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こね上げ温度とは?こね上げ温度の違うパンを比較してみた

date
2019/10/24
writer
みりんパン
category
パン作り

こね上げ温度を意識したパン作りをしてみよう

パンの仕上がりを左右するポイントに「こね上げ温度」があります。

今回はこね上げ温度とは何か、パン作りにどんな影響をもたらすのかについて考えていきます。

こね上げ温度とは

こね上げ温度とは、こね終えた直後の生地の温度のこと。生地の中心に温度計を差し込んで測ります。

こね上げ温度が重要なのは、パンを膨らませる役割を持つイーストが関係しているから。
イーストが活動しやすい温度は28~35℃。45℃前後から活動が鈍くなり、60℃以上になると死滅してしまうといわれています。

こね上げ温度が低すぎるとイーストの活動が鈍るため、レシピ通りの時間では発酵が進みません。逆に高すぎると、過発酵になることも。
こね上げ温度を意識することで、発酵や生地の状態を安定させることができるんですね。

パン屋さんでは材料の計量と同様に、材料の温度を測り、こね上げ温度を調整します。
それほど作業時間と仕上がりに影響するのが、こね上げ温度なのです。

生地の適正温度

こね上げの適正温度は、パンの種類によって変わります。

  • 一般的なパン生地…26~28℃
  • バターの割合が多いブリオッシュなどの生地…24℃程度(バターが溶けるのを防ぐため)
  • 低温長時間発酵を取るバゲットなどのハードパン生地…24℃前後

多少ずれてしまっても、±2℃くらいを目指しましょう。

仕込み水の計算方法

材料の中でも割合の多い水。生地を目標のこね上げ温度にするために、仕込み水の温度は最も重要。
*仕込み水は、イーストの活動を阻害してしまう45℃を超えないように注意が必要です。

ここでは、仕込み水の温度を求める計算式を説明していきます。
仕込み水の温度を求める計算式は、下記。

3×(こね上げ温度-摩擦係数)-粉温-室温=仕込み水の温度

*摩擦係数とは、こねによる摩擦で変化する温度のこと。
ミキサーなどの機械ごねは6~10℃、手ごねなら-5~3℃の間を目安に。
機械や手のひらの温度、こねる時間によっても変わってきます。

計算してみましょう

目標こね上げ温度…27℃

  • 摩擦係数(機械ごね)…6℃
  • 粉温…29℃
  • 室温…26℃

仕込み水を求める計算式に当てはめてみると、
3×(27-6)-29-26=8
となり、水温8℃の仕込み水を用意するとよい、ということになります。

こね上げ温度を調整する工夫

水だけではこね上げ温度の調整が難しいときは、水以外にも工夫が必要に。
有効な方法をご紹介します。

こね上げ温度を上げたいとき(冬場など作業環境の温度が低いとき)

  • 室温を暖かくしてこねる
  • 材料(粉類)を室温に戻す
  • 手ごねの際は手を温める
  • 機械ごねの場合はミキサーボウルを温める

こね上げ温度を下げたいとき(夏場など作業環境の温度が高いとき)

  • 室温を涼しくしてこねる
  • 材料(粉類)を冷やす
  • 手ごねの際は手を冷やす
  • *たたきごねをすることも有効

  • 機械ごねの場合はミキサーボウルを冷やす
  • ミキサーボウルに機械の熱が伝わってこもるのを防ぐため、ふたを開けてこねる
  • *生地が機械から飛び出る・機械が倒れるなどの危険があるので、目を離さないように注意

こね上げ温度がずれた場合の対処法

生地温度が適正よりも低い場合

  • 30℃くらいの暖かい場所で、レシピの指定時間より少し長めに発酵を取る。

生地温度が適正よりも高い場合

  • 28℃くらいの低めの温度で一次発酵を取り、レシピの時間より早めに切り上げる。
  • 生地の温度を下げる。
  • 生地の温度を下げるには、下記の方法がおすすめ。
    短時間で、少しだけですが温度を下げることができます。

    1. こね終えた生地を平らにして、ラップやビニール袋で包む。
    2. 冷蔵庫に入れて1~2分間ほどで取り出し、生地の温度が均一になるよう丸め直す。

    生地温度が高い場合の方が、味に影響が出やすいので注意が必要。
    過発酵になりやすく、パンの老化(劣化)も早くなります。

こね上げ温度がずれたパンはどうなる?

こね上げ温度が高くなってしまったパン生地を、レシピ通りに焼き上げるとどうなるのでしょうか。

こね上げ温度が「適正の28℃」と「適正より高い34℃」の生地で比較してみました。

条件

A…こね上げ温度28℃
B…こね上げ温度34℃

室温

28℃

こね

パンこね器(ニーダー)で10分間、油脂を加えて8分間

一次発酵

30℃で50分間

二次発酵

30℃で50分間

焼成

200℃で28分間

検証結果

こね終えた状態


AよりBの生地の方がやわらかい。
丸めると、Aには張りがあるのに対し、Bは緩んでいる。

一次発酵後の生地


Aは約2倍の大きさになり、Bは約3倍まで大きく膨らんでいる。

焼き上がり


Aはしっかり膨らんだが、Bは窯伸びしていない。
焼き色はAが少し濃い。

断面


Aはきめが整っている。
Bはきめが粗く、過発酵の特徴が表れている。

焼き戻したとき


同じ温度で焼き戻しても、色付きにかなり差が出た。

食感

Aはしっとりした口当たりでおいしい。
Bは少しパサついていて口に残り、イースト臭が強い感じする。

まとめ

こね上げ温度がずれたまま作業をすすめてしまうと、パンの焼き上がりに影響が出ることがわかりました。

こね上げ温度がずれた場合は、前述の「こね上げ温度がずれた場合の対処法」を参考に、発酵温度や時間を調整してくださいね。

こね上げ温度を意識してみよう


いかがでしたか?
こね上げ温度が少し変わるだけで、生地の状態・焼き上がりまでの時間・パンの仕上がりや味に少しずつ違いが表れます。

こね上げ温度を意識して、安定したパン作りを目指しましょう。

【おすすめの特集】パンのこねゼロから学ぶパンの「こね」の特集はこちら
date
2019/10/24
writer
みりんパン
category
パン作り
注:記事内容やレシピ・画像の転用・掲載などの二次利用はお断りしております。

フルタイムで働く合間、パン作りをするのが楽しみな主婦。焼き立てパンのおいしさを、より多くの方に知っていただけるとうれしいです。

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