スポンジにシロップをうつのはなぜ?
スライスしたスポンジ生地にフルーツや生クリームを挟み、デコレーションして仕上げるお菓子、ショートケーキ。
組み立てる際に「スポンジにシロップをうつ」という工程があるレシピ、よく見かけませんか?
今回は、「シロップをうつ」という工程の理由を解説。
ショートケーキにぴったりなシロップの配合や、失敗なくシロップをうつためのポイントもお教えします!
ショートケーキに使うシロップってどんなもの?
ショートケーキには、多くの場合、砂糖と水を沸かして冷ました“シロップ”を使います。
このシロップのことを、フランス語の製菓用語では「アンビバージュ」。アンビバージュを生地に染み込ませることを「アンビべ」といいます。
日本では、「アンビベする」などという言い方も。
スポンジにシロップをうつメリット・デメリット
メリット1.スポンジ生地のしっとり感UP
シロップをうつことで、スポンジ生地のしっとり感がアップ。
クリームとなじみやすくなり、全体に一体感が出てよりおいしく感じられます。
メリット2.香りづけ
洋酒などを加えたシロップをうつことで、お菓子に香りをプラスすることができます。
ショートケーキに合わせやすい洋酒
香りづけに使われることが多いのは、オレンジのリキュール「コアントロー」や、サクランボの蒸留酒「キルシュ」など。
爽やかでフルーティーな香りがショートケーキの味を引き締め、お店のような上品な仕上がりになります。
アルコール分が残るので、お子さまが召し上がるものやアルコールを避けたい場合は省いてもOK。
洋酒以外のおすすめ
洋酒以外におすすめなのが、甘い香りが楽しめるバニラ。
- 冷めたシロップにバニラエッセンスなどを2滴程度たらす。
- バニラビーンズのさや(種をしごき出したものや、一度使って乾燥させておいたものなど)を水とグラニュー糖と一緒に加熱して冷ます。
などの方法で、バニラの香りのシロップが出来上がります。
デメリット
シロップは、スポンジの同じ箇所にばかりうちすぎると、べちょっとした食感になり、崩れやすくなる原因にも。
シロップのあるところないところで、同じケーキでも口どけが変わってしまうことになります。
おすすめのシロップのレシピ
シロップは、砂糖が多すぎるとねっとりしてスポンジへの染み込みが悪く、少なすぎるとスポンジが水っぽく感じてしまいます。
今回おすすめする配合は、砂糖と水を1:2で作るもの。
ケーキに加わる甘さもちょうどよく、覚えやすい分量な点も◎
材料(15cmのショートケーキ約1台分)
- グラニュー糖…10g
- 水…20g
- 洋酒(お好きなもの)…5g程度
作り方
- グラニュー糖と水を鍋に入れ、火にかけ沸かす。
- グラニュー糖が溶けたら火を止め、別容器に移して冷ます。
- 冷めたら洋酒を加えて出来上がり。
シロップは、作った翌日までに使い切ると安心。
少量であればすぐに冷めるので、ケーキを組み立てる直前に作っても間に合います。
シロップのうち方
シロップは、一か所にうちすぎると失敗の原因に。
ちょっとした心がけで防ぐことができるので、ぜひ参考にしてくださいね。
ハケを使う
最もよく行われる方法です。
- ハケにシロップを含ませてスポンジにぽんと置き、さっと横に引くようにハケを動かす。
- 含ませたシロップがなくなったら、再びハケに含ませて同じ動作を繰り返す。
ここがポイント
失敗しないためのポイントは、ハケを動かす向きや順序を統一すること。同じ箇所に何度もシロップを打ってしまう、というミスがなくなります。
- クリームを塗ってスポンジを重ねたら、同じようにシロップをうつ。
*3枚スライスであれば3回、シロップをうちましょう。スポンジの片面にうつだけで、効果が表れますよ。
霧吹きを使う
シロップを均一に染み込ませるには、霧吹きに入れて噴霧する方法もあります。
ただ、小さな霧吹きがないとシロップが大量に必要になるため、一般家庭ではあまり使う機会がないかもしれませんね。
大量に作るときなどに重宝しそうな方法です。
動画でおさらい
シロップをうつ意味を考えて
シロップをうたないとショートケーキが作れないかといわれると、そうではありません。
ですがやはり、全体の口どけや一体感は、シロップをうったほうが感じられます(スポンジの配合などを工夫して、シロップなしでおいしいケーキを作っているお店もたくさんあります)。
ショートケーキを作るとき、今回お話ししたシロップをうつという作業の意味や注意点をぜひ思い出してください。
作業の意味が分かれば、お菓子作りがもっと楽しくなりますよ。