vol.22 ナッペ
"失敗"から学ぶ、成功する基本のお菓子
第22回目は、ショートケーキ作りには欠かせない「ナッペ」。
ナッペの上達には練習あるのみ。ポイントは生クリームの泡立て方とパレットナイフの持ち方、力の入れ具合です。
「生クリームがボソボソ」「生クリームが剥がれる」という失敗がないよう、いくつかのポイントをマスターしましょう。
vol.22 ナッペ
"失敗"から学ぶ、成功する基本のお菓子
第22回目は、ショートケーキ作りには欠かせない「ナッペ」。
ナッペの上達には練習あるのみ。ポイントは生クリームの泡立て方とパレットナイフの持ち方、力の入れ具合です。
「生クリームがボソボソ」「生クリームが剥がれる」という失敗がないよう、いくつかのポイントをマスターしましょう。
生クリームがボソボソ
・使用する生クリームの脂肪分が高い生クリームが剥がれる
・パレットナイフの持ち方、角度が違う【生クリームの選び方と失敗の原因】
生クリームは植物性よりも動物性を選ぶ。1.下塗り用の生クリーム(100g)とグラニュー糖(8g)を泡立てる
生クリームを入れたボールを氷水にあててハンドミキサーで泡立てる。写真のように、トロッとした状態がよい。【失敗の原因】
氷水にあてずに泡立てると生クリームが分離(ボソボソとなる)する原因に。夏場は予めボールを冷やしておくなど、常に冷えた状態を保つようにする。【ハンドミキサーの使い方Point】
生クリームはハンドミキサーで泡立てる際、写真上のように羽を斜め前に出して回すと生クリームが回りに飛び散るので注意。写真下のように、羽の角度を垂直気味に立てて回すと飛び散らない。2.回転台の上に底板を置き、その上にスポンジケーキをのせる
底板は底取れのケーキ型の底板を使用するか、金台紙を使用してもOK。3.生クリームの半量を上面にのせて平らにする
パレットナイフで全体に広げる。クリームが横にはみ出してもよい。パレットナイフは回転台と平行になるように時計の4時半くらいの位置(B)におき、左手で回転台を手前に回しながら1周する。【失敗の原因】
パレットナイフと回転台が平行になっていないと、中央が山なりになったり、逆にくぼんだりして平らにならない。上面をナッペしたら側面からみて平らになっているか確認する。4.生クリームを側面にぬる
残りの生クリームをパレットナイフの先にとり、スポンジケーキを生クリームで覆うイメージで、側面にたっぷりと塗る。左手で回転台を動かしながら、パレットナイフは常に時計の8時の位置(A)で塗る。ここではデコボコした状態でOK。【失敗の原因】
生クリームは次の工程で削るのを考慮し、ここではたっぷりと塗るだけ。この段階で表面を綺麗にしようとしてパレットを何度も動かすとボソボソの原因に。5.側面の余分な生クリームを削る
パレットナイフを回転台と垂直になるようにケーキの側面にあてて、常に時計の8時の位置(A)に固定する。左手で回転台を手前に回しながら余分な生クリームを削るとケーキ上面のフチの生クリームが盛り上がる。【失敗の原因】
パレットナイフが回転台と垂直になっていないと、ケーキが台形になったり、上が広がったりする原因に。またパレットナイフにかかる手の力が入り過ぎると、生クリームを削りすぎて、スポンジケーキの地肌が見えてしまう。地肌が見えてしまった場合は再度クリームを塗ってやり直しする。6.ケーキ上面のフチに盛り上がった生クリームを平らにする
パレットナイフをケーキと平行にして、盛り上がった生クリームを外側から内側にやさしくならすように動かす。時計の1時半くらいの位置(C)で作業するように、回転台を動かしながら行う。【失敗の原因】
パレットナイフが平行でないと、ケーキの角がシャープにならず、丸みをおびたケーキになる。ならした際にパレットナイフについた生クリームはその都度取り除くこと。7.底についた生クリームをとりのぞき、ケーキを冷蔵庫で冷やす
底板とケーキの間にパレットナイフの先を2~3cm差し込み、回転台を回して底板についた生クリームをとりのぞく。8.本塗り用の生クリーム(100g)とグラニュー糖(8g)を泡立てる
工程1を参照にして生クリームをハンドミキサーで泡立てる。【失敗の原因】
下塗り用の生クリームと本塗り用のクリームはその都度別々に泡立てる。同時に泡立てると、ケーキを冷蔵庫で冷やしている本塗りまでの間にクリームが分離したりボソボソになったりする原因となる。9.下塗りしたケーキを底板がついたまま回転台にのせて工程3~7を繰り返して、完成
ケーキを底板から外してお皿や金台紙に移す方法
パレットナイフを時計の4時半の位置(B)から、ケーキの中央よりも少し奥まで差し込む。パレットナイフを持ち上げる。時計の8時の位置(A)から左手を入れて「ハの字」を作り、ケーキを持ち上げる。基本のナッペを覚えたら、デコレーションケーキにチャレンジ。
<材料>
・スポンジケーキ 15cm1枚
・動物性生クリーム(脂肪分42%) 300g
・細目グラニュー糖 24g
<道具>
・ボウル
・ハンドミキサー
・ゴムへラ
・パレットナイフ
・回転台
・ルーラー10mm 4本
1.スポンジをスライスする
スポンジを横にスライスする。今回は高さ2cmを2枚にスライス。写真のようにルーラーを使用すると均等にスライスできる。2.サンド用と下塗りナッペ用の生クリーム(200g)とグラニュー糖(16g)を泡立てる
基本工程1を参照にして生クリームをハンドミキサーで泡立てる。3.回転台の上に底板を置き、その上にスポンジケーキをのせる
底板は底取れのケーキ型の底板を使用するか金台紙を使用してもOK。4.生クリーム50gを上面にのせて平らにする
基本工程3を参照にして生クリームを平らに伸ばす。5.いちごの上に生クリーム50gをのせて平らにする
パレットナイフで生クリームを全体に広げる。クリームが横にはみ出してもよい。6.もう1枚のスポンジを重ねる
スポンジを重ね、上から手のひらで押さえて平らにする。パレットナイフを回転台と垂直になるようにケーキの側面にあてて、常に時計の8時の位置(A)に固定しながら、横にはみ出した生クリームをパレットナイフで広げる。7.基本工程3~9を参考にし、基本工程3~7を参考にして下塗りナッペをする
8.本塗り用の生クリーム(100g)とグラニュー糖(8g)を泡立てる
基本工程1を参照にして生クリームをハンドミキサーで泡立てる。9.基本工程9を参考にして本塗りナッペする
10.上面にいちごを飾る
完成。
<材料>
・スポンジケーキココア 15cm1枚
・クーベルチュールチョコレート(スイーツ) 80g
・動物性生クリーム(脂肪分42%)A 60g
・動物性生クリーム(脂肪分42%)B 140g
・生クルミ 20g
・ヴァローナパールクラッカン 飾り用適量
・ココアパウダー 飾り用適量
<道具>
・ボウル
・ハンドミキサー
・泡立て器
・ゴムへラ
・パレットナイフ
・回転台
・ルーラー10mm 2本
・ルーラー5mm 2本
・デコレーションコウム
1.スポンジをスライスする
スポンジを横3枚にスライスする。(高さ1.5cm×3枚)2.チョコレートクリームを作る
ボールにチョコレートを入れて湯せんで溶かす。耐熱容器に生クリームAを入れて沸騰させ、チョコレートに加える。30秒ほどそのままおいてから泡だて器で中心から円を描くように混ぜる。3.回転台の上に底板を置き、その上にスポンジケーキをのせる
底板は底取れのケーキ型の底板を使用するか金台紙を使用してもOK。4.チョコレートクリーム40gを上面にのせて平らにする
基本工程3を参照にしてクリームを平らに伸ばす。ローストして砕いた胡桃を散らす。5.もう1枚のスポンジを重ねる
スポンジを重ね、上から手のひらで押さえて平らにする。パレットナイフを回転台と垂直になるようにケーキの側面にあてて、常に時計の8時の位置(A)に固定しながら、横にはみ出した生クリームをパレットナイフで広げる6.工程4、5を繰り返す
7.基本工程3~7を参考にしてナッペする
チョコレートケーキは下塗りなしですぐに本塗り。8.上面にコームで模様をつけて、ココアパウダー、パールクロッカンを飾る
完成。隈部美千代
東京・門前仲町にて、2006年7月より「贈るお菓子」をテーマとしたお菓子教室Sweet Ribbon主宰。お菓子作りを通して、手作りの楽しさや贈る喜び、優しい豊かな気持ちを伝えています。「ナッペ」失敗から学ぶ!成功するお菓子レシピ
© 2006 cotta Co., Ltd.