粉ゼラチンと板ゼラチンはどう違うの?
ゼリーやムースに欠かせないゼラチン。ゼラチンには粉ゼラチンと板ゼラチンがありますよね。
「代用できるの?」「見た目や食感に違いはあるの?」と疑問に思ったことはありませんか。
今回は、粉ゼラチンと板ゼラチンの特徴や違いを解説し、代用可能かを検証します。
まず知っておこう!ゼラチンとは?
ゼラチンとは、豚や牛など動物の骨や皮に含まれるコラーゲンという動物性タンパク質から作られたものです。
- やわらかくプルンとした食感
- 20〜30℃で溶けるので、口に入れるとスッと溶ける
- 寒天やアガーに比べ、口溶けの良さは一番
などの特徴があります。
用途は、ゼリーをはじめ、ムースやババロア、マシュマロなど。
さまざまなメーカーから多くの商品が発売されており、凝固力や透明度の違いでグレード分けされています。
粉ゼラチンとは
粉ゼラチンとは、製造過程でゼラチンを粉末状にしたもの。
粉末状のためグラム単位で計りやすく、好きな量を使うことができるので、家庭で扱いやすいアイテムです。
一般的な使用量と使い方
標準的な添加量は、水分量100mlに対して2.5~3g。
※製品により異なります。
使用方法
- 粉ゼラチンの分量の4〜5倍の水に加え、ダマができないようにふやかす。
- ふやかしたゼラチンを50~60℃に温めた液体に入れて溶かす。
ポイント:冷蔵庫に入れてふやかすと、固まって容器からきれいに取れます。
冷たい液体に入れる場合は、ふやかした粉ゼラチンをレンジや湯せんで溶かしてから液体に入れてください。
ふやかさずに使える顆粒ゼラチンもあります
ふやかす手間を省き、50~60℃の液体に直接振り入れて溶かすことのできる、扱いが簡単な顆粒ゼラチンという製品もあります。
板ゼラチンとは
板ゼラチンとは、製造過程でゼラチンを薄いシート状(板状)にしたもの。
1枚の重さが一定なので(1枚2〜10g程度で、製品ごとに決められている)、枚数を数えればよく、計量する手間がかからず便利。
作る量が多いお店などに適しています。
一般的な使用量と使い方
標準的な添加量は100mlに対して2.0~2.5g
※製品により異なります。
使用方法
- たっぷりの冷水につけて戻す。
- やわらかくなったら水気を絞り、50~60℃に温めた液体に入れて溶かす。
粉ゼラチンと板ゼラチンの違いを検証してみた
粉ゼラチンと板ゼラチンでゼリーを作り、それぞれの違いをチェック!
使用したゼラチン
- 粉ゼラチン…cotta ゼラチンパウダーニューシルバー(使用推奨量:2.5~3%)
- 板ゼラチン…cotta リーフゼラチン ゴールド(使用推奨量:2.1%)
検証1.推奨量のゼラチンでゼリーを作って比較
粉ゼラチンと板ゼラチンそれぞれの使用推奨量でゼリーを作り、見た目や食感を比較します。
粉ゼラチンの配合(推奨量最低値の2.5%添加)
- 水…100ml
- 砂糖…10g
- 粉ゼラチン…2.5g
- 水(ふやかす用)…10g
板ゼラチンの配合(推奨量2.1%添加)
- 水…100ml
- 砂糖…10g
- 板ゼラチン…2.1g
結果
型抜きした大きさ・高さは同じ。かたさもほぼ同じだが、色と食感に違いがある。
粉ゼラチン
- 黄色みがある
- 弾力ある食感
板ゼラチン
- 透明度がある
- なめらかな口当たり
検証2.同量のゼラチン量でゼリーを作って比較
板ゼラチンの推奨量2.1%で、粉ゼラチンもゼリーを作り、比較します。
配合
- 水…100ml
- 砂糖…10g
- 粉ゼラチン・板ゼラチン…それぞれ2.1g
*板ゼラチンが水を含んだ量を計り、粉ゼラチンは水10gでふやかした
結果
粉ゼラチンは推奨量より少ない添加量なのでやわらかく、型抜きすると広がってしまう。
検証3.緩めのオレンジゼリーを作って比較
粉ゼラチン・板ゼラチン共に、推奨量よりも少なめの添加量1.6%でオレンジゼリーを作り、比較します。
配合
- 100%オレンジジュース…300ml
- 砂糖…30g
- 粉ゼラチン・板ゼラチン…それぞれ5g
- 粉ゼラチンをふやかす水…20g
結果
色や固まり具合にあまり差はなく、食感や口溶けに違いが出た。
粉ゼラチン
ややもっちりとした食感
板ゼラチン
すっきりとした口溶け
粉ゼラチンと板ゼラチンは代用できる?
基本的に粉ゼラチンと板ゼラチンの代用は可能です。
しかし、代用するときの注意点があることが検証によってわかりました。
代用する際は以下に注意して、使用しましょう。
- 口溶け・食感・色味に差が出る。
- 容器に入れたままの緩いゼリーはそれほど気にしなくてよいが、型抜きするゼリーは代用することによって保形性が保たれない場合がある。
- ゼラチンにはグレードがあり、グレードが高くなるほど透明感や強度が増す。
使用量もグレードによって違うので、同等の強度ではないゼラチンの代用はそのまま置き換えるのが難しくなる。
粉ゼラチンを使うなら?おすすめスイーツ例
手軽に使えるのが魅力の粉ゼラチン。どんなスイーツに向いているのか、いくつか例を挙げてみます。
ふやかさずに使える顆粒ゼラチンは特にお手軽。温かい液体に振り入れるだけでゼリーが作れます。
温かいコーヒーに砂糖とゼラチンを入れて溶かせば作れるコーヒーゼリーはおすすめのメニューです。
ふやかした粉ゼラチンは湯せんかレンジで溶かしたら、冷たい液体に入れられます。
冷たいチーズ生地にも入れられるので、レアチーズケーキにも◎
板ゼラチンを使うなら?おすすめスイーツ例
板ゼラチンの良さは透明度となめらかな口溶け。向いているスイーツを見てみましょう。
透明感のあるゼリーを作りたいなら、やっぱり板ゼラチンがおすすめ!
フルーツとの相性も良く、すっきりクリアなゼリーができます。
パンナコッタも、板ゼラチンを使うとなめらかな仕上がりでワンランクアップの仕上がりに。
粉ゼラチンと板ゼラチンの特性を理解して使いこなそう!
今回は、粉ゼラチンと板ゼラチンの違いについて解説しました。
違いを理解していれば、代用して失敗することも減りますよね。
お菓子作りに欠かせないゼラチン。
粉ゼラチンと板ゼラチンそれぞれの使いやすさ、見た目や食感の好みなどで使い分けてくださいね。
粉ゼラチンと板ゼラチンの使い方については、コラム「粉ゼラチン・板ゼラチンの使い方」でも詳しく解説しています。ぜひご覧ください。