基本を確認!おいしい生クリームを作るには?
お菓子作りの工程でよく登場する生クリームの泡立て。
意外と知らないこと、分からないことが多くて、「失敗したー!」という経験がある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
今回は、生クリームの泡立てについて基本から確認していきましょう!
生クリームとは
生クリームとは、動物性脂肪(乳脂肪)=生乳のみを原材料としたもの。生乳から乳脂肪分を遠心分離で濃縮させて作られます。
「乳脂肪分が18%以上のもの」と定められていますが、泡立てが可能なのは30%以上のもの。30%未満のものはコーヒーなど飲み物に加えるのに適しています。
通常私たちがお菓子作りで泡立てに使用するのは35~48%程度です。
クリームの違いは出来上がりに影響するので、いろいろな種類があることを知っておくのも大事です。
ホイップクリームとの違いについては、コラム「生クリームとホイップクリームの違い、ご存じですか?」をチェック!
生クリームを扱うときの4つの注意点
生クリームを使うときの注意点を確認しましょう。
注意点1.温度
生クリームは温度の影響をとても受けやすい食材。良い状態だと乳脂肪分と水分がきれいに乳化しています。
これにより、泡立てたときに脂肪分が繋がり、とろみがつくと同時に空気を抱き込んでいくのですが、温度が上がると乳脂肪分が溶けてゆるくなります。するとなかなか泡立たず、そのまま立て続けると分離します。
泡立てに使用する際は、まず生クリームがしっかり冷えていることが大前提!
購入してきたものをすぐに泡立てていませんか?計量して冷蔵庫から出しっぱなしにしていませんか?生クリームの温度には特に気を配りましょう。
次に、氷水で冷やしながら泡立てること。こうすることで、生クリームの温度上昇を防ぐことができ、より良い状態で泡立てられます。
そして室温にも注意が必要。
泡立ての際「空気を抱き込む」ということは、室温が高ければ暖かい空気を生クリームに取り込んでいるのです。
夏場であればクーラーを使用し、冬場は暖房の暖かい風が当たらないようにするなど、気を付けましょう。
注意点2.道具
何を作るときでもそうですが、ボウルやホイッパーには水分が残っていないように、また清潔なものを使用してください。
先ほどの温度の話にも通じますが、夏場は道具を冷やしておくのも良いですね。
ボウルは冷たいほうが良いからといって、生クリームを計量する前に氷水につけて置いておくと結露が発生し、水分を拭き取った意味がなくなるのでご注意ください。
注意点3.乳脂肪分
生クリームは脂肪分によって、空気を抱き込む量(体積)・かたさ・風味などが変わってきます。
生クリームだけで使用するのであれば好みで変えられることもありますが、他の食材と合わせるときはレシピに記載された乳脂肪分を守るようにしましょう。
注意点4.時間
生クリームを前もって泡立て、冷蔵庫で保存することは可能ですが、時間がたつと緩くなります。
使用前に全体を軽く混ぜ、必要なら立て直しをしましょう。
泡立てたものは、できるだけ当日中に使い切るのをおすすめします。
必要な道具
生クリームを泡立てるときに必要な道具をチェックしましょう。
ボウル
ボウルは2つ必要です。1つは氷水用に使用します。
氷水につけたときに生クリームに氷水が入らないようにするため、同じくらいの大きさだと◎ 生クリームのボウルは深めを使用するとより安心です。
素材
ステンレスが丈夫で扱いやすく、氷水につけたときにもすぐに冷えるのでおすすめですが、注意しないと金気が出てしまいます。
※金気とはステンレス表面の酸化被膜が剥がれたもの。クリームの中に黒い粒ができるあれです。
ボウルと泡立て器を必要以上にこすり合わせると金気が出る原因になりますが、新品のボウルも出やすいので、繰り返しよく洗う・何回か別のレシピに使用するなど対応を。
金気が出ないガラスのボウルを使うのもおすすめです。
大きさ
生クリームは泡立てると体積が増えるので、計量したときにボウルの1/3程度になる大きさが良いでしょう。
泡立て器
ワイヤーの本数の多めのものがおすすめ。泡立てが楽ですよ。
シリコンの泡立て器は、ステンレスのボウルを使用するとき金気が出るのを防げます。
ハンドミキサー
乳脂肪分が低いもの・量が多いときなどは、ハンドミキサーがあると便利です。
泡立てには注意が必要なので、立て方の項目でご確認ください。
ゴムベラ
ボウルの内側をきれいに払うのに使います。
ボウルの内側に広がった生クリームを放置すると常温にさらされて傷みやすくなるので、時々ゴムベラで払いましょう。
生クリームに砂糖は入れる?入れない?
砂糖を加えなくても生クリームを泡立てることは可能。
ただ、砂糖を加えたほうが安定性が良く、分離(離水)しにくくなるので、デコレーションケーキやロールケーキ、飾りの絞りなどは味わい以外の面でも加糖がおすすめです。
どんなものと組み合わせるか、また好みによって甘さの調整をしますが、生クリームに対して6~10%くらいが目安(生クリーム100gであれば砂糖6~10g)。
6%なら甘さすっきり、10%ならしっかり甘さを感じられます。たったこれだけの量で、クリームの印象がだいぶ変わりますよ。
砂糖を加えることによって、甘味やコクをプラスすることができるのです。
砂糖を加えるのは、生クリームに溶けやすいように泡立てる前。
泡立った後から加えると立て過ぎる危険もあるので、早い段階で加えましょう。
ムースに材料として加えたり、甘さの強いスイーツに添えたりするなら、無糖で泡立てることが多いです。
生クリームの立て方
47%の生クリームを使って泡立て方をご紹介します。
手立ての場合
今回の撮影では200mlの生クリームを24cmのガラスボウルで立てています。
- ボウルに生クリームを計量し、冷蔵庫で冷やしておく。
- 氷水を用意する(クラッシュ氷など細かいものがあればより使いやすい)。
*氷だけだと隙間ができてしまうので、水を足したほうがしっかり冷やせます。
- 砂糖を加え、よく混ぜて溶かす。
- ボウルを少し傾け、生クリームを寄せる。泡立て器を左右に振るようにして泡立てる。
*泡立て器をボウルの底にあてないようにすると、ステンレスのボウルを使っても金気が出るのを防げます。円を描くように泡立て器を浮かせ、大きく掻き立てる必要はありません(泡立つ仕組みが卵白とは違うので、メレンゲの立て方とは異なります)。
泡立て器の柄をボウルのふちにあてたまま、左右にスライドさせるようにしてみてください。ふちにあてていれば泡立て器を底にあてないように泡立てても疲れにくいですよ♪
- 目的のかたさまで泡立てる。
6分立て:ムースなどに
7分立て:ナッペなどに
8分立て:絞りなどに
○分立てについては、コラム「何分立て?これでわかる!生クリームの泡立て」をチェック!
周りに広がった生クリームは、時々ゴムベラで払うのを忘れずに。
途中で氷が溶けたら水を少し捨て、氷を足しましょう。
ハンドミキサーの場合
ボウルは深型の15cmを使用しています。
- 工程3.までは手立てと同様。
- ハンドミキサーの低速で泡立てる。
*底にワイヤーが当たらないように気を付けて。高速だと周りに飛び散る・立て過ぎる・脂肪分が繋がるのが早過ぎて空気をしっかり抱き込めないなどの問題が起こるので、早すぎるのもNG。
- 泡立て過ぎを防ぐため、とろみが付いたらミキサーを止め、目的のかたさまで手立てで仕上げる。
35%との違い
ちなみに35%の生クリームを絞りに適したかたさまで立てたものが下の画像。47%よりふわふわ軽い仕上がりです。
絞ってみると、しっかり違いがわかりますね。
基本を押さえて失敗知らず!
おいしい生クリームの基本の作り方について、ご理解いただけたでしょうか。
一言で生クリームを泡立てるといっても、注意することがいろいろあります。
ちょっとしたことで失敗することがないよう、基本を押さえてチャレンジしてみてください。