卵黄を白っぽくなるまで混ぜるのはなぜ?
「卵黄に砂糖を加えて白っぽくなるまですり混ぜましょう」。
お菓子作りの工程で、誰もが目にしたことのある一文ではないでしょうか。
でも、これって何のため?
どこまでやればいいの?
今回はそんな疑問にお答えします!
卵黄が白っぽくなるってそもそもどんな意味?
卵黄に砂糖を加えて白っぽくなるまで混ぜることを製菓用語で「ブランシール= blanchir(仏)」といいます。
ブランシールは、もともと「白くする、白くなる」といった意味。
製菓では、卵黄に砂糖を加えてすり混ぜると濃い黄色から白っぽい黄色になることなどを表します。
卵黄に砂糖を加えてすり混ぜると白っぽく見えるのは、空気を含むため。
つまり、白っぽくするということは、気泡を含ませているということ。
卵黄だけではなかなか気泡を含みませんが、砂糖を加えると気泡を含みやすくなります。
ブランシールする理由とその加減
卵黄と砂糖をすり混ぜる理由は砂糖をしっかり溶かし、他の材料となじみやすくするため。
「白っぽくする=空気を含ませる」理由と混ぜ加減は、実は用途によって少し異なります。
別立て生地の場合
別立て生地の場合、その生地に必要な気泡をじゅうぶんに含ませるためにブランシールします。
レシピによってしっかり泡立てたり、砂糖が溶ければOKだったり。
ブランシールをどれだけするかによって、生地の質感や風味は変わります。
「白っぽくなるまですり混ぜる」以外の指示がなければ、白っぽくもったりと流れ落ちる写真の様な状態になれば良いでしょう。
よほど多くの気泡を含ませる場合でない限り、ハンドミキサーではなく泡立て器で大丈夫。
自信のない方はハンドミキサーでもいいですよ♪
カスタードクリームやアングレーズソースの場合
カスタードクリームやアングレーズソースの場合、卵が熱で固まってしまうのを抑えるためにブランシールします。
沸騰直前まで加熱した牛乳を加えるときに、気泡がクッションの役割をするので、卵の熱凝固を抑えるのです。
ただ、砂糖にも卵の熱凝固を抑える働きがあるので、多くの気泡を含ませる必要はありません。
気泡を含ませすぎると、鍋に戻して炊いていく際、表面がたっぷりの細かい気泡で覆われて炊きづらくなることも。
白っぽくもったりと流れ落ちる状態までブランシールしても問題ありませんが、砂糖が溶けて少しとろみが付けばじゅうぶんですよ♪
レシピに指示がある場合は、その指示にきちんと従ってくださいね。
ブランシールの状態が、出来上がりに影響することもあります。
ブランシールのポイント
砂糖をしっかり溶かすことができていれば、ブランシールが大きな失敗につながることはほとんどないと思います。
でもこの工程には、意外な落とし穴があるんです。
ブランシールのちょっとしたポイントを確認していきましょう。
1.砂糖を加えたらすぐ混ぜて!!
卵黄に砂糖を加えて混ぜずに置いておくと、吸湿性の良い砂糖が卵黄の水分を吸ってダマとなります。
このダマはなかなか溶けずに残るため、砂糖を加えたらすぐに混ぜてください。
写真でもわかるように、卵黄に触れた部分から砂糖がどんどん水分を吸っています。
こうなると、どれだけ混ぜてもダマが残ります。
卵黄に砂糖がなじむまで混ぜておけば、ダマが残る心配はありません。
何らかの理由で一度手を止める必要が出た場合でも、必ず卵黄と砂糖がなじむまでは混ぜておいてくださいね。
2.泡立て器はボウルの底に当ててぐるぐる回せば良し!!
メレンゲを立てるように泡立て器を浮かせる必要はありません。
「すり混ぜる」という言葉の通り、すりすり混ぜ合わせるほうが早いのです。
*卵黄の量が少ないときはボウルを傾けて、あまり広がらないように小さく左右に動かすと効率が良いですよ♪
3.ブランシールした後はゴムベラで周りをきれいに!!
ブランシール後に他の作業をするためにしばらく置いておくと、飛び散った部分が乾燥して固まってしまうことがあります。
ブランシール後は、ボウルの周りをゴムベラできれいにして、生地をひとまとめにしておきましょう。
動画でおさらい
理由がわかればすっきり!
今回は、卵黄を白っぽくなるまで混ぜる工程「ブランシール」について詳しくご説明しました。
「どうしてこれをするのかな?」と思いながら作業するのはちょっとすっきりしませんよね。
よく出てくる工程だからこそ、その意味を知って作業していただけたらうれしいです♡