比重を詳しく解説します!
お菓子生地がうまくいかないとき、『比重を量ってみましょう』という言葉を聞いたことがありませんか?
たとえ、混ぜる回数や時間がレシピに書いてあっても、混ぜ方が違えば同じ生地にはなりません。そんなときは比重を量って確認してみるとわかるかも!!
そして、比重をそろえることでいつも同じ状態にしたり、逆に比重を変えて変化をつけたりすることもできます。
でも…比重ってなんだか難しそう!イマイチよくわからない!そんなお声も。
今回は、出番の多いスポンジ生地の比重を例にお話したいと思います!!
そもそもお菓子生地の比重って?
お菓子生地の比重とは、『容量100mlのカップにすり切って入れた生地の重さ』のことです。
いろいろな生地、配合によって適した比重があり、この比重を量ることによって、生地の状態がわかりやすくなります。
比重の量り方
- 100mlカップをはかりにのせて、0gにします。
- はかりはそのままにして、カップに生地を入れてすり切ります。
- 重さを量ります。
*カップの中に大きな空洞ができないように、気を付けて!!
この重さが、お菓子生地の比重です。
量ったら、生地をボウルに戻しますよ♪
シリコンの小さいヘラがあると、生地を戻すときにとっても便利♪
スポンジ生地を例に比重を考えてみましょう♪
今回は基本的なスポンジ生地の配合を使います。
材料(15cm型1台分)
- 卵…100g
- グラニュー糖…60g
- 薄力粉…60g
- バター…20g
まず試しに、卵に砂糖を軽く混ぜ合わせただけの状態で100mlカップに入れて、量ってみました。
現時点で118.4g。
これを泡立てていくと、生地にどんどん気泡が含まれるので、比重が軽くなっていくのです。
スポンジ生地における比重を量るポイント
- 卵を泡立てたとき。
- 粉やバターなどの材料を全て加えて混ぜ合わせた後。
十分に気泡が含まれているか確認するために比重を量ります。
気泡を壊さないように軽く合わせると思われがちですが、実は混ぜ不足による失敗も多いのです。
特に慣れてきた頃に、あれ?なんかイマイチ…というのは、混ぜ方が手早くなったことによる混ぜ不足が原因だった、なんてことも多いんですよ!
そして、自分の生地が混ぜ過ぎかどうかも、ここでわかります。
「比重を量りながら♪基本のパータ・ジェノワーズ(スポンジ生地)」の詳しいレシピページはこちら。
泡立て不足は大問題
泡立てた後、他の材料を混ぜていくので、当然泡はどんどんつぶれていきます!つまり、最初から泡立てが不十分だと、そもそも残る気泡がないんです。
泡立て始めのこの状態が、しっかり気泡を含むと…
これだけふんわりしてきます。
低速でキメを整え、すくってみると…
幅をもって折り重なるように落ちることから、リボンのようなので、「リュバン(フランス語でリボンのこと)状」と呼ばれます。
このとき、比重は22.9gでした。
泡立てが足りないものを見てみましょう。
全体がふわっとしただけで泡立てを止めます。すくっても細く流れる程度で、落ちた生地はすぐに平らになっていきます。
比重は39g。「リュバン状」に泡立ったものに比べて重いですね。
粉もバターも混ぜ過ぎないようにしていますが、混ぜ上がりは重たいどろどろの生地になりました。
比重は69gになり、焼いたら目の詰まったかたい生地に。
いろいろな比重で比べてみました!
今回の配合の場合、ちょうど良い比重は下記のようになると思います。
- 泡立てたときの比重…大体22g~25g
- 粉とバターを合わせた後の比重…大体42~45g
それを踏まえて、泡立ては全て比重22gでそろえ、最終の比重が「重いもの」、「ちょうど良いもの」、「軽いもの」、それぞれ焼き上がりがどうなったか見てみましょう!
それぞれの比重は、
A.重いもの=混ぜ過ぎ(比重60g)
B.ちょうど良いもの(比重43g)
C.軽いもの=混ぜが足りない(比重36g)
でした。
混ぜ上がりの状態を比較
A.気泡が抜け、とろとろと流れる状態。
B.適度な流動性があり、C.と比べて程よく粘りがある。
C.すくったとき、ぽってりと落ちるほど軽い。
焼き上がりの状態を比較
見た目
内層
それぞれ詳しく見てみましょう。
A.比重60g
- 高さが出ない。
- 内層は全体的にぎゅっと詰まってしっかりしている。
B.比重43g
- しっかり膨らんでふんわり。
- 内層はキメが細かく、しっとりしている。
C.比重36g
- 膨らんだ後、だいぶ落ちている。周りに大きなしわが寄って、縮んでいる。
- 内層は粗く、もそもそしている。
好みの比重を見つけて♪
今回ご紹介した比重は一例であって、配合によっても変わります。
また、どんなクリームと合わせるのかによっても、最適なスポンジの状態(比重)は変わってきます。
いきなり自分の比重?といっても難しいと思いますので、まずはこちらを参考にしてみてください。
そしてぜひ、皆さんの普段お使いのレシピで自分好みの比重を探してみてくださいね♪