アガーの種類によって違いはあるの?
なめらかでみずみずしい食感のゼリーが作れるアガー。
いろいろな名前のアガーがあるので、どれを購入すればよいのか迷ってしまうことはありませんか?
今回は種類によってどんな違いがあるのか、使用感はどう違うのかなどを、以下の4つのアガーで検証します。
アガーとは
アガーとは、海藻のツノマタ・スギノリ・キリンサイなどから抽出された多糖類の「カラギナン(カラギーナンとも)」や、マメ科の種子から抽出する多糖類の「ローカストビーンガム」を原材料としたゲル化剤。
特徴は、無味無臭で透明度が高く、やわらかくなめらか。
寒天やゼラチンとはまた違った食感を楽しむことができます。
アガーにはパールアガー・ゼリアガー・クールアガー・イナアガーなど名前の違う製品がいくつかありますが、これらは製造しているメーカーが違います。
パールアガー・ゼリアガー・クールアガー・イナアガーの違い
今回の検証に用いる4つのアガーの原材料や使い方を見てみましょう。
パールアガー8
パールアガーは、株式会社富士商事の商品。
原材料
ローカストビーンガム8.0%、カラギナン7.0%、リン酸二水素カリウム2.0%、食品素材(ブドウ糖)83.0%
使用目安量
液体量に対して1.5~3%添加
使用方法
80℃で加熱、または軽く沸騰させる
ゼリアガー
ゼリアガーは、株式会社ジェリフの商品。
原材料
ブドウ糖81.0%、ローカストビーンガム9.0%、カラギーナン8.0%、リン酸二水素カリウム2.0%
使用目安量
液体量に対して2%添加
使用方法
80℃で5分間加熱する
クールアガー
クールアガーは、新田ゼラチン株式会社の商品。
原材料
ローカストビーンガム11%・カラギーナン9%・リン酸一カリウム3%・ぶどう糖77%
使用目安量
液体量に対して1.3~2%添加
使用方法
85℃以上で加熱する
イナアガー A
イナアガー Aは、伊那食品工業株式会社の商品。
原材料
ぶどう糖、寒天、こんにゃく粉、増粘多糖類
使用目安量
液体量に対して1.6%添加
使用方法
沸騰後1分間加熱する
4つの違いは?
パールアガー・クールアガー・ゼリアガーの原材料はほぼ同じ。各製品により、配合に違いがあるようです。
イナアガーAは、寒天やこんにゃく粉が入っているところが特徴的。
各アガーによって、メーカーが推奨している使用目安量と使用方法がそれぞれ違います。
※2023年7月時点のメーカー情報など参照
4つのアガーでゼリーを作ってみた
4つのアガーそれぞれの使用目安量・使用方法でゼリーを作り、透明感や固まり具合などを比べてみます。
検証条件
材料
- 水…200g
- グラニュー糖…20g
- アガー…各アガーの使用目安量の最大値で検証
パールアガー(3%):6g
ゼリアガー(2%):4g
クールアガー(2%):4g
イナアガー(1.6%):3.2g
工程
アガーと砂糖を混ぜ合わせておき、ダマにならないように少しずつ水に分散させて加え、かき混ぜる。
各アガーの推奨している使用方法どおりに加熱したのち固める。
検証結果
パールアガー
- 透明感がある。
- 弾力があり、ツルンとした食感。
- しっかりと固まっていて、型から出しても形を保っている。
ゼリアガー
- 透明感がある。
- 5分間加熱するので水が蒸発して容量が少し減るからか、他のアガーよりも甘さを感じる。
- 弾力はあるが、なめらかな口当たり。
- 固まっているが、少しゆるい。型から出すと少し広がる。
クールアガー
- 透明感がある。
- スプーンから落ちそうで、すくいづらい。
- 弾力はあまりない。トゥルトゥルで口溶けが良い。
- 型から出すと広がる。
イナアガー
- 少し白濁している。
- 歯切れは良いが、寒天ほど固くはなくツルンとしていてやわらかい。
- しっかりと固まっていて、型から出しても形をしっかりと保っている。
色の違いをチェック!
並べてみると、パールアガー・ゼリアガー・クールアガーは同じくらいの透明感。
イナアガーは少し白っぽい。
保形性をチェック!
型から出して並べてみると、イナアガーが最もしっかりと形を保っている。その次はパールアガー。
ゼリアガーとクールアガーは形を保てていない。
保形性の強さは、イナアガー>パールアガー>ゼリアガー>クールアガー
ここもポイント!
パールアガーの凝固力がクールアガーやゼリアガーより強く見えるが、最大値の3%を入れたためしっかりと固まっているという考え方もできる。
試しに2%で作ってみたところ、ゼリアガーとだいたい同じくらいの凝固力、保形性であった。
検証結果からの考察
4種類のアガーは、使用目安量や使用方法がそれぞれ違い、それによってかたさや口当たりなどが違うことがわかりました。
アガーで作るゼリーは出来上がりの状態が変わることがありますが、これはレシピで指定されているアガーと違う種類の商品を使ったことが原因の可能性が大きいと考えられます。
特にイナアガーは他のアガーより凝固力があるので、イナアガーのレシピを他のアガーで代用すると緩くなり、逆に他のアガーのレシピをイナアガーで代用するとかたすぎてしまうと予想できますよね。
また、アガーは砂糖の量によっても凝固具合が変わります。
今回の検証よりも砂糖を多く入れたり糖度の高いジュースを使用したりすると、検証結果よりしっかりと固まります。
作りたいものによって、目安量を増やしたり減らしたりして調整する使い方がおすすめです。
検証結果のポイントをまとめてみました。
- 型から外してしっかりと形を保ちたいならイナアガーがおすすめ。
- 透明感を求めるならパールアガー・ゼリアガー・クールアガーがおすすめ。
- パールアガー・ゼリアガー・クールアガーは似ているが、クールアガーが一番ゆるい仕上がりになる。
酸味の強い果汁を固めたいときにおすすめのアガー
アガーは酸味の強いものと一緒に加熱すると固まりづらくなります。
酸味の強い果汁を固めたいときにおすすめなのが、「クリアガー」!
果汁100%でもゼリーにできるアガーです。
酸っぱい果汁もぷるんっとしっかり固められて、素材の味そのままのデザートが作れます。
また、冷凍しても離水の少ないゼリーが作れる点も◎
この商品も知っておいて損はありません。
製品によって違う!アガーを使いこなそう
アガーは種類によって、固まり方や食感などに違いがあることがわかりました。
アガーの特徴や使い方を守ることで失敗を防ぎ、好みの固さのゼリーが作れます。
ぜひ今回の検証を参考にしてみてください。
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