その分解されてバラバラになった部品が、アルコールや炭酸ガスなのです! パン生地の中で、糖が分解されて炭酸ガスが発生する。これがパンの膨らみの理由なのです。また、アルコールはパンに良い風味を与えてくれます。(アルコール分はパンを焼くときに飛ぶので大丈夫ですよ)
この微生物が分解によってエネルギーを得ることを「発酵」と呼びます。つまり、ふかふかのパンが食べられるのは、酵母の生きる力を利用しているのです。
イーストと温度の関係
パンを発酵させるときに温度を気にします。暖かいところで発酵を行いますよね。それは、イーストが活発に活動するように、過ごしやすい温度にしてあげるためなのです。寒いと活動が弱くなり、逆に温度が高いと発酵が進みません。これは酵母のもつ「酵素」が原因。酵素は寒いと活動が鈍くなり、高温だと壊れてしまって酵母が生きられません。
これって人間とおなじなんです。僕たちの身体の中にもたくさんの酵素があります。酵素のおかげで生きています。その酵素の多くは体温くらいが1番活発に働きます。発酵、つまりは酵母の生きている力をよくするために、その生きる上で欠かせない酵素が働きやすくするために、温度管理が重要なのです!
発酵と腐敗の違い、知ってる?
ところで、発酵と腐敗は同じ、ということは知ってますか?
どちらも酵母などの微生物がエサを食べて、分散してエネルギーを得ていることなのです。それを人間にとって有益か不利益かで、発酵と腐敗に分けているだけなのです!
微生物がモノを分解して炭酸ガスやアルコールを作ってくれたら、人間にとって有益!ふわふわのパンが作れて、ビールやワインや日本酒が飲める!だからそれを「発酵」と呼びます。
微生物がお肉を分解して嫌な匂いの物質を作り出すと、臭いし食べられない!それは人間にとって不利益だから「腐敗」なのです。でも、実はどちらも微生物が生きるための活動なのです!
天然酵母とドライイースト
酵母を手作りする、「天然酵母」ってありますよね。僕も作ったことがあります。果物などを砂糖と水と一緒に瓶に入れ置いておくと泡がブクブクしてくるやつ。
酵母は身の回りに存在していて、それを瓶の中で培養しているのです。要は、野良猫ならぬ、「野良酵母」を飼育して、繁殖させているのです!それが天然酵母。
天然酵母液は、瓶に入れた果物のフレーバーも合わさって独特の香りや風味を与えてくれるのです。上手くできないと、他の微生物も増えてしまうことがあるのでちょっと難しいですよね。僕も何度かカビ(これも小さな生き物)を生やしてしまった経験があります。でも、手作りに成功した嬉しさとあの天然酵母パンの美味しさは格別です。
一方、ドライイーストは 「酵母の優等生」を寄せ集められたもの。酵母のエリート集団なのです。だから、天然酵母だと半日以上かかってしまうような発酵も数時間、数分でできてしまうのです。
天然酵母もドライイーストも同じ「生き物」なのです。
最後に…
パン作りに欠かせない「発酵」は、酵母という小さな生き物によって支えられているのです!
お肉、お魚、野菜を頂くように、パンを食べるときには酵母という生き物にも感謝しなければいけないですね!