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お菓子の食品表示(食物アレルギー編)|ルール、記載方法を詳しく解説!

date
2023/08/24
writer
コッタビジネス編集部
category
販売ルール > 表示義務
お菓子やパンを容器包装に入れて販売する際に必要となる食品表示。 中でも食物アレルギーの情報は、食品事故を未然に防ぎ、消費者を守るためにとても重要です。 この記事ではお菓子やパンを販売される方に向け、下記の内容について食品表示基準に沿って解説しています。

  • 食物アレルギーに関する基本的な知識
  • アレルギー表示のルールと表示例
  • 注意喚起表示について

食品表示を作成する際のご参考になりますと幸いです。 (この記事は2023年8月に作成したものですが、適時最新版にアップデートしています。)

食物アレルギーとアレルギー表示

食物アレルギーとは、食物を摂取した際に、食物に含まれるたんぱく質などのアレルギー物質(アレルゲン)を異物として認識し、自分の体を過剰に防御することで起きる症状です。 人によってアレルギー反応が生じるアレルゲンと、反応を引き起こす量、症状が異なります。 症状は、かゆみ・じんましん・嘔吐・咳・喘息などが代表的。 しかし、重篤な場合は、血圧の低下や呼吸困難、意識障害など、生命の危機を引き起こすこともあります。 痛ましい事故を未然に防ぎ、消費者を健康被害から守るために、食品中のアレルゲンについて正確な情報提供が必須です。

アレルギー表示が必要な場合と不要な場合

販売される食品には、食品表示基準に定められた項目を満たす食品表示が必要です。 食品表示でのアレルギー表示が義務付けられているのは

  • 容器包装に入れられて販売されるアレルゲンを含む加工食品

対象外となるのは

  • 容器包装に入れて販売するアレルゲンを含む加工食品
  • 容器包装に入れて販売するアレルゲンを含まない加工食品
  • 容器包装に入れずに販売する食品(ばら売り・量り売りなど)
  • 設備を設けて飲食させる食品(飲食店で提供される食品など)

食品表示は、容器包装の表示可能面積が30㎠以下の場合に免除される項目がありますが、アレルギー表示については省略できませんのでご注意ください。 食品表示のルールについてはこちらのコラムをチェックしてくださいね。 令和5年版|お菓子・パンの食品表示|ガイドラインと作成手順をご紹介

表示の対象「特定原材料」8品目と「特定原材料に準ずるもの」20品目

アレルギー表示は、「特定原材料」と「特定原材料に準ずるもの」に区分されています。 「特定原材料」とは食品表示基準で表示が義務付けられた食品、「特定原材料に準ずるもの」とは表示を推奨される食品です。
令和5年3月9日、食品表示基準が改正され、特定原材料に「くるみ」が追加されました。 このため、経過措置期間(令和7年3月31日まで)以内に表示ラベルの切り替えを行う必要があります。

アレルゲンの表記|代替表記と拡大表記

アレルゲンの表記は、アレルゲンを含む原材料の後ろにカッコをつけて「特定原材料等の名称」を表示することが原則です。 この特定原材料の名称の他には、「代替表記」と「拡大表記」による表示も可能です。

代替表記

代替表記とは、特定原材料等と表記方法や言葉は異なっていても、特定原材料等と同じものであることが理解できる表記のことです。 例えば、「卵」は「たまご」や「鶏卵」と表記できます。 また、バター・バターオイル・チーズ・アイスクリームはその名称から「乳」を原材料としていることが明らかであるため、「乳」の代替表記として認められています。

拡大表記

拡大表記とは、表示される名称の中に「特定原材料の名称」「代替表記の名称」を含んでおり、その特定原材料を使用していることが理解できる表記のことを指します。 例えば、落花生の拡大表記には「ピーナッツバター」、「ピーナッツクリーム」があります。 特定原材料の代替表記・拡大表記の例は下記の通りです。
「卵白」「卵黄」は「卵」の文字を含みますが、食品事故防止の観点から、「卵白(卵を含む)」、「卵黄(卵を含む)」と表示するルールなので注意しましょう。 特定原材料に準ずるものの代替表記と拡大表記の例は下記の通りです。

アレルギー表示の方法|一括表示と個別表示

アレルゲンの表示は、食品表示の「原材料名」及び「添加物」の項目内に記載します。 原材料中に複数のアレルゲンを含む場合、アレルゲン同士は「・」で繋いで表示するよう定められています。 表示方法には「個別表示」と「一括表示」の2種類があり、原則的には「個別表示」が推奨されています。 使用する原材料が多い、食品表示を表示するスペースが狭いなどの理由で「個別表示」ができない場合は、「一括表示」で表示します。

個別表示

個々の原材料ごとにアレルゲンを表示する方法です。 どの原材料に何のアレルゲンが含まれているのかがわかりやすく確認できます。 原材料や複合原材料の名称の後に「(〇〇を含む)」と表示します。 添加物の場合は名称の後に「(〇〇由来)」と表示します。 個別表示は省略規定があり、同一のアレルゲンを含む原材料を複数使用している食品は、当該アレルゲンの表示は一度だけでよく、原材料ごとに繰り返して表示する必要はありません。

一括表示

使用原材料に含まれるアレルゲンを、ひとまとめにして表示する方法です。 食品中の全てのアレルゲンを一目で確認することができます。 原材料欄の最後(原材料名欄と添加物欄とを分けて表示する場合はそれぞれの最後)に「(一部に〇〇を含む)」と表示します。

表示例

下記の食品を例として、個別表示と一括表示の表示方法を確認してみましょう。 【例】 洋菓子店A 商品:チョコとナッツのクッキー 個別表示を採用した場合、下記のような表示をします。
一括表示を採用した場合、下記のような表示をします。
赤文字で表記しているものがアレルギー表示にあたります。 アレルゲンは、使用原材料の規格書をチェックして、漏れがないように表示しましょう。 食品表示の原材料名を作成する手順はこちらの記事で解説しているのでチェックしてくださいね。 お菓子の食品表示(原材料名編)|ルール、記載方法を詳しく解説!

ご存じですか?アレルギーの「注意喚起表示」

原材料表示の欄外に、「本品製造工場では○○を含む製品を生産しています」といった表示を目にしたことはありませんか? こちらは「注意喚起表示」と呼ばれる表示です。

注意喚起表示とその必要性

食品を製造する際に、原材料として使用していなくても、意図せず特定原材料が混入する場合があります。 食品製造・加工の場では、アレルゲンなどの異物が混入することを「コンタミネーション」と呼びます。 現在の食品表示法ではコンタミネーション情報についての表示義務はありません。 しかし、食物アレルギーは微量のアレルゲンであっても発症するリスクがあります。 製造ラインを分ける、特定原材料に対して専用の機材・器具を使用する、などの混入防止対策を行ったとしても、特定原材料が混入する可能性が排除できない場合は、コンタミネーションの注意喚起表示の記載をおすすめします。

注意喚起表示の書き方で注意すること

注意喚起表示は、食品表示の欄外であっても「入っているかもしれません」「入っている場合があります」というような可能性表示は認められません。 【NG例】 ✕ 本製品には小麦が入っている場合があります。 【OK例】 〇 本製品の製造ラインでは、小麦を使用した製品も製造しています。 〇 この製品は小麦を使用した設備で製造しています。 消費者の誤解を招かないよう、適切に注意喚起を行いましょう。

まとめ|正しいアレルギー表示で、安全に商品をお届けしましょう

食品表示のアレルギー表示は、食品事故を防止するために重要な情報です。 お菓子屋さん・パン屋さんは販売商品の特性上、アレルゲンを含む食材を多く扱います。 食品表示ラベルを作成する際は、抜け漏れがないか十分に確認しましょう。
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