失敗しやすい?米粉パウンドケーキを極めよう!
定番人気のお菓子・パウンドケーキ。近年話題に上ることの増えた、米粉で作るパウンドケーキが気になるという方も多いのではないでしょうか。
でも米粉で作るパウンドケーキは、失敗してしまうという声をよく聞きます。
今回のコラムでは、米粉パウンドケーキが失敗する原因と対策をご紹介。
絶対に失敗しないおすすめレシピもお教えします。
米粉でパウンドケーキを作る3つのメリット
米粉でパウンドケーキを作ると、どんなメリットがあるのでしょう。
メリット1.グルテンがない
米粉は小麦粉と違ってグルテンを含まないので、小麦アレルギーの方が安心して召し上がれる食材。
そして、グルテンがないということは、混ぜすぎて生地がかたくなる心配をしなくていいということ!
普段お菓子作りをしない方や、おおらかな気持ちでお菓子作りを楽しみたい方にこそ、米粉でのパウンドケーキ作りをお試しいただきたいです。
メリット2.ふるわなくてもダマができにくい
薄力粉は粒子の性質上ふるわないとダマができてしまいますが、比較的さらさらしている米粉はそのまま加えてもダマなく混ざります。
パウンドケーキはベーキングパウダーを加えるレシピも多いですが、米粉としっかり混ぜ合わせておけば問題なく作業できます(混ぜるのが面倒な方は、小麦粉同様ふるってもOK)。
メリット3.軽い口当たり
食べた印象が軽く感じるのも、米粉を使うことで生じるうれしいポイントの一つ。
菓子用米粉で作るパウンドケーキは軽さもありながら、パウンドケーキに求めるふんわり、しっとり感があります。
小麦粉で作ったパウンドケーキとはここが違う!
小麦粉で作ったパウンドケーキと米粉で作ったパウンドケーキを比べてみました。
同じ配合・焼成温度・焼成時間で、変えたのは粉だけ。小麦粉は「ドルチェ」、米粉は「菓子用米粉 ミズホチカラ」を使いました。
見た目の違い
大きくは変わりません。
小麦粉のほうがやや膨らみよく、米粉のほうが、ややキメ細かく見えます。
味の違い
後味が若干異なります。
小麦粉、米粉のそれぞれの香りが最後にふわっと残ります。
食感の違い
やわらかさ、しっとり感は同じくらい。
小麦粉がやわらかくしっとりした歯切れなのに対し、米粉はややさっくりした歯切れの良さが印象に残ります。
正直に書くと、特に比べようと意識せず食べたら、小麦粉と米粉の違いはあまりわからず、どちらもふわっとおいしいパウンドケーキだなという印象。
実際に私の家族に食べ比べしてもらったところ、違いはよく分からないけどどっちもおいしいよ!という回答をもらいました(米粉のほうがなんとなく軽いとの意見もありました)。
米粉で作ると失敗するのはなぜ?原因と対策
ここでは、よくある失敗例を挙げながら、対策を考えていきたいと思います。
失敗例1.膨らまない、ういろうみたいにかたくなる
米粉のパウンドケーキでよくある失敗として一番に挙げられるのが、「膨らまない」「かたくなる」というもの。
これは、レシピが指定している通りの米粉を使うことで避けられる失敗です。
小麦粉もそうですが、米粉も種類によって吸水率が異なります。
3種類の米粉を準備して、粉100gに対して水100gを混ぜて状態を比較してみましたが、米粉によってかたさや状態が変わるというのがよくわかります。
ミズホチカラ
米粉のために開発された熊本県産のお米「ミズホチカラ」を使用した製菓用米粉。
菓子の焼き上がりのキメの細かさなどに定評あり。
リファリーヌ
国産米を超微粒粉砕して作られた製菓用米粉。
世界的パティシエ・辻口氏の協力で開発された製品で、洋菓子界でも比較的長く使われている。
上新粉
精白したうるち米を水につけて粉砕、乾燥させた米粉。
団子や柏餅などに使われる。
一言で「米粉」といっても、その状態はさまざま。初めてのレシピにチャレンジするときは、レシピが指定する米粉を使うのが成功への近道です。
まずはレシピ通りの米粉を使用してみて、次に他の米粉でチャレンジすると楽しい試作になるのではないでしょうか。
私は普段から同じレシピをいろんな米粉で試していますが、同じ配合でも米粉を変えることで生地がふわっとしたり、歯切れがよくなったり、もっちり感が増したりと表情が変わるので面白く、求める食感によって米粉を変えるのもよいなと考えています。
失敗例2.しっとりしない、パサパサの食感になる
米粉のお菓子は「しっとりしない」「パサパサする」という声も多く聞かれますね。
これに関しては、大きく3つの原因があります。
原因1. レシピで指定された製菓用の米粉を使っていない
もっともわかりやすいのは、上記の「膨らまない」場合と同様にレシピで指定された米粉ではないものを使っている場合。
例えば、上新粉で作ったパウンドケーキはその粒子の粗さも相まって、翌日にはかたくパサパサとした食感が際立ってしまいました。
製菓用米粉は菓子用に製粉されているので粒子が細かく、上新粉のような悩みは起きません。
昨今は製菓用米粉もさまざまな製品があります。まずはレシピ通りの味を楽しんだ後、米粉を変えて自分好みの食感探しをするのもいいですね。
原因2.しっかり混ぜていない
米粉で作るパウンドケーキは、 しっかり混ぜないと食感の悪さにつながります。
米粉を加えてからの混ぜが足りない生地は、下の画像のように膨らみもいまいち。食べたときに、もそもそと喉に詰まるような感覚が残ります。
しっかり混ぜた米粉のパウンドケーキは、混ぜていないものよりも、ふっくら膨らんでいますよね。
グルテンを含まない米粉は、混ぜすぎてかたくなる心配をしなくてよいぶん、しっかり混ぜて膨らみをよくし、のどごしの良い生地を作りましょう。
原因3.保存方法がよくない
ある程度の水分を含んだパウンドケーキのようなお菓子は、常温や冷蔵庫に数日間置いておくと米のでんぷんが老化と呼ばれる現象を起こして食感が悪くなり、パサパサした食感になってしまいます。
炊いたごはんがだんだんかたくなり、おいしくなくなる様子をイメージするとわかりやすいかもしれません。
老化を起こすのは小麦粉のでんぷんも同じですが、米粉の場合は特に食感の変化がわかりやすいからか、「米粉のお菓子はパサパサ」というイメージがついているのではと感じています。
配合の調整でもパサつきを防止することはある程度可能ですが(生地中の米粉量を減らす、油脂や糖分を適度に加えるなど)、最も効果的なのは焼き上がったパウンドケーキを冷凍すること!
召し上がるときは室温で解凍してください。
しっとり感も増し、おいしく食べられますよ。
絶対失敗しない!基本の米粉パウンドケーキのレシピ(18cmパウンド型1台分)
基本的な4同割のパウンドケーキも、米粉で作れば分離知らず!しっかり混ぜてしっとりおいしいパウンドケーキを楽しみましょう。
使用する米粉は「菓子用米粉 ミズホチカラ」。粒子が細かいので膨らみも良く、パウンドケーキと相性抜群の米粉です。
今回は香り付けなどしない代わりにきび砂糖で味わいに豊かさをプラス。よりシンプルにしたいときは、粉砂糖などに置き換えても良いですよ。
材料
- バター(食塩不使用) …100g
- きび砂糖…100g
- 溶き卵…100g
- 菓子用米粉 ミズホチカラ…100g
- ベーキングパウダー…2g
下準備
- バターを室温に置いてやわらかくする。
- 卵を室温に置く。
- 米粉とベーキングパウダーをしっかり混ぜ合わせておく。
- パウンド型に紙製ベーキングシートを敷いておく。
作り方
- やわらかいバターをハンドミキサーでほぐす。
- きび砂糖を加え、全体が白っぽくなるまでハンドミキサーで混ぜる。
*たっぷり空気を含むように、ハンドミキサーをしっかり当てる。ボウルのサイズも大きすぎず小さすぎず、効率よくハンドミキサーが当たるものを選ぶ。
- 卵の半量を4回程度に分けて加える。
混ぜ残しがないように、都度ハンドミキサーで混ぜる。
- 粉類の半量を加え、ゴムベラでなじませるように混ぜる。
- 残りの半量の卵を4回程度に分けて加える。
混ぜ残しがないように、都度ハンドミキサーで混ぜる。
- 残りの粉類を加えてゴムベラでなじませるように混ぜ、ハンドミキサーの中速でつやが出るまで混ぜる。
- 型に生地を入れて軽くトントンしたのち、両サイドに生地をすり上げ、真ん中にゴムベラで跡を付ける。
- 170℃で約40分間焼成する。
割れ目に薄く焼き色が付き、竹串で刺して何もついてこなければ焼き上がり。焼き上がり直後軽くショックを与え、型から取り出して冷ます。
- 完成。
焼いた当日もおいしいですが、翌日以降もしっとりして◎
保存する場合は、乾燥しないようラップを忘れずに!
「米粉のプレーンパウンドケーキ」の詳しいレシピページはこちら。
失敗の原因を理解して、おいしい米粉のパウンドケーキを作ろう!
米粉で作るパウンドケーキが失敗してしまう原因について、理解していただけたでしょうか。
失敗の原因を理解して作れば、ふんわり膨らんだパウンドケーキが作れるはず!
ふるわなくてもよかったり、しっかり混ぜても大丈夫だったりと、思ったよりも取り掛かりやすい米粉のパウンドケーキ。
失敗しないレシピをぜひお試しください。