漁師たちに愛されたパン「パンブリエ」
フランスの各地方には、その土地ならではパンがあります。
今回は、フランス北部の港町で漁師たちに親しまれてきたパンブリエのレシピをご紹介。
どんなパンなのか、名前の由来、レシピのポイントやおすすめの食べ方など、盛りだくさんでお届けします!
パンブリエとは
パンブリエ(Pain brié)とは、フランス・ノルマンディー地方の伝統的なパン。
名前の由来は、昔のノルマンディーの言葉で「こねる」や「砕く」を意味する「ブリエ(brier)」という言葉からなんだとか。
パンブリエは、漁師や船乗りたちの航海中の食料だったといわれています。
そのためか、イタリアやスペイン、北アフリカといった地域で、似たようなパンを見かけることも。
もしかすると、船乗りたちが製法を伝えて広がっていったのかもしれませんね。
このパンの特徴は、クラムの目が詰まっていて水分が少なくてもろいのですが、やわらかな食感であること。
1週間ほど日持ちがするという点は、他のパンでは見られないところです。
バゲットのようにシンプルな味わいなので、さまざまなお料理とあわせて楽しめます。
パンブリエのレシピ(2個分)
パンブリエを作るときには、まず「パート・フェルメンテ(発酵生地)」の準備から。
これを一晩発酵させた後、「パート・フィナル(本ごね生地)」を作り、焼き上げます。
パート・フェルメンテ(発酵生地)を作る
材料
- 準強力粉…150g
- インスタントドライイースト…0.4g
- 塩…3g
- 水…100g
作り方
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ホームベーカリーにすべての材料を入れ、7~8分間こねる。
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保存容器(容量約650ml)に入れ、室温で90分間発酵。
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冷蔵庫に入れて15~18時間発酵。
パート・フィナル(本ごね生地)に加えるときは、生地温度を17~18℃に戻す。
パート・フィナル(本ごね生地)を作る
材料
- 準強力粉…100g
- インスタントドライイースト…0.8g
- 塩…2g
- 水…40g
- 無塩バター…25g
作り方
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ホームベーカリーに全ての材料とパート・フェルメンテを入れ、8~10分間こねる。
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こね上がったら生地のガスを抜くようにしっかりと丸める。
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26~28℃で30分間、一次発酵。
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2個に分割して丸め、ベンチタイムを20分間取る。
成形〜焼成
材料
- 打ち粉(強力粉または準強力粉)…適量
作り方
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生地をめん棒で楕円形にのばす。
このとき、しっかりとガスを抜く。
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向こう側から1/3を折る。
生地の向きを180度変えて1/3を折る。
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半分に折り、あわせ目をしっかりととじる。
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パンマットにとじ目が下になるように並べる。
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250℃でオーブンの予熱をスタート。
天板も一緒に温める。 -
26~28℃で60~80分間最終発酵。
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オーブンシートの上に生地をのせ、クープを入れる。
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オーブンの庫内に蒸気を入れるか霧吹きで水をかけ、220~230℃で25~28分間焼成。
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出来上がり!
「パンブリエ」の詳しいレシピページはこちら。
レシピのポイント
おいしく作るためのポイントは3つ。
ポイント1.パート・フェルメンテを使う
このパンを作るときの最大の特徴は「パート・フェルメンテ(発酵生地)」を多く使うところ。
これにより、香りやおいしさはもちろん、日持ちのよいパンを作ることができます。
ポイント2.生地をかために仕上げる
生地の水分を少なくして、かためにこね上げること。
そして、こね上がったら生地のガスを抜くようにしっかりと丸めるのがコツ。
成形でもしっかりガスを抜くのを忘れずに。
こうすることで目の詰まったクラムになり、日持ちのよいパンになります。
ポイント3.クープは「船」をイメージして入れる
パンブリエは、漁師たちが漁の合間に食べていたパン。
船(船底)をイメージさせる模様で、深めにクープを入れてみましょう。
おすすめの食べ方
パンブリエの故郷ノルマンディー地方は、魚介類はもちろん、バターやチーズなどの乳製品が豊富で、りんごの栽培も盛んです。
これらの食材を組み合わせて、おすすめの食べ方をご紹介します。
タルティーヌ
いちばんのおすすめは、ノルマンディー地方発祥の「カマンベールチーズ」と「りんご」を組み合わせた、スイーツのようなタルティーヌ。
カマンベールの塩味、りんごの甘みと酸味が絶妙!お好みではちみつをかけて召し上がれ。
タルティーヌの具材は、甘いものだけじゃなくてもOK!
トーストしたサクサク食感のパンの上に、海の幸をはじめ、野菜のマリネ、ハムやパテ、チーズなどお好みの具材をのせて楽しんで♪
ホームパーティーにもおすすめです。
トースト
パンブリエをトーストすると、サクサクの軽い食感に。スライスは薄切りがおすすめです。
バターやジャム、はちみつを添えれば朝食にぴったり!
サンドイッチ
水分が少なく目の詰まったクラムのパンブリエは、サンドイッチにも◎
具材を挟んでもベチャッとなりにくく、お弁当にも向いています。
ノルマンディーの伝統的なパンをご家庭でも
製法に工夫をして保存性を高めたことから、航海のときに最適な食料となったパンブリエ。
目の詰まったクラムは噛むほどに味わい深く、やさしいバターの風味もあって、どこかクセになるおいしさです。
どんなお料理とあわせても楽しめるので、ぜひ作ってみてくださいね。