オートリーズでパン作り
「オートリーズ」というパン作りの製法をご存じでしょうか。
オートリーズは、主にフランスパンなどのハード系パンに使われる方法です。
今回は、オートリーズについて詳しく解説。
オートリーズで作るバゲットのレシピもご紹介します。
オートリーズとは?
オートリーズとは、バゲットのような気泡の少ない(大きな気泡がある)フランスパンを作るときに多く使われるミキシング(こね)の方法。
あまりこねない生地の場合、伸展性や窯伸びが悪くなりがち。これを改善する方法として、フランスで考案された製法です。
工程を簡単に説明すると、最初に粉と水(モルトシロップも加える場合はここで)を混ぜた後、生地を20~30分間休ませるのがポイント。
その後から、イーストや塩などを加えてこね上げます。
「オートリーズ」という言葉を直訳すると「自己分解、自己消化」という意味。
粉と水を混ぜた後、生地を休ませている間に粉が水分をたっぷり吸収し、のびのよい生地へと変化するのです。
オートリーズの前と後
オートリーズの前後で、どのような変化があるか見てみましょう。
オートリーズ前(混ぜてすぐ)
- ざっくりまとまった感じできめが粗く、のびも悪い。
- 引っ張るとすぐちぎれる。
オートリーズ後(室温で30分後)
オートリーズのメリット・デメリット
メリット
メリットは、無理な力を加えてこねなくても、弾力と粘りがある伸展性のよい生地にこね上がること。
窯伸びがよくボリュームもあって、パリッと香ばしいクラストとしっとりもちっとしたクラムのパンが焼き上がります。
粉の風味や香りも◎
デメリット
デメリットはあまり思いつかないのですが…。
強いて言うなら、焼き上がったパンのクラストがかたくなったり、クラムがパサいたりといった老化が早いことでしょうか。
でも、オーブントースターなどで焼き直しをすれば、再びおいしく食べることができるのでご安心くださいね。
オートリーズで作るバゲットのレシピ
それでは実際に、オートリーズを行ってバゲットを作ってみましょう。
材料(2本分)
- 準強力粉…250g
- 水…170~175g
- モルトシロップ…1g
- インスタントドライイースト…1.5g
- 塩…5g
*モルトシロップがない場合は加えなくてもOK
作り方
- ボウルに準強力粉を入れ、水とモルトシロップを加えて粉気がなくなるまで混ぜる。
- ラップをかけ、室温で30分間オートリーズを取る。
- インスタントドライイーストを振りかけて、見えなくなるまで混ぜる。
- 塩も加えて、見えなくなるまで混ぜる。
- 生地を台に出し、こねる。
- 生地がなめらかになり、弾力が出てきたらこね上がり。
- 生地の表面が張るようにまとめ、ボウルに入れてラップをかける。
- ボウルから生地を出してパンチを入れる。
- ボウルに戻して、26~28℃で60分間発酵させる。
- 生地を2個に分割し、左右から折り畳んだら手前からふんわり巻いて俵形に整える。
- 成形。
- 26~28℃で50~60分間最終発酵。
- オーブンシートの上に生地を移動させ、クープを3~4本入れる。
- 予熱したオーブンの庫内に蒸気を入れるか、霧吹きをする。
*途中、カードで生地をかき集めながらこねるのがポイント。
*生地の一部をのばして、やや厚めの膜ができればOK。
26~28℃で90分間発酵させる。
パンチの入れ方
手のひら全体で優しくガスを抜いたら、左右から1/3ずつ折り畳む。続いて向こう側と手前側から1/3ずつ折り畳む。
フィンガーテストをして指穴が残れば発酵終了。
生地が緩むまで、15~20分間ベンチタイムを取る。
手のひらで軽く押さえてガスを抜きながら、生地が長方形になるように整える。
向こう側から手前に1/3折り畳み、向きを180度変えて、同様に1/3折り畳む。
向こう側から半分に折り畳みながら、手のつけ根でとじ目をとじる。
手を前後に動かして生地を転がして30cmくらいの棒状にし、とじ目を下にしてパンマットに並べる。
*成形が終わったタイミングで、オーブンを250℃に設定し予熱スタート。天板も一緒に温めます。
230~240℃で約25分間焼成すれば出来上がり。
『オートリーズで作る フランスパン「バゲット」』の詳しいレシピページはこちら。
焼き上がったバゲットは、小麦の甘く香ばしい香りが特徴。
そのままでもおいしいですが、バターやジャムなどのパンのお供と一緒に楽しんでみるのもおすすめ!
サンドイッチは格別のおいしさです♪
オートリーズを取り入れてみよう
パン屋さんでも生地の仕込み方法として取り入れている、オートリーズ。
ご家庭でも試しやすいと思うので、難しいフランスパン作りの味方になってくれるはずですよ。
ちょっと時間はかかりますが、焼き上がったパンの香りは最高!
ぜひお試しください。