スポンジ生地を型に入れるとき、気を付けていますか?
丁寧に作ったスポンジ生地。ところが焼成前の「型に生地を入れる」工程で台無しにしてしまうことがあるのをご存じですか?
実はスポンジ生地のレシピでは、このことについて書いていないことがほとんど。
今回はこの意外な落とし穴、「スポンジ生地を型に入れるときの注意点」について考えてみましょう。
生地を作る前に必ずすること
出来上がったらすぐにオーブンに入れなければならないスポンジ生地。
生地ができてからモタモタしないよう、予熱はもちろん、型準備も必ず先にしておきましょう!
ちなみに…型紙は、側面の帯状の紙を入れてから、底の紙を入れるのがポイント。
側面の紙が内側に入ってこないので、生地が流し込みやすいですよ♪
型に生地を入れる手順と注意点
生地が出来上がったら、準備しておいた型に入れます。
このとき、生地をより良い状態で型に移せるよう注意が必要。
触れば触るほど生地は傷むので、なるべく触る回数を少なく、気泡がつぶれないようにするのがポイントです。
画像を見ながら、順を追って確認していきましょう。
- まずボウルを手前に傾け、ゴムベラやカードを使って生地を手前に集める。
- 型の上、なるべく低い位置にボウルを構える。
- ボウルを傾けて、生地を流し入れる。
- 3でボウルの中に生地が残ってしまったら、集めて型の縁のほうに広げるように入れる。
- 4で入れた気泡のつぶれた生地は、ゴムベラなどで表面の生地となじませる。
- 型を10cm程度の高さから落とし、大きな気泡を抜く。
- 焼成。
*生地を手前に集めておくことによって、この後触る回数を減らします。
*高すぎる位置から生地を流し入れると、落ちる衝撃により生地が傷みます。
ボウルの奥から手前へ、ゴムベラやカードでやさしく生地を集めながら、軽く押し出すようなイメージで。
生地を型に入れ終えた時点で、ボウルの中に生地がほとんど残っていないのが理想です。
*自然に流れ落ちるのを待っているとボウルの内側に張り付いた生地は傷み、それを集める作業でもまた傷めてしまいます。
*このとき、ボウルの縁でゴムベラやカードを何度も払うのはNG。ボウルの縁で生地を払うたびに、生地の気泡はつぶれていきます。
気泡がつぶれた生地は火通りも悪く、目が詰まったかたい状態で焼き上がります。1か所にまとめるような入れ方や、火通りの遅い中央に入れるのは避けましょう。
*そのまま焼くよりも、目の詰まりを軽減できます。
*いつまでもやっていると必要な気泡まで抜けていくので、気を付けてくださいね。
注意すべきポイントに気を付けて生地を入れると、ふんわりきめ細かい焼き上がりに。
好ましくない状態を確認
上記の手順内で注意すべき点として挙げた内容をあえて行ってみます。
どのような状態になるのか、実際に確認してみましょう。
生地を手前に集めず、高い位置から自然に流れるのを待つと…
左の画像を見ると、ボウルに張り付いたまま引っ張られて流れる生地が悲鳴を上げていそう(涙)。
張り付いた生地を集めた右の画像では、気泡がつぶれた生地がたくさんできています。
ボウルの縁でゴムベラをはらうと…
最後に1回程度ならまだ良いのですが、何度も何度もボウルのふちでゴムベラの生地をはらうと、生地はどんどん傷んでいきます。
気泡が抜け、黄色い生地になっていますね。
気泡のつぶれた生地はたくさん作らないことが大切。あまりにもひどく気泡のつぶれた生地(濃い黄色い部分)は、型に入れないという選択もアリです。
つぶれた生地を型の中央にまとめて落としてしまうと…
つぶれた生地は比重が重いので、まとめて入れると沈みます。
右の画像は最後の空気抜きをしたところ。きちんと型入れできていないので大きな気泡がぼふっと上がり、生地の状態が悪くなっているのがわかります。
焼き上がりを確認
この生地の焼き上げてみると、つぶれた生地をまとめて入れた中央に亀裂が入ってしまいました。
かなり生地を傷めたので、断面のきめも粗く、目が詰まった所も多い印象。
底を見ると、中央付近に色の変わった部分があるのがわかりますか?これが最後に入れた黄色い生地が沈み、かたく焼き上がった部分です。
ポイントに気を付けて型に入れ、ふんわり焼き上がっていたスポンジ生地とは全く違いますよね。
生地が出来上がったときの比重はそろえていたのですが、型に入れる作業の良し悪しで、焼き上がりに大きな影響があることがわかります。
イメトレのすゝめ
スポンジ生地を型に入れる際には、細かなポイントがたくさんあります。
慣れれば自然とできる作業ですが、慣れないうちにこれらを一つずつ確認しながらやっていると、かなり時間がかかってしまうでしょう。
出来上がった生地の扱いには、「手早さ」も重要なポイント。
時間をかければかけるほど生地の状態も悪くなるので、前もってイメージトレーニングをしておくのはとても大切です。
まとめ
意外な落とし穴でもある、スポンジ生地を型に入れる作業。
丁寧に作った生地だからこそ、生地の状態をキープしたまま型入れして焼成していただきたい!
「なんとなくやってたな~」という方は、ぜひ意識しながらやってみてくださいね!!