乳化について詳しく知ろう!
お菓子作りをしていると度々目にする「乳化」という言葉。なんとなくわかっているけれど、きちんと説明できるかと言われると、とまどってしまうような。そんな言葉ではないでしょうか。乳化とは何かわかりやすくお伝えできたらと思います。
乳化とは
「乳化」とは、わかりやすく言えば「水と油がよく混ざり合った状態」のことです。
本来、水と油は混ざり合わないものです。それが、振動をあたえることなどにより均一に混ざり合っていることを「乳化」といいます。
分子レベルで話すと科学的になってしまうので、それはおいておきますね。
「乳化」は食品の水と油のことだけでなく、化学品や医薬品、化粧品などいろいろなところで使われています。では、お菓子作りの「乳化」はどのようなものでしょうか?
お菓子作りでの「乳化」
お菓子作りの中でよく出てくる乳化は、
・チョコ(油)+ 生クリーム(水)
・バター(油)+ 卵(水)
です。「チョコ+生クリーム」は、生チョコやトリュフを作る際のガナッシュですね。
左は乳化されていない分離した状態。右は乳化されている状態。
「バター+卵」はいろいろなお菓子で使われますが、一番わかりやすいのはバターと同量の卵を入れるパウンドケーキではないでしょうか。
左は乳化されていない分離した状態。右は乳化されている状態。左の写真はちょっと分離しすぎてしまっているけれど、ここまでいかなくてもちょっともろもろした状態になってしまっていたら分離しかかっている状態です。
乳化しないと、どうなる?
油と水がうまく混ざり合っていない状態なので、舌触りや口溶けが悪くなります。乳化されていない「チョコ+生クリーム」は、食べればすぐに分かると思います。
見た目も悪いし、口溶けがざらっとした感じでおいしくないです。
一方、「バター+卵」は、乳化がうまくいかなくても、そのまま焼いてしまえば一応焼けるし、食べてすぐに「おいしくない」とわかるほどではないと思います。
ただやはり、きちんと乳化されたものに比べると、膨らみが悪く、焼き上がりが固くなったり、きめが粗くて、食べるとボソボソというようなことになります。
おいしいお菓子を作るためには「乳化」は大切ですね。
「バター+卵」の乳化を成功させるコツ
「チョコ+生クリーム」は、以前のコラム「生チョコ作りのコツ」でお伝えしたので、今回は「バター+卵」の乳化を成功させるコツをお伝えしたいと思います。
1. バターをクリーム状にする
卵と混ぜる前にまず、バターを柔らかくすることが大事です。バターを柔らかくしてしっかりと空気を含ませることで水分も含みやすくなるので、卵が混ざりやすくなるのです。室温に戻したバターをハンドミキサーの低速で約2分ほど泡立てていきます。なめらかなクリーム状になったらOKです。
2. 砂糖を加える
砂糖を3回に分けて入れて、ハンドミキサーの低速で約2分ほど泡立てます。全体がなめらかになり、ふわっとした状態になったらOKです。
3. 卵液を加える
さぁ、いよいよ卵を加えます。
卵が冷たいまま、または卵を一気に加えると、必ず分離するので絶対にダメです。卵は必ず室温にもどしておいてください。
夏なら30分前、冬なら1時間前に冷蔵庫からだします。でも、急に思い立って作りたいときもありますよね。もし、室温に戻すのを忘れたらボウルに人肌くらいのお湯を入れて卵を殻のまま10分くらい入れておいてください。
溶きほぐした卵を加えていきます。「3〜4回にわけて入れる」とレシピにはよくありますが、失敗しないように大さじ1ずつ加えていくことをおすすめします。
その都度、ハンドミキサーの低速で混ぜていきます。(泡立て器に替えてもいいです)
5回目を過ぎたあたりから分離してきそうになりますので気をつけて下さい。
室温に戻した卵を使っても、何回にもわけて入れても、分離してしまうときはあります。冬などで室温が低いとバターの温度が下がったり、卵の温度が下がったりしてしまうからです。
もし、分離しそうになったら40℃〜50℃の湯煎にかけて混ぜるとなめらかに混ざっていくと思います。薄力粉大さじ2くらいを加えて分離をとめるという方法もあります。卵液の水分を薄力粉が吸収して分離を防ぐのです。
湯煎にかける場合は必ず温度をはかって下さい。熱すぎてバターが溶けてきてしまっては大変です。乳化が成功すると、なめらかなクリーム状になります。
この後、粉を加えて焼くと、きめの細かいパウンドケーキが焼き上がります。
動画でおさらい
まとめ
「乳化」について、なんとなくわかっていただけたでしょうか。
お菓子作りの時に「乳化」を意識して作ってみませんか?
きっといつもよりおいしいお菓子が作れるはずです。