溶かしたバターのいろいろ
お菓子・パン作りに欠かせないバターは、レシピによって扱い方が全く違ってくる商品です。
パイ生地には冷たいバター、パウンドケーキには常温に戻したバター、マドレーヌには溶かしたバターなど使い方はさまざま。
そして、「溶かしたバター」にも種類があることをご存じでしょうか?
今回は、溶かしたバターの違いについて詳しく解説。それぞれの特徴や用途を見ていきます。
まず、溶かしバター・焦がしバター・澄ましバターを見てみよう
「バターを溶かす」と一言でいっても、いろいろな溶かし方があります。
溶かしたバターの種類は主に、3つ。
画像の左から、溶かしバター・焦がしバター・澄ましバターです。
一目見て違いがわかりますよね。
溶かしバターとは
溶かしバターとは、ごく普通に溶かしただけのもの。
お菓子作りで使うバターの中では最もポピュラーで、一部を除き、大体のお菓子が溶かしバターで対応できます。
作り方
- レンジや湯せんでただ溶かすだけ。
*量が多い場合や熱めの溶かしバターを作りたいときは、小鍋で作る場合もあります。
溶かしバターがおすすめのレシピ
溶かしバターを使ったお菓子はたくさんありますが、おすすめは王道のマドレーヌ。全体量に対してバターがたっぷり入った、手土産にもぴったりな焼き菓子です。
「しっとりハニーマドレーヌ」の詳しいレシピページはこちら。
その他にも、ジェノワーズ・全卵で泡立てるバターケーキ・あらゆるお菓子の風味付け・しっとりさせる目的で入れるなど、使用する場面は非常に多いです。
焦がしバターとは
焦がしバターとは、バターが完全に溶けた後もさらに加熱を続けて褐色に色付くまで焦がしたもの。
バターの豊かな風味に香ばしさも加わり、主に焼き菓子に使われます。
作り方
- 用意した鍋にバターを入れ、中火で加熱します。
- 水分が蒸発している間はパチパチという音がしますが、次第に静かになり、表面にぶわーっと泡が上がります。
- 音が静かになると徐々に焦げていくので、好みの焦がし加減で火を止めます。
- 火から下ろしたらすぐに一度、鍋底を氷水につけるのがコツ。それ以上温度が上がらないので、焦がし過ぎる失敗なく仕上がりますよ。
焦がしバターがおすすめのレシピ
焦がしバターといったらフィナンシェが定番。
今回は、そのフィナンシェ生地にチョコチップを加えて焼き、真ん中にガナッシュを入れて仕上げる濃厚なティグレを作りました。
フランス語で「虎」という意味を持つこのお菓子は、生地に入ったチョコチップが虎模様に見えることからその名が付けられています。
「ティグレ」の詳しいレシピページはこちら。
その他、ヴィジタンディーヌというフランス菓子も焦がしバターを使って作られます。フィナンシェに似たお菓子ですが、卵白を泡立てて作ることにより、フィナンシェと違う食感になります。
澄ましバターとは
澄ましバターとは、溶かしバターを作った際に、上澄みのみ取り分けたもの。
名前の通り、作りたての澄ましバターは澄んでいてきれいなイエローです。
作り方
- レンジでバターを完全に溶かします。
温度が落ち着いたら冷蔵庫に移して、2層に分かれた状態で完全に固めます。 - 固まったら層に分かれた部分を包丁で切り分け、底と表面を包丁で少し削ります。
*他にもいろいろな作り方があります。
溶かしバターと澄ましバターの比較
バターを溶かしてそのまま放置しておくと、底に乳白色の液体が沈みます。その中には、乳脂肪以外の乳固形分(タンパク質など)が含まれていて、澄ましバターは乳固形分が取り除かれた、純粋な乳脂肪のみの部分。
下の画像は、違いがわかりやすいよう横から見てみたもの。
澄ましバターは通常のバターに比べ発煙点が高く、焦げないメリットがあります。通常バターは120℃程度で焦げてきますが、澄ましバターは250℃まで焦げません。
澄ましバターは普通のサラダ油のような感覚で使うことができ、なおかつバターの風味も付けられるので、料理に使われることが多いです。
澄ましバターがおすすめのレシピ
主にお肉やお野菜のソテーに使われることが多いですが、私がおすすめしたいのはオムレツ。発煙点の高い澄ましバターのおかげで、焦げずにバターの香りが広がるオムレツに仕上がります。
もちろん、お菓子作りにも溶かしバターと同じように使えます。
澄ましバターは常温で保存できるので便利。下準備の工程で型にバターを塗るときも、きれいに塗れます。焼きむらなく仕上げることができますよ。
違いを知って使いこなそう
今回は、溶かしバター・焦がしバター・澄ましバターの違いについて解説しました。
利用目的によって溶かし方が変わってくるバター。
時には溶かし方にこだわり、新しい味を求めてみるのも楽しいかもしれませんね。