小麦粉の違いをご存じですか?
薄力粉はお菓子作りに、強力粉はパン作りに適しているということは何となくわかっているけれど、強力粉でお菓子は作れないのかなと疑問に思ったことはありませんか?
今回は、スポンジケーキとクッキーを薄力粉と強力粉で焼き比べて検証!薄力粉と強力粉の違いについて解説します。
一目でわかる!薄力粉と強力粉の違いを表で確認
小麦粉の違いとしてよくいわれるのが、含まれるタンパク質(グルテン)の量。少ないものから、薄力粉・中力粉・強力粉に分類されます。
他にはどんな違いがあるのでしょう。
まず最初に、薄力粉と強力粉の違いを表で確認してみましょう。
薄力粉とは
薄力粉とは、軟質小麦(粒がやわらかく、タンパク質含有量が少ない性質の小麦)から作られる小麦粉。
タンパク質含有量の目安は6.5~8.5%と少なめなのが特徴。ケーキやクッキーなど、軽い食感のスイーツ全般に向いている粉です。
薄力粉を強く握って手を開くと、粒子同士がくっついてひとまとまりになり、ダマになっているのがわかるでしょうか。
これは薄力粉の粒子が細かいから。薄力粉の原料は軟質小麦でやわらかく、砕くと脆く崩れるので粒子が細かくなります。
強力粉とは
強力粉とは、硬質小麦(粒がかたく、タンパク質含有量が多い性質の小麦)から作られる小麦粉。
タンパク質含有量の目安は11.5~13.5%と多めなのが特徴。もちもちと弾力のあるパン生地作りに向いている粉です。
強力粉を強く握って手を開くと、薄力粉と違って固まっていません。
これは、強力粉の粒子が粗く、粒子同士がくっつきにくいから。強力粉の粒子が粗めなのは、原料の硬質小麦がかたく、粉にするときに粗くしか砕けないからです。
ダマにならず、きれいに分散するので、強力粉は打ち粉にも使われます。
スポンジケーキを焼いて比較してみた
薄力粉と強力粉でスポンジケーキを焼き、生地の状態や焼き上がり、食感などの比較項目をチェックしました。
【条件】
- 薄力粉はタンパク質含有量7.6%の特宝笠を使用
- 強力粉はタンパク質含有量12%のイーグルを使用
- その他の材料、配合、作り方は全て同じ
生地の状態
- 出来上がりの生地の状態に差はない。
焼き上がりの高さ、形
- 薄力粉は5cm、強力粉は4.5cm。わずかだが薄力粉のほうが高い。
- 薄力粉は垂直に焼き上がっているが、強力粉は焼き上がり後に内側にやや縮んだため、少し小さく見える。
スライスした断面
- 薄力粉はきめ細かく、色が白い。
- 強力粉はきめが粗く、やや黄色っぽい。カット時にポロポロとくずがでやすい。
触感・食感
- 薄力粉はふんわりしっとりした口当たり。ソフトな弾力があり、食感は軽い。
- 強力粉は弾力が強い。薄力粉に比べるとパサついており、食感はやや重め。
違いが出る理由は?
グルテンの粘りや弾力は、焼いている最中のスポンジケーキの膨らみを妨げます。そのため、グルテンの少ない薄力粉は膨らみやすく、グルテンの多い強力粉は膨らみにくくなります。
また、グルテンは加熱されるとデンプンよりかたく固まるため、焼き上がりの食感にも影響が出るのです。
つまり、グルテンが少ない薄力粉はソフトな弾力の生地を焼くのに最適な小麦粉だということ!
タンパク質含有量が少ない薄力粉ほどやわらかい食感のスポンジが焼けます。
クッキーを焼いて比較してみた
薄力粉と強力粉で型抜きクッキーを焼き、生地の状態や焼き上がり、食感などの比較項目をチェックしました。
【条件】
- 薄力粉はタンパク質含有量7.6%の特宝笠を使用
- 強力粉はタンパク質含有量12%のイーグルを使用
- その他の材料、配合、作り方は全て同じ
生地の状態
- 生地の状態、型抜きのしやすさなどに差はない。
焼き上がり
- 薄力粉は白っぽい焼き上がり。縁が丸みを帯びている。
- 強力粉は焼き色が濃い。縁がまっすぐ立ち上がっていて小さめ。
味・食感
- 薄力粉はサクサク軽い食感。
- 強力粉は少しかため。ザクザク感のある重めの食感。
違いが出る理由は?
クッキーもスポンジケーキと同様、グルテンが多いほど焼き上がりがかたくなります。
薄力粉の中でもタンパク質含有量が少ないほど、サクサクで軽い食感のクッキーに。ザクザクとした重めの食感を求めるときは、タンパク質含有量の多い薄力粉を使うのがおすすめです。
違いを知って失敗知らず!薄力粉と強力粉を使い分けよう
薄力粉と強力粉の違いをわかりやすく具体的にご紹介するために、スポンジケーキとクッキーを焼いて比較検証しました。
結果として、薄力粉と強力粉では仕上がりに違いが出ることがわかりましたね。
お菓子作りに向いているのは薄力粉ですが、しっかりとした口当たりにしたいときはレシピの一部を強力粉に置き換えるという方法もOK!
基本となる素材それぞれの特性を理解し、使用用途によって使い分けることが大切。
好みの食感のお菓子を焼くのに役立ててください。
パンを焼いてみた比較結果を知りたい方は、コラム「強力粉と薄力粉の違い、パンを焼いて比べてみた」をご覧ください。