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cotta column

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レシピの砂糖、減らすとどうなる?増やすとどうなる?

date
2018/04/25
writer
KOU
category
お菓子作り

甘いものは食べたいけれど…


甘いものは食べたいけれどカロリーが気になるし、お菓子に加える砂糖を控えようかな…なんて考えるときありませんか?

でも、レシピに書かれている量より砂糖を減らしても本当に大丈夫なのでしょうか?
ただ単に、甘さ控えめのヘルシーなお菓子が出来上がるのでしょうか?

今回はお砂糖の量を減らした場合だけでなく、増やした場合もどうなるのか気になるので試してみました。

砂糖の量を変えてケーキを焼いてみた!

共立てスポンジケーキの砂糖の量を変えて焼き比べます。

今回使用した材料は次の通りです。
・卵…3個
・細目グラニュー糖…90g
・ドルチェ(薄力粉)…90g
・水…大さじ1
・無塩バター…30g
出典:お菓子作りのなぜ?がわかる本(文化出版局)
著者:相原 一吉

作り方は本に書かれている手順の通りに行い、細目グラニュー糖を下記のように変えて、それぞれ作りました。

  • 50%(減量)=45g
  • 100%(レシピ通り)=90g
  • 150%(増量)=135g

それぞれ、ボリューム・焼き色・口当たりに注目して比較していきます。

ボリュームの違い

側面の高さを比較

  • 50%(45g):約2.5cm
  • 100%(90g):約3.7cm
  • 150%(135g):約4.5cm

砂糖が多い生地ほど高さのある仕上がりになる、という結果になりました。

理由は?

スポンジケーキは卵に砂糖を入れて泡立てますが、砂糖には粘度を高めて気泡の安定性を高める性質があり、この性質により薄力粉やバターを加えて焼き上げても気泡がつぶれにくくなります。
結果、砂糖が多くなるほど気泡が保たれて、ボリュームが出たと考えられます。

焼き色の違い

表面の焼き色と焼き上がりは?

50%(45g)

  • 100%や150%に比べて焼き色が薄く、途中でアルミ箔をかぶせる必要はありませんでした。
  • 表面にひび割れが多数。

100%(90g)

  • オーブンに入れてから20分ほどで表面に十分な焼き色がつきました。その後5分間はアルミ箔をかぶせて焼きました。
  • きれいに焼き上がっています。

150%(135g)

  • オーブンに入れてから15分ほどで表面に十分な焼き色がつき、その後10分間はアルミ箔をかぶせて焼きました。
  • 生地の中央部分がぷくっと焼き餅のように膨らみましたが、ひっくり返すと空気が抜けて平らに。

側面の焼き色に注目してみると?

50%は他二つに比べ、色が薄かったです。
表面の焼き色では、アルミ箔をかぶせたので違いが分かりにくかった100%と150%ですが、側面では違いが見られ、150%の方が濃い焼き色が付いていました。

理由は?

スポンジケーキを焼くと、砂糖がアミノ化合物と反応し、褐色の物質が作られます。これを「メイラード反応」といいます。

砂糖が多いほどメイラード反応により多くの褐色の物質が作られて、濃い焼き色が付いたのでしょう。

口当たりの違い

やっぱり気になるのは実際に食べたとき、ですよね。

指でつまむと弾力の違いがよくわかります。

50%(45g)

生地が詰まっていて固めな仕上がり。フォークを入れても切りにくく、食べると生地がぼそぼそとしていて、口のなかの水分が奪われます。
全体的に風味は薄い。

100%(90g)

生地はほどよく弾力があり、口に入れて数回噛むとしっとりとした生地が優しくほどけていきます。
最も卵や小麦の風味を感じられます。

150%(135g)

焼き色が濃くついているので固めなのかと思ったのですが、生地の中だけでなく、表面や側面も内外の差がないほどしっとりとしていて、フォークにも生地がまとわりつきます。

表面はカステラのように少しペタペタとしており、表面近くの一部が少々生焼け状態でした。食感はとてもしっとりとしていますが、噛んでいくとねっとりとして歯に引っ付きます。
砂糖の甘味が勝ってしまう印象。

まとめ

検証で砂糖には四つの働きがあることが分かりました。

  1. 甘さを与える。
  2. 気泡の安定性を高めるので高さが出る。
  3. 焼き色を付ける。
  4. 保水性を高めるのでしっとりする。

やはり、レシピに書かれている砂糖の分量を変えてしまうと様々な仕上がりに違いが現れてしまいますね。

ついつい分量を変えたくなってしまう砂糖ですが、おいしいお菓子を作るにはむやみに分量を変更せずにレシピ通りに用意することが大切なようです。

【おすすめの特集】お砂糖大辞典お砂糖大辞典の特集はこちら
date
2018/04/25
writer
KOU
category
お菓子作り
注:記事内容やレシピ・画像の転用・掲載などの二次利用はお断りしております。
KOU

お菓子作りと料理が趣味の男子大学生。つくる楽しみと食べる喜びが生活に欠かせません。素朴なおやつも、素敵菓子も大好きです。

コメント

まりもさん

2018/05/02 17:45

同じ量で、あったとしても 砂糖の種類によって どう変わるかも知りたいと、 思いました。

メレンゲさん

2018/05/06 07:47

偶然にもこの記事が出る前に砂糖を25%の量で作っていました。結果は50%の量と同じでした。表面にヒビがでていて固め焼色薄め。美味しいスポンジを焼くには砂糖を減らせる量は何%までが限界なんでしょう。又、他の方の投稿にもあるように他の甘味料を使用した場合の焼き違いも知りたいです。

KOUさん

2018/05/06 22:00

まりもさん コラムを読んで頂きありがとうございます。 砂糖の種類ってたくさんあるので、お菓子つくりにどのように影響するか気になりますよね・・・! 以前、スポンジ生地と生クリームをグラニュー糖と上白糖で作り比べたことがあります。https://www.cotta.jp/special/article/?p=425 また、カラメルソースを5種類のお砂糖で作り比べたこともあります。https://www.cotta.jp/special/article/?p=827 そして、よーちんママさんが「砂糖の違いによるクッキーの焼き上がり」を検証したコラムを執筆されていますよ。https://www.cotta.jp/special/article/?p=842 もし、上記のコラムには無い比較を知りたい!という場合はぜひリクエストしてくださいね。お待ちしております^^

KOUさん

2018/05/14 23:44

メレンゲさん コラムを読んで頂きありがとうございます。 ”美味しいスポンジを焼くには砂糖を減らせる量は何%までが限界なんでしょう。” これは50~100%間を刻んで焼き比べないと分からないですね・・・。美味しさを保つ最低限の砂糖の量が分かればうれしいですよね…! ”他の甘味料を使用した場合の焼き違いも知りたいです。” こちらはまた機会がありましたら、調べてみようと思います! ちなみに、「他の甘味料」は何が気になっていますか?ぜひ参考にさせていただきたいので、よろしければ教えてください^^

よしさん

2019/04/17 07:21

他の甘味料、はちみつとか黒糖とかラカンカが浮かびました。 カロリー気になるので同じ90グラムでも砂糖50に対してはちみつ40とかしたり、90のところを80グラムとかにしてつくったりすることあります。回りには甘すぎなくて美味しいと言うお言葉いただいたりします。

匿名さん

2019/12/12 21:11

私もラカンカやエリスリトールなど、糖質のないもの。 または、てんさい糖なども気になりました(^^)

茶トラさん

2020/02/13 02:13

とても興味深かったです。と言うのも私は太っていながらもお菓子を作るので、勝手に砂糖の量を90%にして作ってました(ちゃんと膨らんでいると思います) でも80%ならどうかな?70%は流石に無理かな?と思いつつ怖くててきなかったので。50%でも食べられるのは驚きでした。また楽しいチャレンジ楽しみにしています!

釣本直紀さん

2020/02/14 13:44

敢えて規定外の作り方をする事で、その分量が定められた理由が初めて判る。面白い記事。もっとこういう記事を読みたい。

さくらさく。さん

2020/05/19 03:45

50%が少ないのは明らかにわかるので、できれば90%とか80とか...70もいけるのか...とか、どこまでなら減らせるのかが知りたかったです。

ニコさん

2022/02/23 10:03

分かりやすく比べて頂きありがとうございます。 やってみたいけれど、失敗はしたくない。(*≧∀≦*)この生地を、記事を作ってくださった方に感謝です。

まみさん

2022/05/22 09:47

とても勉強になりました! レシピ通りに作るとどうしても甘すぎると感じる場合、甘さを調整する方法はあるのでしょうか?

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