寒い季節のパン作り
本格的に寒くなる季節。発酵という工程があるパン作りには、湿度を含め、とても影響のある季節です。
暖かい季節は室温でよかった発酵も、対応が必要になってきますね。
今日は、寒い季節の発酵方法を、パン作りで注意したい点も含めてご紹介したいと思います。
発酵器を使う
皆さんそれぞれのパン作りの中で、お持ちの道具は違うと思いますが、一番理想的なのは「発酵器(ホイロ)」を使う発酵です。
業務用が理想ですが、家庭用のものも売られていますので、環境やお好みに合った発酵器を選ぶのがいいかと思います。
注意したいところは、設定温度と実際の温度。場所によって温度が一定でないことも。
その場合、私は温度湿度計を入れて使用しています。
また、時々霧吹きをするなど、湿度についても様子を見ながらの対応が必要な場合もありますね。
オーブンの発酵機能を使う
私も、今はほぼオーブンの発酵機能を使用していますが、場所も取らず、一番手軽な方法ではないかと思います。
発酵機能がついているオーブンでも、1℃単位の設定ができないことも。
その場合は、一次発酵は25~30℃、二次発酵は35~40℃の温度帯を使用すると良いと思います。
発酵器同様、湿度については様子を見ながら、必要であれば霧吹きをしましょう。
欠点は予熱をする間、生地を出さないといけないこと。そのための調整が難しいところといえます。
ふた付きの発泡スチロールを使う
発泡スチロールに、生地を入れたボウルや天板と熱湯を入れたカップを入れ、ふたをします。
時々温度を見ながら熱湯を入れ替えてください。
「りんご」の発泡スチロールが大きくて使いやすいと思いますが、季節により手に入りにくいこともあります。
青果店やスーパーなどで聞いてみるといいですね。
ビニール袋を使う
一次発酵はボウルごと、二次発酵は型または生地を並べた天板ごと、熱湯を入れたカップと一緒に大きなビニール袋に入れ、袋の口をとじます。
発泡スチロール同様、時々温度を見ながら熱湯を入れ替えてください。
ビニールについた水滴が生地に移るのを防ぐため、一次発酵はボウルにシャワーキャップなどをかぶせ、二次発酵は大き目な袋の方がいいと思います。
私も随分以前になりますが、発泡スチロールやビニール袋でのパン作りを実際にやっていました。
温度湿度計を入れていても、温度管理と生地の見極めが、慣れないと少し難しいパン作りにはなります。
ですが、「パンは特別な道具がなくても焼ける」という良い経験になった時期でした。
その他にも、クーラーボックスなども使えそうです。
作業場所、生地温度にも気を付ける
とかく発酵温度ばかりに気を取られやすいパン作り。
でも、寒い季節は作業する場所・手・作業台・道具・粉や水などの材料、全ての温度が低いため、あっという間に生地が冷えてしまいます。
すると、いくら温度の高い発酵器に入れたとしても、生地の中心まで温まるのに時間がかかってしまうだけでなく、生地の外と中心までの発酵に大きな差が出てしまうことに。
必要であれば、「キッチンに暖房を置く」、「ぬるま湯を使用する」などの対応や、「こね上げ温度を測る」習慣をつけるといいと思います。
こね上げ温度は、言ってみれば発酵のスタート温度。
スタートが低ければ、それだけ一次発酵に時間がかかるということなんですね。
こね上げ温度は、一般的なソフト系のパンの目安としては「27℃前後」と覚えておくといいと思います。
ベンチタイムも発酵器に
乾燥させない状態で室温に置くことが多いベンチタイム。
ほんの10~15分間のベンチでも、寒いときは上記のいずれかの対応で、温度が下がらないようにしましょう。
寒い季節の失敗の原因
パン作りがレシピ通りにいかない大きな原因の一つは、「気温はいつでも一定ではないこと」。
特に寒い季節のパン作りの失敗は、とかく発酵不足が多いようです。
なぜなら、レシピ通りの発酵時間では発酵不足になってしまうから。
発酵不足をカバーするために過剰に温度を上げることもまた、生地温度にムラが出てしまい、上手にパンは焼けません。
レシピの発酵時間はあくまで目安として捉え、発酵の見極めはどうしても自分でする必要があります。
温度を大切にしたパン作りを
発酵の工程だけでなく、全ての作業に温度を意識したパン作りをすることが大きなポイントになります。
どうぞ寒い季節もおいしいパンを焼いてください。