シュトーレンはなぜ日持ちするの?
ドイツのクリスマスシーズンに欠かせないお菓子で、日本でも人気の高い「シュトーレン」。
クリスマスが近くなるとパン屋さんやお菓子屋さんで見かけるようになり、ご家庭でも手作りのシュトーレンを楽しまれている方は多いと思います。
ところでこのお菓子、「日持ちがよい」という話を聞いたことがありませんか?
それは、なぜなのでしょう。
今回は、シュトーレンが日持ちする理由について解説します。
一緒にお教えする、おいしいマリアージュ(飲み物との組み合わせ)とアレンジも必見です。
シュトーレンとは
シュトーレンとは、ドライフルーツやナッツが入った細長い形状の、ドイツの伝統的な発酵菓子。
歴史は古く14世紀に遡り、当時は水、燕麦、菜種油で作られた質素なお菓子だったそう。
時を経て、ドイツ・ザクセン州のパン職人によって、現在のようなリッチなクリスマス菓子へと変貌を遂げたといわれています。
当初から今なお変わっていないところもあって、それはシュトーレンの「形」だそうですよ。
シュトーレンは、クリスマス前の4週間(「アドヴェント」の期間)に楽しむお菓子として有名。でもクリスマス以外にも楽しまれており、「モーンシュトーレン(ブルーポピーシードのシュトーレン)」や「マンデルシュトーレン(アーモンドのシュトーレン)」など、さまざまな種類があります。
日本では「シュトーレン」と呼ばれることが多いのですが、ドイツ語の発音だと「シュトレン」になります。最近では、こちらも耳にするようになってきましたね。
シュトーレンの日持ちはどのくらい?
まず、シュトーレンの日持ちを市販品と自家製の場合でみてみましょう。
市販品の場合
商品に記載されている賞味期限を確認しましょう。
自家製の場合
生地の配合や練り込む具材、作業場所の衛生環境、保存状態にもよるので「日持ちの期間」は一概に言えませんが、基本的には「早めに」食べ切ることをおすすめします。
例えば、生地中の水分量が多かったり、生や半生状の具材を使用していたり、焼成で十分に火が通っていなかったり(生地の中心温度が90℃以上になるまで焼成していない)すると、カビの発生や腐敗の原因になることもあるので注意してください。
シュトーレンが日持ちするのはなぜ?
では、シュトーレンはどうして日持ちがするのでしょうか?
シュトーレンの製法では、焼き上がりに溶かしバターを表面全体に塗り、砂糖をまぶします。ここがポイント!
バターは生地の水分の蒸発を防いでしっとりとやわらかさを保ち、腐敗を防止。
そして砂糖で全体を覆うことで空気に触れにくくなり、乾燥やバターの酸化を防ぎ、砂糖が持つ防腐性の効果によりカビの発生や細菌類の繁殖も防ぐことができます。
すなわち「砂糖でコーティングされている」ことが、日持ちがする最大の理由なのです。
シュトーレンの切り方
手作りのシュトーレンは3~4日後から食べ始めるのがおすすめ。
1cm幅くらいにスライスしてお召し上がりください。
シュトーレンをカットする時は真ん中から。
カットしたあとは生地の乾燥を防ぐため、断面をぴったり合わせてラップに包み、ジッパー付きの袋または密閉容器に入れておきましょう。
シュトーレンの保存方法
シュトーレンを保存するなら、どの温度帯が向いていると思いますか?
常温・冷蔵・冷凍に分けて、保存の方法をみてみましょう。
常温
基本的におすすめできません。
日本の気候風土は、ヨーロッパと比べると冬でも高温多湿。そして住宅環境も良好(気密性が高く、温度と湿度も快適)なことが理由です。
冷蔵
おすすめの方法。
ぴったりとラップで包んでジッパー付きの袋または密閉容器に入れ、冷蔵庫の冷蔵室か野菜室へ。
カットしてない状態なら3~4週間、カットしたものは2週間くらいで食べ切りましょう。
冷凍
しばらく食べないなら冷凍庫保存がおすすめ。
2~3か月を目安に、冷蔵と同様にラップに包んでジッパー付きの袋などに入れて保存を。
解凍後の再冷凍は避け、カットやスライスをしたもの、霜が付いたものはお早めに。
おいしい食べ方:マリアージュ編
シュトーレンとのマリアージュが楽しめる飲み物についてご紹介します。
ホットワイン(グリューワイン)
現地での楽しみ方のひとつで、お互いのスパイスやフルーツの風味がよく合います。
コーヒー
ブラジルやマンデリンなど、コクと甘みが感じられるタイプとの相性が◎
紅茶
ダージリンやアッサムなどの香りの高いタイプがおすすめ。スパイスがきいた「チャイ」も。
シャンパン(スパークリングワイン)
濃厚なシュトーレンの味を、シャンパンの泡がスッキリさせてくれます。
おいしい食べ方:アレンジ編
シュトーレンはそのままでもおいしいけれど、プラスαのアレンジでもっとおいしく食べられます。
トースト&バター
外はカリッと中はサクッとした食感のシュトーレンに浸み込んだバターがやみつきになるおいしさ。
シュトーレンカナッペ
シュトーレンの甘みに塩気のある具材が絶妙に合う。おもてなしに◎
シュトーレンプディング
卵・牛乳・砂糖を混ぜたアパレイユにちぎったシュトーレンを混ぜ、トースターやオーブンでベイク。
温かくても冷たくてもおいしいですよ。
伝統菓子・シュトーレンの日持ちの理由に納得!
粉雪のような真っ白なお砂糖で覆われたシュトーレン。見た目の美しさだけでなく、砂糖の持つ防腐性の高さが、日持ちのよさに大きく貢献していることがわかりました。
保存性がよいとはいえ、保存の方法や衛生管理に注意をしながら、最後までおいしく召し上がってくださいね。