小麦粉の違い、理解していますか?
パン作りに必要不可欠な小麦粉。国産小麦と外国産小麦はどう違うのでしょうか?
今回は国産小麦と外国産小麦で焼き比べをして、その違いについて解説していきます。
小麦粉について理解した上で、国産小麦と外国産小麦を比較すると分かりやすいですよ。
小麦粉の成分
小麦粉の成分の中でも重要なのが、「タンパク質」と「灰分(かいぶん)」です。
タンパク質
小麦粉は、タンパク質(グルテン)の質と量によって分類することが一般的です。
タンパク質の含有量が最も多いのが「強力粉」、次に「準強力粉」、「中力粉」と続き、最も少ないものが「薄力粉」です。
主に、パンには強力粉、中華麺には準強力粉、うどんには中力粉、お菓子には薄力粉を使います。
タンパク質は水を含むと、粘りと弾力の元となる「グルテン」を形成します。このグルテンがたくさんあると生地が強くなり、ふっくら膨らんだ弾力のあるパンになります。
そういうわけで、パン作りには強力粉を使うのです。
灰分
小麦の外皮や胚芽部分に多く含まれるミネラル分のことです。
色の白い粉ほど灰分は少なく、色づいた粉ほど灰分が多くなる傾向にあります。
灰分が少ない粉を使用してパンを作ると、小麦の風味が軽くあっさりしたパンになります。灰分が多い粉を使用すると、風味の強いパンになります。
また、灰分の多い粉は酵素を多く含むので生地がだれやすいです。
国産小麦と外国産小麦の違い
日本の小麦消費量のうち、国産小麦は約10%程度で、残りは海外から輸入した外国産小麦です。
国産小麦と外国産小麦は性質面でどのような違いがあるのでしょうか?
国産小麦と外国産小麦ではタンパク質(グルテン)の含有量と質に違いがあります。
国産小麦
- グルテンが少なく弱いので、ボリュームが出にくい。
- 灰分が多くて小麦の風味が強い。
外国産小麦
- グルテンが多く強いので、ふっくらボリュームが出やすい。
- 灰分が少なくて風味はあっさり。
国産小麦と外国産小麦を焼き比べてみよう
実際に同じ配合でパンを作り、違いを比べてみましょう。
国産小麦2種、外国産小麦2種、合計4種類の強力粉を使用してパンを焼いてみました。
今回、焼き比べに使用する「パウンド型食パン」の詳しいレシピページはこちらです。
まずは焼き上がりを画像でチェック
春よ恋
- 北海道産
- タンパク含有量11.8%/灰分0.45%
はるゆたか
- 北海道産
- タンパク含有量11.5%/灰分0.43%
イーグル
- アメリカ、カナダ産
- タンパク含有量12%/灰分0.35%
スーパーキング
- アメリカ、カナダ産
- タンパク含有量13.8%/灰分0.42%
水分量は?
国産小麦は外国産小麦に比べて吸水が良くない。
国産小麦を使用する場合は、外国産小麦よりも水分を3〜5%程度減らすとちょうど良い。
作業性は?
国産小麦は外国産小麦よりグルテンが少なく灰分が多いので、べたつきやすい。
外国産小麦はグルテンが多いので、まとまりやすくこねやすい。
焼き上がりは?
国産小麦はボリュームが出にくい。灰分が多いものは少しくすんだ色の断面になる。
外国産小麦はボリュームが出やすく、しっかり釜伸びしてふっくら焼ける。
風味と食感は?
国産小麦は小麦の風味が豊かで甘みがあり、食感はもっちりしている。
外国産小麦は風味が軽くあっさりしていて、食感はふんわりしている。
国産小麦が人気の理由
近年では、国産小麦の風味豊かなおいしさや、日本人好みのもっちり感に人気が高まっています。
国産小麦が人気の理由としては、
- 「食の安心、安全」への意識が高まった
- 改良され作業性が良くなった
- 外国産小麦との価格差がなくなってきた
なども挙げられます。
作りたいパンや好みによって小麦粉を選んでみましょう
国産小麦は、粉の種類や収穫年度によっても質が変わるなど扱いづらいので、初心者は外国産小麦でパン作りに慣れることも一つの選択肢でしょう。
シンプルなパンには粉の風味が感じられる国産小麦、菓子パンや惣菜パンにはふわふわ軽い外国産小麦など、作るパンによって小麦粉を使い分けることも楽しいですよ。
作りたいパンや好みに合わせて小麦粉を選んでみてくださいね。