シロップ作りがうまくいかない方へ
イタリアンメレンゲのシロップのように、砂糖と水を煮詰めていく際に気を付けたい、砂糖の「再結晶化」。
ただ煮詰めるだけなのにうまくできず、困ったことがある方、いらっしゃいませんか?
ちょっとしたことで起こってしまう砂糖の再結晶化について、ぜひ知っておいていただきたいことをまとめてみました。
シロップを作る際の再結晶化とは?
再結晶化とは、簡単にいうと「一度溶けた砂糖が再び結晶化する」こと。
左の画像は、砂糖がきれいに溶けて澄んだシロップ。
右の画像は、砂糖が再結晶化して白く濁り、シロップが固まり始めています。
一度再結晶化してしまったシロップは、元には戻りません。
どうして再結晶化するの?
砂糖と水をシロップにするために火にかけると、温度が上昇し沸騰。水分がどんどん蒸発していき、一定のところまで糖度が上がると、さらに温度も上がっていきます。
この状態でシロップに衝撃を与えると、砂糖が再結晶化する原因になるのです。
具体的には、
- 「核」となるようなものが混入する。
- 温度が急激に低下する。
- 激しく撹拌する。
など。
特にシロップの温度が113~115℃になると、最も再結晶化しやすいので注意が必要です。
シロップを煮詰めるときに気を付けること
どんなことに気を付けてシロップを煮詰めたらいいのか、確認していきましょう。
核を作らない
砂糖に注意
水と一緒に火にかけて砂糖は溶けているのに、なぜ砂糖によって核ができるのでしょう?
砂糖が水に溶けた液状のシロップだからこそ、沸騰した際に鍋肌に飛び散りやすくなります。
すると、飛び散ったシロップの水分だけが蒸発し、砂糖の粒が残るのです。
その砂糖の粒が煮詰めているシロップに混入すると、核となって再結晶化を起こしてしまう原因に。
画像で確認してみましょう。
飛び散ったシロップを放置すると、時間とともに鍋肌に砂糖の粒がどんどんできているのがわかります。
そのまま放置すると、何もせずとも砂糖が再結晶化を始めるのです。
これを防ぐ方法は二つ。
1.火加減に注意する
弱火にする必要はありませんが、あまりにも強い火で加熱すると、当然シロップの飛び散りは激しくなります(上の画像ではガンガンの強火で煮詰めました)。
2.はけで払う
もしシロップが鍋の周りにたくさん飛び散ってしまったときは、水で軽く湿らせたはけで払ってください。
温度計に注意
温度計をさしたり抜いたりする場合、温度計の周りに冷えて固まった砂糖は付いていませんか?
上で説明したように砂糖は核になってしまうので、必ず取り除いてからシロップにさし込んでくださいね。
他のものの混入に注意
他にも、核となりうるものにはいろいろあります。
シロップを煮詰めている横でふるっていた粉の粒子が混入…。これが原因となることも!
「何か」が混入しないように気を付けてくださいね。
急激に冷まさない
イタリアンメレンゲを作る際、卵白が泡立っていないのにシロップが出来上がってしまったとき。
火を止めて放置してしまうと、シロップの温度は下がります。
特に少量でシロップ作ると温度変化は大きくなるので、これが要因にならないとも限りません。
長く放置したり、温度の上げ下げを頻繁に起こしたりするような作り方は、やめたほうがよいでしょう。
また、シロップの量に対して鍋が大きすぎる場合も同様。
意図的に急冷することはないと思いますが、さまざまな要因で温度が下がってしまうことがあるのです。
撹拌しない
混ぜたくなりますよね(笑)。わかります。
でも、混ぜないでください!
鍋中央にたまった砂糖がなかなか溶けないの…。
そんなときは、沸騰前に混ぜておいてくださいね。
再結晶化しちゃった!どうする??
残念ながら、再結晶化が始まったものをイタリアンメレンゲに適したシロップに戻すことは不可能です。
そんなときは、そのまま加熱してカラメルにするのはいかがでしょう?
ただ、再結晶化が始まったときに慌てて撹拌すると、完全に固まってしまいます。
画像のようになってしまったものを溶かすのは難しいので、注意が必要。
再結晶化が始まったら、「触らずに」そのまま加熱し続けていれば、カラメルを作ることが可能です。
周りからだんだんと溶けて色付いてくるので、そうしたら少しずつ混ぜていきましょう。
好みの色になったらOK。
オーブンペーパーなどの上に、薄く流して固めてから割るか、粒状に落として固めるだけ。
手作りカラメルタブレットの完成です♪
乾燥剤を入れて密閉しておけば、プリンを作るときに使えますよ。
動画でおさらい
再結晶化を使ったお菓子
砂糖の再結晶化の仕組みは、いろんなお菓子に使われています。
最も身近なものは、ナッツの糖衣掛けではないでしょうか。
これはアーモンドを核として、砂糖を再結晶化をさせているんです♪
もちろん他のナッツでも♡
糖衣掛けにしたものをさらに煮詰めると、アーモンドキャラメリゼとなります。
フォンダンやザッハトルテのグラズールも、再結晶化を利用したもの♪
再結晶化は、煮詰め温度や撹拌の仕方で結晶の状態や大きさ(=口どけ)が変わってきます。
奥深いですね。
最後に
ちょっとしたことに気を配るだけで、悩みが解決することもあります!
うまくいかないなーという経験がおありの方は、ぜひポイントを押さえてトライしてみてください♪