手ごねパンがまとまらない…
パン作りで、パン生地がべたついてまとまらない!という困った経験をされた方は多いでしょう。
パン生地がべたつく原因はさまざま。
今回は、レシピ通りに作っているのに、パン生地がべたつく原因とその対策を解説します。
こね始めはべたついてOK
小麦粉に水を加えてこねると、グルテンが形成されます。
グルテンとは小麦などに含まれるタンパク質の一種。
このグルテンのおかげで、パン生地に弾力や粘りが出てパンの骨格が形成され、ふっくらしたパンになるのです。
こね始めはグルテンができていないので、べたついても心配する必要はありません。
しっかりこねることでグルテンが形成され、パン生地がつながって薄い膜ができ、次第に手から離れていきます。
パン生地がべたつく原因は?
どれだけこねても生地がべたべたしてまとまらない原因は、下記の五つに分類できます。
- 水分量
- 粉の種類
- 温度
- 副材料
- こね方
それぞれ詳しく見ていきましょう。
1. 水分量
仕込み水の量が多い
粉に対する水分は適切な量が決まっています。
適切な量を超えた水分は粉と結び付くことができないため、仕込み水の量が多すぎると生地はべたつきます。
湿度が高い
小麦粉は湿気を吸収しやすいため、湿度が高い時期はべたつきやすい生地に。
湿気を吸収した小麦粉はすでに水分を含んでいる状態。
そこにレシピ通りの量で仕込み水を入れると、適切な水分量を超えてしまいます。
2. 粉の種類
小麦粉の種類
強力粉よりもタンパク質の含有量が少ない、準強力粉(フランスパン粉)や薄力粉を配合した生地はべたつきやすくなります。
強力粉の種類による吸水率の違い
強力粉でも、種類によって吸水率(水をどれだけ吸収できるか)が違います。
吸水率の低い強力粉はべたつきやすい生地に。
一般的に外国産小麦は吸水率が高く、国産小麦は吸水率が低いといわれています。
3. 温度
冷水を使っている
グルテンは温度が低いと形成されにくいため、仕込み水に冷水を使うとべたつきます。
こね上げ温度が高い
生地のこね上げ温度は24~30℃が目安。
こねているときやこね上がったときに、生地の温度が高すぎるとべたつきます。
生地の温度が高いと、形成されたグルテンが壊れてしまうからです。
4. 副材料
塩の入れ忘れ
グルテンを強固にする性質を持つ塩。
塩を入れ忘れると生地が引き締まらずべたつきます。
油脂が多い・油脂が全く入らない
油脂がグルテンの形成を阻害するため、バターなどを多く混ぜ込む場合はべたつきやすい生地に。
油脂入りの生地は、こね上がれば伸びやかな生地になるのでしっかりこねましょう。
逆に、油脂が全く入らないパンもべたつきやすくなります。
5. こね方
こね方が悪くグルテンが不足していると、いつまでもべたべたとしてまとまりません。
手先だけを使うのではなく、手のひら全体で体重をかけてしっかりこね、グルテンを形成することが重要です。
パン生地をべたつかせないための対策
パン生地のべたつきは、「仕込み水」と「こね方」を工夫することで対策できます。
これらの対策方法を詳しく見ていきましょう。
仕込み水
仕込み水を少なくして後から調整する
湿度が高いときや国産小麦を使うときなどはべたつきやすいので、あらかじめ仕込み水を少なめに。
生地がかたければ、後から水分を足します。
夏は仕込み水を常温にする
発酵を促すために、仕込み水は人肌程度に温めることが基本。
しかし気温が高い夏は手の温度や摩擦熱もあり、パン生地の温度が高くなりがち。
夏は仕込み水を温めず常温にして、こね上げ温度を調整します。
こね方
こね方を工夫する
生地をたたきつけるようにこねると、水分が抜けやすく生地が引き締まってまとまります。
押してこねるのではなく、何度もたたきつけるようにこねてみましょう。
生地を必要以上に触るとべたつくので、注意してくださいね。
手に付いた生地を落とす
手に生地が付いたままこねると、そこに別の生地が付いていつまでもべたべたします。
手に付いた生地をスケッパーなどで全て落としてからこねてみましょう。
薄手の手袋を付けると、生地が手にくっつきにくくこねやすくなりますよ。
それでもべたつく場合は…
それでもべたついてどうしようもない場合は、最終手段として少しずつ粉を足します。
粉を足しすぎると配合が変わってかたいパンになってしまうことがあるので、注意が必要です。
パンの種類による水分量の違い
そもそも、パンの種類によって加水率(粉に対して何%の水分を加えるか)は違います。
一般的なパンの加水率は60〜65%。
しかし、バゲットやリュスティックなどのハードパンの加水率は70〜80%。当然べたつきます。
こうしたパンはヘラで混ぜてあまりこねず、ゆっくり発酵させて生地をつないでいきます。
またベーグルなどのように加水率55%前後のパンもあります。水分が少ない生地はとてもかたく、こねにくいもの。だからといって水分を足してしまうと食感が変わってしまいます。
パンの種類によって水分量が異なり、こねにくい配合のパンもあるということなんですね!
「べたつくから」、「こねにくいから」といって、何でもかんでも水分や粉を足さないようにしましょう。
動画でおさらい
パンは生き物。条件によって工夫して
今回は、パンがべたつく原因と対策をご紹介しました。
パンは生き物。
いろいろな条件によって生地の状態が変わるので、見極めることが重要です。
生地がべたつくときは、参考にしてくださいね。