米粉パンミックスで手軽に作る
チョコスティックパン
とってもおいしくて簡単さが魅力の米粉パン。でも、普段パン作りに馴染みのない人にとっては米粉の選び方からその工程まで知らないことばかりの世界かもしれません。そこで、よりたくさんの人にもっと手軽に米粉パン作りを楽しんで欲しいと高橋ヒロさんが開発してくれたのが「焼くまで30分! 丸めて作る国産米粉ミックス」です。今回はこの米粉パンミックスを使ったチョコスティクパンを作りながらお話をうかがいました。
米粉のチョコスティックパン
レシピを見る子供のアレルギーをきっかけに
飛び込んだ米粉パンの世界
「ねえ、今日のパンはいつもよりおいしく感じるけれど、何か変えたの?」そんな鋭い感想をヒロさんに投げかけるのは、毎日のように手作りの米粉パンを食べている11歳になる息子・壮太郎くん。
「この子が小さいころに小麦粉を使ったパンを食べさせるとなんだか調子が悪くなることがあって。おいしくてアレルギーの出ないパンを食べさせてあげたいという気持ちから米粉の魅力にのめりこんでいきました」とヒロさん。
とはいえ当時はまだまだ存在が一般的ではなかった米粉。米粉パンが販売されてはいたものの、材料である「米粉」そのものが簡単に手に入るものではなかったそう。まずは素材を探すところから始め、それぞれの米粉の特徴を調べてはパンを作ってみるをひたすら繰り返して、よりおいしい米粉パンを研究する日々だったといいます。
米粉の良さに気づき、時代も少しずつ米粉ブームへ
「最初は小麦粉の代替として出会ったのですが、日々パンを作っていくうちに米粉だからこそのおいしさに気づいて。こねなくてよくて手順が楽だという新しい素材としての魅力もあり、さらにはまっていきました。地道に作り、レシピなどの情報を発信しているうちに、少しずつそして確実に世の中の米粉の認知度も上がってきたんですよね」
米粉が世の中に受け入れられ始めた手応えを感じると同時にヒロさんの元に届くようになったのが、この世界に初めて踏み込む人の戸惑いの声。
「ひとことに米粉といっても、品種・産地・製粉方法などによって成分が違い、それが仕上がりに大いに影響する特徴があるんです。だから新たに米粉パン作りを始めた人たちにレシピを紹介するだけでなく、そういった米粉パン独自のプラスアルファの情報や私の経験なども提案し続けてきました」
誰もが簡単にすぐ作れる米粉的「ホケミ」を目指して
米粉を手に入れやすい環境になりつつあり、米粉パンを作る人の裾野がぐんと広がっている今だからこそヒロさんが作りたいものがありました。それが「焼くまで30分! 丸めて作る国産米粉ミックス」です。
「これさえあればあとは最低限の材料で米粉パンが簡単にできる、そんな米粉界の【ホットケーキミックス】のようなものを目指して開発しました。米粉パンはこねる必要がなくて作業はとにかく楽。その代わり、失敗しない米粉を選んだり、成形するためにサイリウムハスクという材料が必要だったりする独特のハードルがあります。それは本当に小さなハードルだけど、それさえなくなってしまえば、もっと誰もがおいしい米粉パンを作れるんじゃないかと思ったんです」
ミックスナッツ入り丸パン
レシピを見る「この米粉パンミックスがあれば、丸パン、食パン、ピザなどさまざまなグルテンフリーの米粉パンがすぐに作れます。160gサイズのものなら、一袋で成形パンを4つ作るのにちょうどいい使い切りサイズにこだわりました」
計量が最小限。子供でも作れて、忙しい朝にもおすすめ
米粉パンの魅力は発酵時間が不要で短時間でパンができあがるところ。さらにこの米粉パンミックスを使うと、あとは水、油、ドライイーストの3つを計量するだけでいいので、忙しい朝やすぐにパンを食べたいときにさっと米粉パンができるのがポイントです。
「計量が最小限で済んで時間も手間もかかりません。余裕が生まれるから、こんなふうに子供とワイワイと作ることも楽しめます。今回ご紹介するチョコチップスティックパンのようにチョコチップを使ったり、甘みを足したりすれば菓子パンアレンジも簡単」
最初は壮太郎くんの健康のためにと作りはじめた米粉パン。今やヒロさんにとっても壮太郎くんにとっても生活に欠かせないアイテムに。そして米粉の専門家としてさらにヒロさんの想いは広がっています。
「米粉パンを作るハードルをグッと下げたこの米粉パンミックスを通して、〈米粉でパンを作るからおいしい!〉ということをもっと多くの人に届けられたらいいなと思っています」
次回は、yuka*cm(ユカセンチ)さんに、爽やかさと甘酸っぱさをアクセントにした、夏仕様のクランベリーフィナンシェのお話をうかがいます。
取材・文/田中 祐子 撮影/忽滑谷 なつみ
米粉専門家・フードコーディネーター・フードコンサルタント。米粉専門教室「hiro-cafe」主宰。子どもの食にまつわる体調不良をきかっけに米粉に出会い、レシピの研究開発をスタート。以来これまでに研究してきた米粉の種類は数百にものぼる。徹底した研究と、その研究に裏づけられたおうちで失敗しらずに作れる米粉を使ったレシピは信頼が厚く、ファンが多い。近著に『米粉100レシピ』(主婦と生活社)がある。