何気ない作業が出来を左右する!パン生地の分割
パン作りの工程で行う、「分割」という作業。
パン作り未経験の方も、その字面からパン生地を分けることと大方想像がつくのではないでしょうか。
でも実は、分割はただ生地を分ければいいということではないのです。
今回は、分割の方法や大事なポイントについて解説。
何気なく行っている作業にも、理由があります。要点を押さえればパン作りがよりスムーズに進むので、ぜひチェックしてくださいね。
パン生地の分割ってどんな作業?
パン生地の分割は、作るパンの数に合わせて、生地を均等に切り分ける作業。
パン作りの工程を大まかに解説すると、下記のような流れ。
こね → 一次発酵 → ガス抜き → 分割 → 丸め → ベンチタイム → ガス抜き → 成形 → 二次発酵 → 焼成
分割するタイミングは、一次発酵が終わってガス抜きをした後です。
生地の重さを均等にするのはなぜ?
パン生地一つひとつの重さを均等にすることで、良い状態のパンに仕上げることができます。
生地に大小があると、発酵の進み具合が微妙に違ったり、焼く際の火の通り方が変わったりという原因に。
大きい生地は発酵にも焼成にも時間がかかり、小さい生地と時間差ができてしまいます。よって、均一な膨らみや焼き色のパンにならないのです。
基本の分割方法
- 生地の総重量を量る。
- 作るパンの個数で割って、1個あたりの生地の重量を計算する。
- カードを使って、目分量で生地を切り分ける。
- 切り分けた生地の重量を量り、切り取ったり足したりして微調整する。
パンによって切り分け方を変えてみるのも〇
分割数は、パンごとに違うもの。
家庭でのパン作りだと、食パンは2〜3分割、丸パンやコッペパンは5〜6分割、ロールパンや菓子パンは8分割、ちぎりパンは16分割、といったあたりがメジャーでしょうか。
分割数によって切り分け方を変えると、分割がスムーズに進んだり次の丸め作業がしやすかったりと、メリットがある場合があります。
2分割なら、平らにしてそのまま半分に。
8分割するなら、十字に四等分したものをさらに十字に四等分してしずく形に。
16分割など分割数の多いものは生地を広げるなど。
生地を目分量で分割できれば、その後の調整がらくちんですよ。
分割時の3つのコツ
パン作りで常に意識する必要があるのは、「生地を傷めない」こと。
こねの段階では生地をたたいたり押したり刺激を与えますが、発酵が始まれば、できるだけ負担をかけないように取り扱うのが大切なのです。
理由は、生地の傷みがそのままパンの焼き上がりに影響するため。
分割でも、生地を傷めないように丁寧かつスピーディーに行うことがとても重要。できるだけ生地を傷めず分割を行うコツを押さえましょう。
1.生地は押し切る
生地はカード(ドレッジ・スケッパー)を使って上から一気に押し切り、切り口を離しましょう。
包丁のようにカードを前後に動かして切る、手で引きちぎる、といったことはしてはいけません。
生地中のグルテン構造が壊れたり、発酵で発生した炭酸ガスが抜けすぎたりして、膨らみ不足に繋がります。
2.できるだけ少ない回数で行う
分割の際は大きさの見当をつけて切り、できるだけ少ない回数で切り分けることが大事です。
生地の重量を均等にするためとはいえ、必要以上に足したり減らしたり、細かく切り分けるのはNG。生地が傷み、膨らみが悪くかたいパンになります。
3.生地の調整は断面で行う
切り分けた生地を足す際は断面(切り口)に足し、減らす際は断面から切り分けましょう。生地を調整した断面を下にして丸めれば、つるんときれいな表面に。
生地全体から足したり減らしたりすると、表面が荒れてでこぼこしたパンになってしまいます。なめらかな面はそのままパンの表面になるので、分割の作業中に傷が付かないようにご注意を。
まとめ
今回は、分割について詳しく解説しました。
パン生地一つひとつの重さを均等にすることで、状態の良いパンを仕上げることに繋がる分割。
コツを押さえて、ワンランク上のパン作りを楽しみましょう!