白米(精白米)より栄養価が高く、身体への様々なメリットが期待できると人気の「酵素玄米」。健康志向の芸能人も好んで食べているといわれる健康・美容フードです。
ところが、酵素玄米を「やめた方がよい」という意見や、実際に「食べるのをやめた」という声が少なからず聞かれるのは、一体なぜでしょうか。
この記事では、酵素玄米をやめた主な理由と、酵素玄米に期待できる健康効果、食べる際のポイントや注意点について詳しくご紹介します。
酵素玄米(別名:寝かせ玄米)とは
酵素玄米は、玄米を小豆と塩と一緒に炊き、約3日間、保温熟成させたものです。
炊き上がり後に寝かせることから「寝かせ玄米」とも呼ばれ、玄米特有のボソボソとした食感がなくなり、もち米のような弾力が出て食べやすいのが特徴です。また、旨味がアップし、消化もよくなります。
玄米は、白米と比べてたんぱく質やビタミンB群、ミネラル、食物繊維などが豊富です。
玄米を熟成させた酵素玄米は、アミノ酸やミネラル、食物繊維などの量がさらに増えるといわれています。
酵素玄米を「やめた」理由は?
いいこと尽くめに見える酵素玄米を、やめてしまう人がいるのはなぜでしょうか。
ここでは、酵素玄米をやめるに至る理由を幾つかご紹介します。理由を知ることで酵素玄米への理解が深まり、適切な取り入れ方のヒントが得られるはずです。
カロリーは白米と変わらない
酵素玄米100gあたりのカロリーは、メーカーや商品によっても異なりますが、およそ149〜182kcal程度です。
一方、炊いた白米100gのカロリーは156kcal(玄米100gは152kcal)で、酵素玄米とあまり差がありません。
そのため、健康によいからといって食べ過ぎてしまっては、カロリー過多となる可能性があります。
カロリーを減らす目的の方は、食べる量に注意する必要があります。
食べ辛く感じる人もいる
酵素玄米は、「甘みとモチモチ食感が美味しい」という声がある一方で、「独特の風味があって食べづらい」「一緒に食べる料理と相性がよくない場合がある」などの意見も聞かれます。
どれほどメリットが期待できても、美味しくないものを食べ続けてはストレスになります。
他の料理と組み合わせたり、アレンジしたりと、工夫しながら上手に取り入れることがおすすめです。
作るのに手間と時間がかかる
酵素玄米を作るには、最短でも3日程度かかります。
また、炊飯ジャーの中で保温・熟成させている間は、1日1回程度かき混ぜる必要があります。保温の間は当然、他の用途で炊飯ジャーを使うことができません。
手作りする際の手間と時間を省きたいという方は、割高となる可能性はあるものの、市販のレトルト品を活用するという選択肢もあります。
玄米は毒があるという話もある
玄米には、健康を害するといわれるフィチン酸・アブシジン酸という成分が含まれています。
フィチン酸はミネラルの吸収を妨げる可能性が指摘されてます。
しかし、食品によってその影響には差があり、バランスの良い食生活を心がけていれば、そこまで心配する必要がないとされています。
アブシジン酸は植物ホルモンの一つです。
毒性があり、病気のリスクが高まるといわれることがありますが、多くの植物に存在する成分で、現在、問題となる点は見られないという研究結果が出ています。
その他、玄米のぬかに含まれるヒ素による、健康への悪影響が指摘される場合がありますが、内閣府の食品安全委員会は、「バランスの良い食生活を送れば問題はない」としています。
下痢や便秘の要因になる事も
酵素玄米に含まれる食物繊維は、摂取し過ぎると下痢や便秘を助長することがあります。
ただし、酵素玄米だけで症状が引き起こされることはあまりなく、他の食べ物との組みあわせによる過剰摂取が原因の場合が多いようです。
リスクを少しでも減らすために、しっかり吸水させてふっくらと炊き上げることや、よく噛んで食べることを意識しましょう。
酵素玄米から得られる効果
ここからは、酵素玄米に期待できる身体へのメリットについてご紹介していきます。
食べるのをやめる人がいる一方で、酵素玄米には現代人に嬉しい多様な効果が期待できることもまた事実です。
GABAによるリラックス作用が期待できる
酵素玄米に含まれる「GABA(γ-アミノ酪酸)」には、ストレスを抑える働きや、睡眠の質を向上させる働き、血圧を下げる働きが期待できます。
いまや、ストレスは日本の社会課題であり、睡眠の質は疲労回復や免疫力の維持を左右する重要な要素となっています。
また、高血圧は、日本人の生活習慣病による死亡要因の一つとされており、食の面からも意識して改善していくことが必要です。
むくみ改善を助けてくれる
身体がむくんでしまう原因の一つは、塩分の過剰摂取などで体内にナトリウムが増え、身体がその濃度を下げるために水をため込んでしまうことです。
酵素玄米に豊富に含まれるカリウムには、ナトリウムの排出を促し、むくみを解消する効果が期待できます。
血糖値の上昇を抑制し、ダイエットにも役立つ
玄米のGI値(食後の血糖値の上昇度)は約55で、白米の約88に比べるとかなり低めです。
また、酵素玄米の原料である小豆には、血糖値上昇を抑制する効果があるポリフェノールが含まれています。
血糖値の上昇を緩やかに保つことは、体脂肪の蓄積を抑えることにつながり、ダイエットのサポート効果が見込めます。
酵素玄米を食べる際の注意や美味しく食べるコツ
酵素玄米は、長期間保温し続けると、表面が乾燥したり、べチャッと柔らかくなり過ぎたりするため、基本は4日程度、長くても10日以内で食べきることをおすすめします。
また、作りたての酵素玄米を冷凍すれば、風味を損ねることなく長期保存できます。
冷凍したものを食べる際は、蒸す、電子レンジで温める、そのまま料理に使うなどして加熱すると、炊きたてのような美味しさを再び楽しめます。
なお、炊飯ジャーでの保温中には、蓋を開けっ放しにしたり、清潔ではない食器などを中に入れたりすると、雑菌が繁殖し食中毒になる恐れがありますので注意してください。
酵素玄米を食べるかどうかは十分に調べたうえで決めよう!
今回は、酵素玄米の摂取をやめた主な理由についてご紹介しました。
酵素玄米をやめた理由の中には、考え方や工夫しだいで解決できるものがあります。
また、酵素玄米に期待できる健康・美容へのメリットは決して少なくありません。
酵素玄米を食べるか食べないかは、インターネットや他人の情報を鵜呑みにしたり、ある側面だけを見たりするのではなく、自身で十分に調べ、納得をした上で判断することが大切です。