液体の計量、どうやっていますか?
お菓子・パン作りに欠かせない“計量”。すべては材料を計ることから始まり、それは成功へ近づく“はじめの一歩”です。
ここでは液体材料の計量のポイントや、置換える場合の注意点をご紹介します。
“比重”って知ってる?
液体材料を計量する際、ぜひ知っておきたいのが【比重】です。比重とは「同じ体積における質量の比」です。
具体的に考えるために、実際に100mlの水と油と牛乳を用意してみました。
水
100mlの水をはかってみると100gでした。水は1mlが1gだと小学生の頃に理科の授業で習いましたよね。
水の密度はおよそ1g/mlであり、レシピに100mlと記されているならば、計量カップで100mlをはかっても、キッチンスケールで100gをはかっても大丈夫です。
油(太白ごま油)
100mlの太白ごま油は92gでした。同じ体積(ml)なのに水より軽いですね。
水を基準に1としたとき、太白ごま油は0.92であるといえます。これが太白ごま油の“比重”です。
実際に、太白ごま油だけでなく菜種油など他の植物油脂もすべて「JAS規格」で比重が定められていて、ごま油は0.914~0.922、菜種油は0.907~0.919、オリーブ油は0.907~0.913です。(※1)
牛乳
100mlの牛乳は102gでした。水とあまり変わらないですね。
牛乳は「乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(乳等省令)」で比重が定められていて、摂氏15度において1.028以上となっています。(※2)
比重を活用してみよう
ではこの比重を活用して、太白ごま油の体積(ml)と質量(g)をそれぞれ計算してみましょう。
先の章を参照して、太白ごま油の比重は0.92とします。
太白ごま油「100ml」をキッチンスケールを使って計量してみよう
計算式は、体積(ml)×比重=質量(g)。
ここでは、100(ml)×0.92=92(g)。
つまり、92gをキッチンスケールではかります。
太白ごま油「100g」を計量カップを使って計量してみよう
計算式は、質量(g)÷比重=体積(ml)。
ここでは、100(g)÷0.92=108.695…(ml)。
およそ109mlを計量カップではかります。
これはすべての液体の材料で応用できます。比重さえ分かれば、計量カップでもキッチンスケールでも必要量の材料を得ることができます。
計量カップは自分の目で値を読み取る必要があるため、誤差が生じやすいです。それに比べ、デジタルキッチンスケールは値を表示してくれるため正確に測れるので、僕はキッチンスケールをよく使っています。
水を牛乳に置き換えても大丈夫?
100mlの牛乳は102gで水とあまり変わらなかったですよね。
比重がほぼ同じということは、パンやお菓子に加える水をそのまま牛乳に置き換えてもよいのでしょうか?
実際に水を牛乳に置き換えてパンをこねてみましょう。
水を牛乳にそのまま置き換えた生地は明らかに水分不足な様子…。それもそのはず、牛乳には“固形分”が含まれています。
牛乳パックの成分表を見てみると、「無脂乳固形分」、「乳脂肪分」が書かれていませんか?それが“固形分”です。
今回使用した牛乳の場合、「無脂乳固形分8.3%以上+乳脂肪分3.6%以上=11.9%以上」は固形分であり、水分はおよそ88%。
88%=0.88
100ml×0.88=88ml
つまり、100mlの牛乳では水88ml分の水分しか入っていないのです。
では、水を牛乳に置き換える計算をしましょう。
水の量を“牛乳の水分=0.88”で割ると、必要な牛乳の量がわかります。
例えば180mlの水のレシピを牛乳に置き換えてみましょう。
180÷0.88=204.545
およそ205mlの牛乳が必要ということです。
牛乳205mlでパン生地をこねてみると、生地がきれいにまとまりました。
これで牛乳に置き換えた場合の必要な水分が得られます。
でも、12%の固形分が含まれていることを忘れないで。それがパンやお菓子の仕上がりに変化をもたらしうるので注意してくださいね。
計量は正確に!
ぜひ、比重や水分量を頭の片隅にいれて、パン・お菓子作りの計量に役立ててくださいね。
参考資料:
※1
食用植物油脂の日本農林規格
https://www.maff.go.jp/j/jas/jas_kikaku/pdf/kikaku_01_syokyu_160224.pdf
※2
乳及び乳製品の成分規格等に関する省令(乳等省令)
https://www.mhlw.go.jp/content/11121000/000515092.pdf