使う卵でどんな違いが生まれるの?
クッキー生地の基本的な材料はバター、砂糖、薄力粉、卵。
今回はその中の卵に着目してみたいと思います。
レシピには卵黄と書いてあるのに、全卵を使って焼いちゃったという経験はありませんか?
私はよくあるのですが(^_^;)
結果的には卵黄でも全卵でも美味しいクッキーができあがります。では、全卵と卵黄ではどのくらい味や食感などの違いがあるのでしょうか?そして、卵白のみだとどうなるのでしょうか?型抜きクッキー生地を使って比較してみたいと思います。
生地の比較
比較のため、どれも同じ材料、配合で型抜きクッキーを作りました。どの生地も一晩寝かせ、冷蔵庫から出してからの作業時間は同じです。
材料
- 薄力粉…120g
- バター…60g
- 粉糖…30g
- 卵(卵黄、全卵、卵白)…17g
- 塩…ひとつまみ
見た目
一目で分かるように、卵黄の生地は他の2つに比べてだいぶ黄色いです。全卵と卵白の生地は白っぽくなります。
生地のもろさ
卵黄
全卵
卵白
生地を手で少し折り返してみると、卵黄の生地は真っ二つに割れてしまいます。
全卵と卵白は柔軟性があるというか、割れることはありません。卵黄の生地が一番もろいです。
型抜きのしやすさ
卵黄
全卵
卵白
どの生地も型抜きしにくいということはありませんでした。
卵黄の生地は、型の通りにすぱっときれいに抜けます。
全卵、卵白の生地は卵黄生地に比べると、型を抜くときに生地が柔らかい感じがします。
焼き上がりの比較
どの生地も、厚さ5mm、180℃15分の同条件で焼きました。
見た目
卵黄の生地は一番こんがりと焼き色が付きます。全卵の方が少しだけ卵白生地より焼き色が付いています。
卵黄の生地は膨らみにくいので、型抜きした通りに焼き上がり、側面もまっすぐしています。全卵生地と卵白生地は少し膨らみ、側面も丸みを帯びています。
味、食感
卵黄の生地は、サクサクホロホロ。口の中で崩れるような食感です。
コクがあり、非常に美味しいです。
全卵の生地は、サクサクの中にも少しカリッとした食感が加わります。
ほどよい固さといえるでしょう。
卵白の生地は、サクサク感はあまりなく、少し固めの食感です。
この3つ、食べ比べてみると全く食感が違うことに驚きました。卵黄と全卵では全然食感が異なります。卵黄を加えるレシピを全卵で作るということは、レシピ作成者の意図する食感とは違うものになっていたのだという事実に気づきました。
選び方
卵黄、全卵、卵白の生地の違いは分かったのですが、ではどのように使い分ければ良いのでしょうか?
卵黄生地
コクがあり、サクホロ感がでる生地のため、サブレ等のアイスボックスクッキーのレシピは卵黄を使うことが多いです。
焼き上がりも広がりにくく、型抜きクッキーも型通りにきれいに焼けます。
全卵生地
パートシュクレ(タルト生地)は卵黄を使うレシピもありますが、卵黄の生地はもろく非常に型に敷き込みにくいので、全卵を使ったレシピが多いと思います。
アイシングクッキーも、焼き上がりが崩れにくいように全卵を使うことが多いです。
卵白生地
型抜きクッキー、アイスボックスクッキーで卵白を使うことはあまりないです。(美味しくないわけではないですが、あえて固めのクッキーは作りませんよね)
焼くと固くなるという性質を利用して、薄くてもきちんと固まるようにチュイールや、ラングドシャに使われます。
逆に、薄く焼くチュイールやラングドシャに卵黄や全卵を使うと、崩れやすくなってしまうので向いていません。
奥が深い、レシピの配合の世界
一般的には上記のような選び方かと思いますが、もちろんご自分の好みの食感で選んで良いと思います。サクホロ感を出すために、アイシングクッキーやタルトを、卵黄の生地で作る方もいらっしゃると思います。
材料の配合によっても、扱いやすさや食感は変わっていきます。
また、「卵黄&粉糖」と「卵黄&グラニュー糖」では同じ卵黄の生地でも食感は変わってきます。粉の種類、砂糖の種類、卵の組み合わせを変えれば、同じ配合のクッキーでも何通りもの味や食感が違うクッキーができます。すごく奥が深いですよね。
以前公開した、「砂糖の違いによるクッキーの焼き上がり」、「初心者向け薄力粉の選び方Part1」のコラムも参考にしていただけたらと思います。
まとめ
卵黄、全卵、卵白の違いによるクッキー生地の違いが分かっていただけたでしょうか?
私は、卵の性質を理解してなくて「このレシピはなんで卵黄なんだろう?全卵ではダメなのかな?」と疑問に思ったり、「なんで、形通りにきれいに焼けないのだろう」と悩んだり、「美味しいと思って卵黄で作ったタルト生地が敷き込みにくい!」などと困ったりしたことが多々ありました。
それが、卵黄、全卵、卵白の違いを理解することでスッキリしました。
皆さんが自分のイメージするクッキーを作る時に、卵黄・全卵・卵白、どの材料を使うべきかの参考にしていただけたら嬉しいです。