甘いものは食べたいけれど…
甘いものは食べたいけれどカロリーが気になるし、お菓子に加える砂糖を控えようかな…なんて考えるときありませんか?
でも、レシピに書かれている量より砂糖を減らしても本当に大丈夫なのでしょうか?
ただ単に、甘さ控えめのヘルシーなお菓子が出来上がるのでしょうか?
今回はお砂糖の量を減らした場合だけでなく、増やした場合もどうなるのか気になるので試してみました。
砂糖の量を変えてケーキを焼いてみた!
共立てスポンジケーキの砂糖の量を変えて焼き比べます。
今回使用した材料は次の通りです。
・卵…3個
・細目グラニュー糖…90g
・ドルチェ(薄力粉)…90g
・水…大さじ1
・無塩バター…30g
出典:お菓子作りのなぜ?がわかる本(文化出版局)
著者:相原 一吉
作り方は本に書かれている手順の通りに行い、細目グラニュー糖を下記のように変えて、それぞれ作りました。
- 50%(減量)=45g
- 100%(レシピ通り)=90g
- 150%(増量)=135g
それぞれ、ボリューム・焼き色・口当たりに注目して比較していきます。
ボリュームの違い
側面の高さを比較
- 50%(45g):約2.5cm
- 100%(90g):約3.7cm
- 150%(135g):約4.5cm
砂糖が多い生地ほど高さのある仕上がりになる、という結果になりました。
理由は?
スポンジケーキは卵に砂糖を入れて泡立てますが、砂糖には粘度を高めて気泡の安定性を高める性質があり、この性質により薄力粉やバターを加えて焼き上げても気泡がつぶれにくくなります。
結果、砂糖が多くなるほど気泡が保たれて、ボリュームが出たと考えられます。
焼き色の違い
表面の焼き色と焼き上がりは?
50%(45g)
- 100%や150%に比べて焼き色が薄く、途中でアルミ箔をかぶせる必要はありませんでした。
- 表面にひび割れが多数。
100%(90g)
- オーブンに入れてから20分ほどで表面に十分な焼き色がつきました。その後5分間はアルミ箔をかぶせて焼きました。
- きれいに焼き上がっています。
150%(135g)
- オーブンに入れてから15分ほどで表面に十分な焼き色がつき、その後10分間はアルミ箔をかぶせて焼きました。
- 生地の中央部分がぷくっと焼き餅のように膨らみましたが、ひっくり返すと空気が抜けて平らに。
側面の焼き色に注目してみると?
50%は他二つに比べ、色が薄かったです。
表面の焼き色では、アルミ箔をかぶせたので違いが分かりにくかった100%と150%ですが、側面では違いが見られ、150%の方が濃い焼き色が付いていました。
理由は?
スポンジケーキを焼くと、砂糖がアミノ化合物と反応し、褐色の物質が作られます。これを「メイラード反応」といいます。
砂糖が多いほどメイラード反応により多くの褐色の物質が作られて、濃い焼き色が付いたのでしょう。
口当たりの違い
やっぱり気になるのは実際に食べたとき、ですよね。
指でつまむと弾力の違いがよくわかります。
50%(45g)
生地が詰まっていて固めな仕上がり。フォークを入れても切りにくく、食べると生地がぼそぼそとしていて、口のなかの水分が奪われます。
全体的に風味は薄い。
100%(90g)
生地はほどよく弾力があり、口に入れて数回噛むとしっとりとした生地が優しくほどけていきます。
最も卵や小麦の風味を感じられます。
150%(135g)
焼き色が濃くついているので固めなのかと思ったのですが、生地の中だけでなく、表面や側面も内外の差がないほどしっとりとしていて、フォークにも生地がまとわりつきます。
表面はカステラのように少しペタペタとしており、表面近くの一部が少々生焼け状態でした。食感はとてもしっとりとしていますが、噛んでいくとねっとりとして歯に引っ付きます。
砂糖の甘味が勝ってしまう印象。
まとめ
検証で砂糖には四つの働きがあることが分かりました。
- 甘さを与える。
- 気泡の安定性を高めるので高さが出る。
- 焼き色を付ける。
- 保水性を高めるのでしっとりする。
やはり、レシピに書かれている砂糖の分量を変えてしまうと様々な仕上がりに違いが現れてしまいますね。
ついつい分量を変えたくなってしまう砂糖ですが、おいしいお菓子を作るにはむやみに分量を変更せずにレシピ通りに用意することが大切なようです。