お菓子やパンを容器包装に入れて販売する上で必要になる食品表示。
「お菓子を作って販売したいけれど、表示ラベルの書き方がわからない」
「食品表示にルールはあるの?」
とお困りではないでしょうか?
この記事では、お菓子屋さん・パン屋さんに向けて、下記の内容について最新版の食品表示基準に沿って解説しています。
- 食品表示とそのルールについて
- お菓子・パンの販売に必要な食品表示の概要
- 食品表示の作成手順
食品表示ラベルを作成する際に参考にしていただけると幸いです。
(この記事は2023年8月に作成したものですが、適時最新版にアップデートしています。)
食品表示とは?
食品表示にか関わるルールについて確認しましょう。
「食品表示法」と「食品表示基準」
食品表示とは、消費者が正しく商品を理解し、安心して選ぶための重要な情報源です。
そのため、「食品表示法」で表示についてのルールが定められています。
違反すると行政機関からの罰則が生じるので注意が必要です。
食品表示法に基づいて、表示すべき具体的内容をまとめたものが「食品表示基準」です。
食品表示基準が食品表示を作成する際のガイドラインとなります。
お菓子屋さん・パン屋さんでは、容器包装に入れて食品を販売する場合に、食品表示ラベルの作成が必要です。
例えば、店舗販売やネットショップでの販売、マルシェの出店などでは、食品表示ラベルを貼ったうえで商品を販売します。
表示ラベルに記載する義務項目とは?
お菓子やパンは食品表示基準において「加工食品」に分類されます。
表示義務がある項目は以下の通りです。
名称 |
お菓子を分類する一般的な名称 |
原材料名 |
原材料、添加物、原料原産地情報、アレルギー情報 |
内容量 |
どれくらい入っているかの量を明記 |
消費期限 賞味期限 |
消費期限の日付もしくは賞味期限の日付 |
保存方法 |
消費期限・賞味期限までの保存方法 |
製造者 |
表示に責任を持つ業者の氏名 |
製造所 |
最終的に食品の衛生状態を変化させた場所 |
栄養成分 |
どの栄養成分がどれくらい含まれているか |
これらの情報に基づいて、下記のような食品表示ラベルが作成されます。
(1) 名称
(2) 原材料名
(3) 添加物
(4) 内容量
(5) 消費期限または賞味期限
(6) 保存方法
(7) 食品関連事業者情報
(8) 栄養成分情報
各項目の詳細は、食品表示ラベルを作成する手順の説明と併せてご紹介します。
お菓子やパンの食品表示|作成手順
【手順1】 表示を作成する商品の情報を集める
レシピをチェックする
表示ラベルを作成する商品のレシピを確認しましょう。
以下についてチェックします。
- 原材料、複合原材料の確認
- 原材料配合割合(重量)の確認
- 栄養成分の確認
使用材料の食品規格書をチェックする
商品に使用している各材料の規格書を、いつでも確認できる状態にしておきましょう。
規格書とは、詳細な商品情報が記載された書類のことです。
原材料・複合原材料の原産地や栄養成分表示、アレルゲンなどの情報を確認できます。
規格書は材料の仕入れ先に依頼すると入手できます。
【手順2】 「表示義務項目」に必要な情報をまとめる
(1) 名称
商品名ではなく、その内容を表す一般的な名称を表示します。
例えば、クッキーやマフィンなどの場合は「焼き菓子」と表記します。
一般消費者が見て、何の商品なのかがわかる名称をつけましょう。
(2) 原材料名
【手順1】で確認したレシピや食品規格書を参考に、添加物以外の原材料を使用割合の多い順に記載します。
重量第一位の材料(先頭に記載する材料)には原料原産地の表示が必要です。
アレルギー物質を含む材料がある場合、特定原材料表示をしなければなりません。
現在、特定原材料等は28品目あります。
何のアレルゲンが入っているかが一目でわかりやすいように表示しましょう。
【表示例】 パウンドケーキ
小麦粉(国内製造)、無塩バター、砂糖、鶏卵/ベーキングパウダー
(一部に小麦、乳成分、卵を含む)
上記の場合、小麦粉と無塩バター、鶏卵がアレルゲンに該当します。
そのため、特定原材料表示として「(一部に小麦、乳成分、卵を含む)」と品目を明記しています。
原材料・アレルギー表記について詳しくはこちらのコラムで解説しているので、あわせてチェックしてくださいね。
お菓子の食品表示(原材料名編)|ルール、記載方法を詳しく解説!
お菓子の食品表示(食物アレルギー編)|ルール、記載方法を詳しく解説!
(3) 添加物
商品を製造する際にベーキングパウダーのような膨張剤を使う。
使用するチョコレートの中に乳化剤が入っている。
上記のような場合は添加物を記載しなければなりません。
添加物の表示形式は、(A)(B)の2パターンが認められています。
(A) 様式枠内に「添加物」の欄を設けて表示する
(B) 「原材料名」欄に食品である原材料と明確に区分して表示する
原材料名と添加物との区分は、
といった表示方法があります。
赤文字で記載している部分が添加物です。
食品添加物については原則として物質名による表示が必要です。
ただし、物質名に用途名を併記しなければならない添加物や、使用する目的がわかる一括名により表記してもよい添加物があります。
添加物に特定原材料(アレルゲン)が含まれている場合は、その旨も記載します。
添加物表記についてはこちらのコラムをチェック
お菓子屋さんの食品表示(添加物編)|ルール、記載方法を詳しく解説!
(4) 内容量
個数やグラムなどを適切な単位で表記します。
1個の重量が3g未満のビスケット類・米菓・キャンディを密封して販売する際には、重量を計量して表示します。
1個当たりの重量が3g以上の菓子類は、個数単位で表示することができます。
(5) 消費期限または賞味期限
消費期限は品質が急激に劣化する食品に表示される期限です。
安全面から期限を過ぎたら食べない方がよい期限を表示します。
一方、賞味期限は比較的品質が劣化しにくい食品に表示される期限のこと。
品質が保持されて、おいしく食べることができる期限を表示します。
消費期限、賞味期限のどちらの場合も「年月日」順で表示が必要です。
【表示例】 2025年9月1日
(6) 保存方法
保存方法は、流通段階や家庭において可能な保存の方法を具体的に表記します。
【表示例】
10℃以下で保存してください。
直射日光を避け、常温で保存してください。
(7) 食品関連事業者情報
表示内容に責任を持つ食品関連事業者の氏名または名称、住所を記載します。
事項名は「製造者」、「加工者」、「販売者」、「輸入者」のうち、事業者が行っている行為が該当するものを表示します。
お菓子屋さん・パン屋さんの場合は、「製造者」を記載することが一般的です。
「製造者」や「加工者」と実際に製造を行った人が、名称・住所ともに同一の場合は別途表示する必要はありません。
ただし、表示に責任を持つ部署の住所と、製造所の所在地が異なる場合などは、「製造者」欄に近接した箇所に「製造所」等の事項名を使用して、製造所の住所を記載しましょう。
事業者情報の表記についてはこちらのコラムをチェック
食品表示の責任者は?「製造者」、「製造所」の記載について解説
(8) 栄養成分表示
熱量(kcal)、たんぱく質(g)、脂質(g)、炭水化物(g)、食塩相当量(g)の5項目を表示基本事項として表示します。
また、食品単位を併記します。
食品単位とは「100g」、「1個」、「1包装」などです。
以上を整理すると、食品表示義務項目が網羅できます。
ラベルプリンターを使用するなど、ラベルを出力できるようにしましょう。
食品表示ラベル作成のよくある質問
ここからは、食品表示に関してよくある質問とその回答をご紹介します。
ラベルシールの文字サイズは決まりがある?
食品表示ラベルは、消費者に見やすく、分かりやすい表示が必須です。
そのため、ラベルシールの文字やレイアウトにルールが定められています。
基本的に文字サイズは8pt(ポイント)以上。
表示面積が裏表あわせて150㎠ 以下の場合は5.5ptでも可とされています。
表示ラベル、手書きはできない?
表示ラベルについては、手書きで作成することはできません。
手書きは誤字や表記漏れが生じる可能性があるため、食品事故の発生につながる恐れがあるからです。
表示ラベルの作成は、専門業者に委託する方法もありますが、印刷機器を使用して自作も可能。
リーズナブルに印刷機器が手に入る時代ですので、コストを抑えながらラベルシールが作成できますよ。
食品表示しなくていい場合はあるの?
義務表示の特例として、以下の場合は食品表示を省略できます。
- 容器包装に入れずに消費者に販売する場合
- 設備を設けて飲食をさせる施設で、食品を提供する場合
製造している施設と同施設で販売する場合、商品に対する不明点をその場で店員に確認できるため、食品表示を貼らなくてもよい、というルールになっています。
表示義務の適用範囲については、こちらのコラムをチェック
お菓子・パンの食品表示|役割や表示義務の適用範囲を確認しよう
ただし、食品表示をしない場合であっても、消費者からの質問に答えられるように準備しておくことをおすすめします。
「一括表示」って何?食品表示との違いは?
「食品表示」と「一括表示」はどちらも同じものを指します。
つまり、一括表示は食品表示の別名です。
- 名称
- 原材料名
- 内容量
- 消費期限または賞味期限
- 保存方法
- 製造者等の名称及び住所
- 栄養成分情報
これらの事項を一括して表示することから、「一括表示」とも呼ばれます。
食品表示にはさまざまな呼び名があり、他にも「食品ラベル」「裏貼り」などと呼ばれることがあります。
呼び方は異なりますが、いずれも「食品表示」の意味合いです。
まとめ
この記事では食品表示のルールや重要性、実際の作成手順についてご紹介いたしました。
実際に表示ラベル作成してみると、疑問点が出てくるかと思います。
その場合は、製造所を管轄している自治体や保健所に問い合わせてみましょう。
食品表示法は改定されることがありますので、最新版のチェックが必要です。
消費者に商品を安心、安全、おいしく召し上がっていただくために、食品表示について正しく理解し、活用しましょう。
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