基本のクリーム、クレームダマンド
タルトやパイで出番の多いクレームダマンド。順番に混ぜるだけの簡単なクリームとしてなじみのある方も多いのではないでしょうか。
確かにただ「混ぜるだけ」なのですが、「混ざればいい」わけではないんです!
今回はそんなクレームダマンドについて、詳しく解説します♪
クレームダマンドって何?
そもそもクレームダマンドって何?という方のために少しご説明しますね。
つづりは「Crème d‘amande」。これはフランス語。
「crème(クレーム)=クリーム」、「amande(アマンド)=アーモンド」のことで、アーモンドのクリームというわけです♪
バター・粉砂糖・卵・アーモンドパウダーを同量配合するレシピが基本。
この配合は、製菓用語で「四同割(よんどうわり)」と呼ばれています。
クレームダマンドは、この基本配合からさまざまなアレンジが可能なクリーム。
基本的に小麦粉は配合されませんが、焼き縮みを抑えたいときには薄力粉を少量(5~10%程度)加えることも。
薄力粉の割合が増えるほどに食感も変化していきます。
アーモンドとバターの風味豊かな、使用頻度の高いクリームの一つです。
どんなものに使う?
タルト生地に詰めて焼いた後、クリームやフルーツで仕上げてフルーツタルトに♪
また、フルーツと一緒にタルト生地に詰めて焼き込みタルトとしても。
洋梨のタルトやチェリーのタルト、栗のタルトなど、さまざまなタルトを作ることができます♪
もちろんパイ生地との組み合わせも!
そのまま詰めて焼いたり、カスタードクリームと合わせてガレット・デ・ロワに使用したりと幅広く使えます。
パンのフィリングとして使うのもおすすめです♪
基本のクレームダマンドの作り方
基本の四同割での作り方をご紹介します。
材料
- バター…30g
- 粉砂糖…30g
- 卵…30g
- アーモンドパウダー…30g
下準備
- バターと卵は常温に戻します。
- アーモンドパウダーは、ダマがあればザルでこしてください。
作り方
- バターを練って粉砂糖とすり混ぜます。
- しっかり溶きほぐした卵の半量を加えてよく混ぜ、乳化させます。
- アーモンドパウダーを加え、しっかりなじめば出来上がり。
- 表面に密着ラップをして冷蔵庫へ入れておきます。
*空気を含ませ過ぎないようにするのがポイント。
残っている卵のまた半量を加えて乳化させ、残りも同様にします。
*余分な空気を含ませてしまうと焼成時に大きく膨らんでしまうので、空気を含ませるような混ぜ方はしません。
*すぐに使わないときはラップやビニール袋で包んで冷凍も可。
冷え固まったクレームダマンドを使用するときは…
カードやゴムベラで表面から少しずつ削り取るようにすると、ダマを作らずにかたさを調整できます。
「基本のクレームダマンド」のレシピはこちら。
卵を混ぜるときのポイントなど、さらに詳しく書いています。
クレームダマンドを使ったおすすめレシピ
クレームダマンドとパイ生地のシンプルな組み合わせが最高においしいレシピをご紹介します♪
10cm角の冷凍パイシートでお手軽に♡
成形が楽しいですよ。
「冷凍パイシートで♪お手軽ジャルジー」のレシピはこちら。
おいしいクレームダマンドに大切なこと
アーモンドがメインのこのクリーム。仕上がりの風味は、もちろんアーモンドパウダーの品質に大きく左右されます。
ですが、ポイントはそれだけではありません。
作る上での大切な二つのポイントがあるのです。
1.乳化
大切なポイントの一つ目はバターと卵の乳化。
分離してしまっても、アーモンドパウダーを混ぜればなかったこと…にはならないんです。残念ながら。
もちろん分離の度合いにもよりますが、バターと卵をもろもろの状態まで分離させてしまったものでは、かなりの差があると思います。
出来上がりの状態も、分離したものは乳化したものに比べて生地が緩くなっています。
一度冷やしても、常温に出すとすぐやわらかくなってしまうので、作るお菓子によっては成形しづらく作業性が悪くなってしまうことが。
そして焼き上がり。
分離してしまったクレームダマンドは、とても脂っぽくなってしまうのです!!
これを目に見える状態にしてみましょう。
ミニマフィン型にグラシンを敷いて、クレームダマンドのみを焼いてみました。
型から外したクレームダマンドのグラシンに注目。
グラシンに脂が染み込んで、しわが寄っているのが分かりかりますか?
もっと分かりやすいのが型。
ダマンドを外した型には、脂がたまっていますね。
分離したものを食べてみると、口の中いっぱいに脂っぽさが広がります。
もしこれがタルトだったら?この脂は全てタルト生地に吸われることになるでしょう。
こう考えると、乳化したものと全然違いますよね。
2.焼成
ポイントの二つ目は焼成です。
焼きの浅いアーモンドと香ばしく焼いたアーモンド。どちらがおいしいかと聞けば、皆さん香ばしいアーモンドを選びますよね!!
それと一緒で、焼きの浅いクレームダマンドはおいしさ半減。
クレームダマンドを詰めたお菓子は焼成時間が長いのですが、指定の時間をしっかり守ってくださいね。
最後に
シンプルで簡単そうに見えるものほど、ちょっとしたことで変わります。
出番の多いクリームだけに、やはり一番おいしい状態で使っていただきたい!!
「あまり意識していなかった」という方は、ぜひ今回のコラムでお話したことを意識しながら作ってみてください。
そして、そのおいしさを味わってみてくださいね♡