サクサクした食感が魅力のパイ生地
サクサクが魅力のパイ生地♪
パイ生地が、「折りパイ(折り込みパイ生地)」「練りパイ(練り込みパイ生地)」という2種類に分かれているのを、皆さんはご存知ですか?
今回はそれぞれの違いを、その魅力と共に詳しく解説していきたいと思います!!
そもそもパイ生地とは
パイ生地は、こね生地に油脂を加えることによって、「サクサク」や「ホロホロ」と表現されるもろさを生み出す生地。油脂の加え方によっていろいろな食感の違いが生まれます。
そしてその製法(油脂の加え方)に応じて、「折りパイ」「練りパイ」と区別されているのです。
製法の違い
製法の違いは、求める食感へのアプローチの違いでもあります。
- グルテンを形成した生地の中にバターの層を作り、生地の層を薄くしていくことによって、食感を生み出している=折りパイ
- グルテンをできるだけ作らないようにして、食感を生み出している=練りパイ
折りパイって?
まずは、折り込みパイ生地。
フランス語で「フイユタージュ(パート・フイユテ)」と呼ばれる生地です。
小麦粉を塩・水・バターなどとこねてできる生地(デトランプ)と、バターを繰り返し折り込んでいくことによって、層状にしていきます。
折りパイの中でも、またさらにいろいろな製法があるのですが、どれもバターが生地の中に層状に存在していることがポイントです。
最もオーソドックスな折りパイの製法
こね生地で板状のバターを包み、
それを帯状に伸ばして、三つ折りを2回。冷蔵庫で冷やして生地を休ませた後、さらにこの作業を数回繰り返します。
こね生地はどんどん薄くなり、その間に薄いバターの層ができ、最終的には幾重にも層が出来上がります。
オーブンへ入れると、こね生地の間のバターが熱せられ、水蒸気が発生。すると、その膨張力が生地を1枚1枚浮き上がらせ、きれいな薄い層状に焼き上がるのです。
サクサクホロホロと崩れるような独特の食感は、こうして生まれます。
どんなお菓子に使われる?
折りパイの定番といえば、ミルフイユですね!
「ミル=千」「フイユ=葉」という意味のフランス語で、直訳して「千枚の葉っぱ」という名前のこのお菓子。折りパイ×クリームの層をよく表現したネーミングだと思います♪
クリスマスが終わると見る機会が増える、ガレット・デ・ロワも、この折りパイを使います。
練りパイって?
次に、練り込みパイ生地。
生地を作るときに、バターを混ぜ込んで作っていくものがこれにあたります。
練りパイを大きく分けると、「甘みを付けずに作るタイプ(パート・ブリゼ)」と「砂糖を多く加えるタイプ(パート・シュクレ)」の二つ。
この二つは、甘みの他に食感も微妙に違います。
パート・ブリゼは…
粉にバターをすり合わせて分散させ、
その後、「水+塩+卵黄」などの液体と混ぜ合わせます。
最初に粉とバターをすり混ぜ、水分を加えた後も練らずに重ね合わせるように作ることにより、強い粘り(=グルテン)の形成を最小限に抑えます。
焼成時、生地内に点在したバターが浮き上がることで、サクサクした食感の生地に。
「ブリゼ=砕けた」という名の通り、クラッカーのような崩れる食感が生み出されます。
どんなお菓子に使われる?
素朴なタルトやタルトタタンの生地として使ったり、キッシュにも使われたりしますね。
この食感は、水分が多い種を流しても失われにくいので、プリン種のようなものを流して焼くタルトにもおすすめです。
パート・シュクレは…
バターと砂糖・塩・卵を混ぜてクリーム状にしてから、小麦粉と合わせます。
粉を加える前にバターの油と卵の水分が乳化しているので、粉と水分が直接触れ合わず、強い粘り(=グルテン)ができにくい生地に。
「シュクレ=砂糖の」という名の通り、甘みがしっかりしたクッキーのような、サクッとしたもろい食感になります。
どんなお菓子に使われる?
アーモンドクリームと具材を詰めた焼き込みタルトやレモンのタルト。カスタードクリームとフレッシュフルーツを盛り込んだ、フルーツタルトのタルトカップにもよく使われます。
サブレ生地(パート・サブレ)とは違うの?
同じような甘い生地に、「サブレ生地(パート・サブレ)」があります。
この生地は、ブリゼのように粉とバターを始めに合わせる製法。
ですが、ブリゼとは違い、バターも砂糖もたくさん配合され、水分は卵のみ。シュクレと同じような配合ですが、その製法によりシュクレよりもさらにもろい状態に。
フロランタンサブレに使われたり、型抜きしてそのままクッキーにしたりも。分厚くして、生地の食感を楽しむことが多いです。
写真で比べてみましょう♪
出来上がりの生地
焼成後
フイユタージュとブリゼは、軽く重しをして焼いています。
軽く割った断面
最後に
いかがでしたか?
秋冬は、バターを溶かしてはいけないパイ生地を作るのに最適の時期!
ぜひともパイ生地のお菓子を作りながら、そして食べながら、「折りパイ」「練りパイ」それぞれの違いを改めて感じ取ってみてくださいね♪