ベーグルに欠かせない「ケトリング」
独特の食感で人気のあるベーグル。
そのむぎゅっとした噛みごたえは、焼く前にベーグルをゆでる「ケトリング」という工程によって生まれます。
今回はベーグル作りに欠かせない、ケトリングについて解説します。
ケトリングとは
ケトリングとは、発酵が終わった生地をゆでる工程のこと。
焼く前に生地をゆでることで起きる変化は、大きく2つ。
生地が膨張する
発酵した生地をゆでると、生地が膨張します。
ゆでて一度膨張した生地をオーブンで焼くと、膨らみが抑えられ、独特のずっしり弾力がある歯ごたえに。
生地が糊化する
熱湯でゆでることで生地中のデンプンが糊化。糊化した生地はオーブンで加熱すると、ぎゅっと詰まった生地に。
また、糊化した表面をオーブンの熱で乾かすことで、つやのあるパリッとしたベーグルが焼き上がります。
お湯にモラセスを加えるのはなぜ?
ケトリングの際、お湯に糖分を入れることでベーグル特有のつやが出ます。
目安は、お湯1Lにつき大さじ一杯。
特にモラセスを使うと、焼き色がしっかり付いてつやつやに仕上がります。
モラセスってどんなもの?
モラセスは、さとうきびの絞り汁を煮詰め、砂糖の結晶を遠心分離した後に残ったもの。「糖蜜」とも呼ばれます。
黒くてどろりとした粘りがあり、ミネラルやビタミンが豊富。
やや苦味を感じ、黒蜜のような独特で濃厚な風味が特徴です。
はちみつや砂糖でも代用できる?
モラセスの代わりにはちみつや砂糖を使うレシピもありますよね。
違いは出るのか比較してみました。
モラセス
焼き色が濃く、しっかりつやが出る。
はちみつ
適度な焼き色とつやになる。
砂糖
焼き色・つや共に、モラセスより控えめ。
はちみつや砂糖は、モラセスよりも焼き色とつやが気持ち控えめ。ですが問題なくきれいに焼けています。
焼き色とつやが美しいモラセスですが、独特の風味が強く、味の面では好みが分かれるかもしれません。
その点、はちみつは癖もなく適度な焼き色とつやになるので、個人的におすすめです。
ケトリングのポイント
ベーグルをシワなくつやぴかに仕上げるためのケトリングには、3つのポイントがあります。
ポイントを押さえて、美しいベーグルを作りましょう!
ポイント1.お湯の温度
適正温度は85〜90℃。
鍋の底から小さい気泡がフツフツ出ている状態を目安にするとわかりやすいですね。
お湯がボコボコ沸騰している状態(100℃)でゆでると、生地の表面が荒れてしまうので注意が必要です。
ポイント2.ゆで時間
ゆでる時間は、片面30秒間程度。長くても1分間ずつを目安にしましょう。
長くゆですぎるとシワができる原因になります。
生地を裏返す際は、傷つけないよう穴あきレードルやフライ返しなどでそっと返してください。
ポイント3.ケトリング後は手早く焼成!
ケトリングが終わったら、素早く天板に並べてオーブンに入れましょう。
200℃〜と高めの焼成温度でしっかり焼くのがポイント。
すぐに焼かずに放置したり、焼成温度が低かったりすると、シワの原因に。
そのためにも、しっかりオーブンの予熱をしておくことが重要です。
ポイントを押さえてベーグルを作ってみよう!
ベーグルは材料が少なく発酵時間も短いので、あっという間に作れます。
ケトリングを意識して、ベーグルを作ってみましょう。
材料(4個分)
- 強力粉…200g
- 砂糖…5g
- 塩…3g
- ドライイースト…2g
- 水…108g
- お湯…1L
- モラセス…大さじ1
作り方
- ボウルに強力粉から水までの材料を入れ、カードで混ぜる。
- 生地がなめらかになればこね上がり。
- ガスを抜き、とじ目を上にして生地を横長にのばす。
- 四角形に切ったオーブンシートにのせ、暖かい場所で約30分間発酵させる。
- フライパンにお湯を沸かしてフツフツ沸騰した状態にし、モラセスを入れて溶かす。
- お湯から取り出したらすぐに210℃のオーブンで、15分間〜焼き色が付くまで焼けば出来上がり。
水気がなくなれば、こね台の上に出してこねる。
*生地がかたいので、両手に体重をかけて押すようにしっかりこねてくださいね。
4等分にして丸め、ボウルを裏返しにしてかぶせたら15〜20分間休ませる。
手前からきつめに巻いてとじ目をとじ、両手で転がして18cm程度の棒状にする。
片方は少し細く、片方はつぶして平らにする。
平らなほうで細いほうを包み込んでつなぎ目をとじ、リング状にする。
*発酵が終わる時間に合わせ、オーブンを210℃に予熱して、ケトリング用のお湯の準備をしておく。
焼き上がりに表面になるほうを下にし、そっとお湯に入れる。
片面30秒間ずつゆでる。
「つやぴかベーグル」の詳しいレシピページはこちら。
まとめ
今回はケトリングについて詳しく解説しました。
ベーグルと他のパンとで違いが出る、大事な工程なのがおわかりいただけたでしょうか。
ケトリングのポイントを押さえて、ベーグル作りを楽しんでくださいね。