パン作りに欠かせない作業「丸め」
パン作りで避けて通れない作業のひとつに、パン生地の「丸め」があります。
今回は、パン成形の基本中の基本ともいえる「丸め」の方法をおさらいしてみましょう。
意外と多い丸め作業
パン作りの中で、丸めを行う回数は意外と多いもの。
こね上がった生地を丸めてボウルにおさめて、一次発酵。一次発酵が終わった生地を分割して丸めて、二次発酵。
最もシンプルな丸パンでも、丸める工程が2回。
そして、生地を6個に分割したなら6個分、8個に分割したなら8個分の丸めが待っています。
また、同じ丸パンでも、分割・丸め・ベンチタイムを取って、もう一度丸めなおすといったレシピも珍しくありません。
初心者さんにもおすすめ 基本の丸め方
パン生地の丸め方にはいつくかの方法があります。
まずは初心者さんにもおすすめの方法をご紹介しましょう。
基本の丸め方
- 生地の断面が表面に出ないよう、内側に折り込みます。
- 生地を丸めていきます(便宜上、右利きの場合を例に説明します)。
- 2の作業を数回繰り返し、丸く形を整えながら、生地の表面がぴんと張るようにします。
- パン生地を裏返し、生地が集まっている部分をつまんでとじます。
*カットした生地には断面があります。断面はべたつくので、そこに手が触れるとうまく丸められません。
まずは断面が手に触れないように折り畳んでから、丸めの作業に入ります。
折り畳んだ生地を左手の手のひらにのせ、右手の小指側の側面(手首に近いほう)を生地に当てます。
右手を手前に引きながら生地の表面を下へと送りこみます。
右手を手前に引くと同時に、左手の親指の下のふくらみ(母指球)で、パン生地の反対側の表面を下へと送り込みます。
*きつく丸めすぎないように注意。中はふわりと、表面だけがぴんと張った状態がベストです。
スピードアップも!パン屋さんも行っている丸め方
もうひとつのやり方は、台の上で丸める方法。
パン屋さんで見かける丸め方で、作業が大幅にスピードアップします。
パン職人さんは、パン生地を左右の手で1個ずつ同時に操ります。分割された生地をパタンと一度折り畳み、ぐるぐるぐると3、4回台にこすりつけるだけで、丸めが完成。
1日に何千個ものパンを焼く職人さんならではの早業は、基本的にこの方法です。
おうちでのパン作りだと、そんな早業はなかなか身に着きませんが、慣れれば「基本の丸め方」よりやりやすいという意見も耳にします。
丸め方
- 断面が内側になるように折り畳みます(「基本の丸め方」と同じです)。
- 生地を丸めます。
- 表面がぴんと張ったら生地を裏返して、底に集まった生地(写真では穴が開いているように見える部分)をつまんでとじます。
折り畳んだ生地のきれいな面を上にして台に置き、手を丸めて生地を包みます。
円を描くように手を動かしながら、指先で生地の表面を下へ下へと送り込みます。
ポイントは手の形と力加減
手の形は、猫の手のように丸くするため「猫手」と呼ばれています。
生地を包んだ手は、人差し指・中指・薬指の第一関節を内側に折り、爪の先端ではなく、曲げた指の爪の表面が台に触れるイメージ。
力加減は、手のひらで生地を台に押しつけないよう注意。手の動きに合わせて、生地の動く余裕があるのが大切です。
「生地の表面を張らせるように」とはどんな状態?
丸め方の説明でよく見かけるのが、「生地の表面を張らせるように」という表現。
これは、「丸めた生地の表面がつるんとして、ぴんと張っている状態」を指しています。
張りを持たせて丸めれば、発酵時に発生する炭酸ガスが断面から逃げることがありません。そのため、ふっくらとボリュームのあるパンになり、焼き上がりの形も美しく仕上がります。
クープを入れる場合も生地の表面に張りがあれば、きれいに入りますよ。
大切なのは生地の表面がなめらかで張りがあること。これができていれば、丸め方そのものはここでご紹介したもの以外のやり方でも大丈夫です。
基本作業の丸めで手作りパンをランクアップ
うまく丸められるようになれば、それだけで手作りパンの味と見た目が、ワンランクもツーランクもアップします。
上手に丸めて、おいしくて美しいパンを焼きましょう。