脱酸素剤の効果を検証!
手作りしたお菓子をプレゼントするとき、できるだけおいしい状態で食べて欲しいですよね。
そのために使うのが、乾燥剤や脱酸素剤などの鮮度保持剤。
今回は、脱酸素剤について詳しく解説します。
「どんなお菓子に使うの?」
「どのサイズを使えばいいの?」
「入れたときと入れないときではどのくらい違うの?」
などなど。
皆さまが抱く疑問を解消します!
脱酸素剤とは
脱酸素剤とは、密封された袋の中の酸素を吸収し、酸化による食品の劣化やカビの発生を防ぐアイテム。
脱酸素剤はいろいろな種類があり、各メーカーによって名称や成分が異なります。
今回は、cottaさんで取り扱いのある「ウェルパック」をご紹介します。
成分
主原料である鉄粉に塩・水・天然鉱石(ゼオライト)を混ぜ合わせたもの
特徴
- 油脂やビタミン成分における酸化を防ぎ、変色を抑制
- カビの発生や繁殖を防止
- 害虫を死滅させる防虫効果
ウェルパックは白地にグレーの文字が入ったシンプルなデザイン。お菓子のラッピングを邪魔しないのでうれしいですよね。
脱酸素剤を使うお菓子
油分を多く含み、乾燥させてはいけないお菓子には脱酸素剤を使います。
マドレーヌ・フィナンシェ・パウンドケーキ・ブラウニー・マフィンなど。
スコーンやシフォンケーキなどにも使用できます。
ウェルパックの使い方
ウェルパックにはサイズがいろいろあり、お菓子の大きさによって選ぶことができます。
(袋の縦[cm]×横[cm]×高さ[cm]-お菓子の重さ[g])×0.21=◯◯
*「0.21」は、大気中酸素濃度
◯◯に入る数字と、商品名(「B-10S」「B-20S」など)の数字部分が近いものを選びます。
例えば、縦10×横8×高さ3cmの袋に、お菓子50gを入れる場合。
計算式は、(10×8×3-50)×0.21=39.9
ウェルパックのサイズはB-50Sを1つ、もしくはB-20Sを2つ入れるのがベストとなります。
いくつか例を挙げてみましょう。
【ミニマドレーヌ】
17gのミニマドレーヌを6.5×9.5(マチなし)のガス袋に入れる場合
(6.5×9.5-17)×0.21=9.39
B-10Sのウェルパック使用
【カットパウンドケーキ】
65gのカットしたパウンドケーキを8.5×13×2.5のガス袋に入れる場合
(8.5×13×2.5-65)×0.21=44.36
B-50Sのウェルパック使用
【パウンドケーキ1本】
520gのパウンドケーキを1本、9×25×6のガス袋に入れる場合
(9×25×6-520)×0.21=174
B-200Sのウェルパック使用
脱酸素剤を使う上での5つの注意点
脱酸素剤は、ただ入れておけばお菓子が長持ちするというわけではありません。
効力をきちんと発揮させるために、気をつけなければいけない5つの注意点をご紹介します。
1.ガス袋を使用する
脱酸素剤を使うときは、バリア性の高い袋を選ぶことが大事。
酸素が通過しやすい袋を使用すると、脱酸素剤がいくら袋内の酸素を吸っても外側から酸素が入り続けてしまいます。
必ず「ガス袋(酸素が透過しない処理を施した製品)」を使用してください。
「OPP袋」では空気を通してしまうので脱酸素剤の効果が期待できません。
2.シーラーを使用する
脱酸素剤は、シーラーで袋を完全に密閉しないと効果がありません。
シーラーをした後はきちんと密閉されているか確認を。
シーラーを使っても、袋の口が重なったりよれたりしているのはNG。
しっかり留まっておらず、隙間があいてしまっています。
また、シーラーで留める部分に粉や水、油が付いていると圧着が不完全な場合も。
3.脱酸素剤の状態をチェックする
一度開封した脱酸素剤は、空気を抜いてきちんと密封する必要があります。
50個パックや100個パックにはピンク色の酸素検知剤が入っているのでチェックを。紫色に変化していたら酸素が混入しています。効果が低下してしまうので、気をつけましょう。
袋内に水滴が付いたような状態の場合は、反応がかなり進んでいるサイン。ご使用をお控えください。
4.お菓子を冷ましてから入れる
お菓子の熱がきちんと取れる前に袋に入れると、蒸気がこもってカビの原因に。
きちんと冷ましてから袋に入れましょう。
5.衛生面に気を配る
脱酸素剤を入れても、不衛生な状態では細菌繁殖の原因に。
お菓子を作るとき・袋詰めするときは、食品用手袋を着用して作業すると安心です。
脱酸素剤の効果は?保存実験をしてみた
ガス袋に入れ、きちんと圧着することが重要な脱酸素材。
使い方によって効果に違いがあるのか、検証してみました。
比較する対象は下記3種。
3種とも、1月(22℃前後)の室温で保存。
a.脱酸素剤あり、ガス袋をシーラーできちんと密閉
b.脱酸素剤あり、ガス袋のシーラー留めが不十分(隙間あり)
c.脱酸素剤なし、ガス袋をシーラーできちんと密閉
マドレーヌ
左からa・b・cです。
10日後の様子
見た目に差はありませんが、味と食感には違いが出ました。
a…焼きたてに比べると少しかたくなっているが、しっとり感はある。
b…パサパサしていて、口の中でポロポロと崩れる。
c…少しパサつきを感じるが、bよりはしっとり感が残っている。
フルーツパウンドケーキ
左からa・b・cです。
10日後
見た目に差はありませんが、味と食感には違いが出ました。
a…フォークがすっと入り、やわらかい。しっとりしていておいしい。
b…フォークの入りがかたく、破片がポロポロと出てくる。パサパサしていてあまりおいしくない。
c…フォークはすっと入るが、破片が少し出る。パサつきを少し感じるが、しっとり感もまだ残っている。
マドレーヌよりもパウンドケーキのほうが、脱酸素剤の効果がよりわかりました。
まとめ
マドレーヌもパウンドケーキも、おいしさはa>c>bの順。
脱酸素剤を入れてきちんと密閉した状況だと、10日間経ってもおいしさを保てていました。
一方、脱酸素剤を入れても空気が入ってしまう状況では、お菓子の劣化はどんどん進んでしまう結果に。
脱酸素剤なしでもきちんと密閉されているほうが、酸化が進むのは遅いようです。
この結果から、お菓子のおいしさを長持ちさせるには、とにかく空気に触れないことが大事ということがわかりました。
脱酸素剤を入れれば大丈夫ということではなく、ガス袋+シーラーできちんと空気を遮断することが大事なのですね。
※※注意※※
脱酸素剤は使用状況によって保存期間が変わってきます。
使用前に日持ちの実験を行いましょう。
脱酸素剤をきちんと使って、お菓子をおいしく長持ちさせよう!
脱酸素剤は、なんとなく日持ちしそうだから入れておくというのではなく、正しい使用量や使い方を把握するのが大切。
きちんと使って、お菓子のおいしさを長持ちさせましょう!