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【原材料表示編】お菓子の食品表示ルール、表示方法を解説

date
2023/08/24
writer
コッタビジネス編集部
category
販売ルール > 表示義務
お菓子を容器包装に入れて販売するときは、食品表示を明記することが食品表示法によって定められています。 表示項目はさまざまありますが、中でも原材料名の表示はルールが複雑。 産地情報やアレルギー表示など、消費者が注目する項目でもあります。 正しく適切に表示できていますか?
この記事ではお菓子やパンを販売される方に向け、下記の内容を食品表示基準に基づいて解説しています。

  • 原材料表示のルール
  • 原材料表示の書き方、作成の流れ
  • 原材料表示のよくある質問とその回答

食品表示ラベルを作成する際の参考にしてくださいね。

原材料表示のルール|食品表示基準をもとにご紹介

原材料名で表示するものは、商品に使用する材料名です。 下記の項目を記載するよう、食品表示基準によって定められています。 (A) 原料原産地 (B) 材料に複合原材料を使用している場合は複合原材料の内訳 (C) 材料にアレルゲンが含まれている場合はアレルゲン情報 (D) 材料に添加物を使用している場合は添加物名 (E) 表示対象の遺伝子組み換え食品を使用している場合はその情報 (A)~(D)にどのような表示ルールがあるのかを具体例をもとにご紹介いたします。 ※(E)については、お菓子屋さん・パン屋さんで当てはまるケースがほとんどないと想定されるため、割愛いたします。
【原材料名表示の具体例】  商品:フルーツパウンドケーキ
食品を製造するために使用した原材料の名称を、重量割合の高いものから順に表示します。 原材料表示は消費者がわかる一般的な名称を記載しましょう。

(A) 原料原産地

商品に使用した原材料のうち、最も重量割合の高い材料(重量割合第1位)が表示の対象となります。 重量割合が2位以下の原材料については、産地の表示は任意です。 重量割合第1位の食品が生鮮食品の場合はその「産地」を表示します。 【例】 鶏卵(国産) 加工原材料(加工食品)の場合はその「製造地」を表示することを原則としています。 【例】 バター(国内製造)

(B) 複合原材料

例えばチョコレートのように、2種類以上の原材料から製造された加工食品のことを「複合原材料」といいます。 複合原材料を表示する場合は名称の後にカッコを付け、原材料を重量順に記載します。 食品によっては原材料名に記載する品目が多くなるため、複合原材料について以下の条件で省略が認められています。
(条件1) 最終製品の原材料に占める複合原材料の重量割合が5%未満の場合 (条件2) 複合原材料の名称から、含まれている原材料が明らかな場合

  • 名称に主要原材料が明示されている場合
    【例】いちごジャム、さつまいもパウダー など
  • JAS規格、食品表示基準別表第3、公正競争規約で定義されている場合
    【例】チョコレート、マーガリン など
  • 広く一般にその原材料が明らかである場合
    【例】ホイップクリーム、カラメルソース など

複合原材料の内訳を省略する場合であっても、アレルギー表示や添加物表示は省略できません。

(C) アレルゲン

使用した原材料や添加物にアレルゲンが含まれる場合には、アレルゲンを含む旨を表示します。 アレルゲン同士は「・」でつないで表記します。 表示対象品目は下記の通りです。
義務表示する8品目
(特定原材料)
えび、かに、くるみ、小麦、そば、卵、乳、落花生(ピーナッツ)
表示が推奨されている20品目
(特定原材料に準ずるもの)
アーモンド、あわび、いか、いくら、オレンジ、カシューナッツ、キウイフルーツ、牛肉、ごま、さけ、さば、大豆、鶏肉、バナナ、まつたけ、もも、やまいも、りんご、ゼラチン
くるみの義務表示化については経過措置期間が設けられていますが、早めの対応をおすすめいたします。 ※経過措置期間:2025年(令和7年)3月31日まで アレルゲン表示の仕方は2パターンあります。

(1) 個別表示

個別表示とは、原材料名の直後にカッコ書きでアレルゲンを記載する方法です。 【表示例】 マーガリン(乳成分・大豆を含む) 「小麦粉」や「アーモンドパウダー」のように原材料名にアレルゲンが含まれている場合は、アレルゲンを含む旨を省略することができます。

(2) 一括表示

原材料と添加物を記載した最後に、含まれている全てのアレルゲンをまとめてカッコ書きする方法です。 洋菓子店Aの例では(2)一括表示を採用しています。 食物アレルギーは生命の危機に関わるため、アレルギー表示は正確性が重要。 アレルギーの表示方法はこちらの記事でさらに詳しく解説していますので、あわせてチェックしてくださいね。 お菓子の食品表示(食物アレルギー編)|ルール、記載方法を詳しく解説!

(D) 添加物

添加物の表示の仕方は2パターン認められています。 (a) 様式枠内に「添加物」の欄を設けて表示する (b) 「原材料名」欄に食品である原材料と明確に区分(スラッシュを入れる、改行する)して表示する 複合原材料に添加物が含まれている場合は、併せて表示が必要ですので、漏れがないように注意しましょう。 洋菓子店Aの例では(b)を採用し、原材料欄内に表示しています。 健康志向の高まりから、消費者の注目度が増している添加物表示。 添加物の表示方法についてはこちらの記事で解説しているのでご覧ください。 お菓子屋さんの食品表示(添加物編)|ルール、記載方法を詳しく解説!

原材料表示の書き方は?作成の流れを解説

原材料表示の書き方について確認していきましょう。 フルーツパウンドケーキを例として、作成の流れをご紹介いたします。 事前に作成する商品のレシピと、原材料の製品規格書を準備しておくと作業が進めやすくなりますよ。 製品規格書は取引先に依頼すると入手できます。

ステップ1. 使用原材料と使用添加物を書き出す

レシピを参考に、商品製造で使用する原材料と添加物を書き出します。 【表示例】 原材料:ドライフルーツミックス(既製品)、洋酒、バター、小麦粉、砂糖、卵 添加物:ベーキングパウダー

ステップ2. 重量順に並べ替える

原材料を使用割合の多い順に並べます。 各原材料の製品規格書を参考に下の項目を書き出しましょう。

  • 重量第1位の原材料の産地情報
  • 複合原材料の内訳、添加物の有無

添加物:ベーキングパウダー 複合原材料に含まれる添加物:清酒、香料

ステップ3. 原材料表示を作成する

下記を踏まえて内容を整理し、原材料表示を作成します。

  • アレルゲンは個別表示か一括表示か
  • 添加物は原材料名欄内に記載するか、別枠に記載するか

洋菓子店Aの場合は アレルゲン…一括表示 添加物…原材料名欄内に記載 を採用して表示しています。

原材料表示のQ&A

原材料重量第1位が複数ある場合は?

原材料表示について、よくある質問とその答えについて紹介します。
使用割合が最も高い原材料が同量で複数ある場合は、その全てに原料原産地の記載が必要です。 同一重量の場合、その記載の順番に決まりはありません。 【表示例】 ガレット バターと小麦粉が重量第1位かつ同一重量である場合

「特色のある原材料の表示」とは?

原材料をこだわって選んでいるなどの理由で、あえて産地や製造地を表示したい場合もあるのではないでしょうか。 重量割合第1位の原材料原産地は義務として表示しなければなりませんが、それ以外の産地も表示できます。 「特色のある原材料」とは、以下のようなものを指します。

  • 特定の原産地のもの
  • 有機農産物、有機畜産物及び有機加工食品
  • 非遺伝子組み換えのもの
  • 特定の製造地のもの
  • 特別な栽培方法により生産された農産物
  • 品種名など
  • 銘柄名、ブランド名、商品名

【特定の原産地の表示例】 あずき(十勝産) 【品種名の表示例】 いちご(あまおう)

原材料表示が免除されるケースはあるの?

食品表示で省略が可能なものとして、原材料名表示、原産国、栄養成分表示があります。 これらの項目は下記の場合は表示免除されます。

  • 小さな容器(表示可能面積がおおむね30㎠以下)で販売する
  • 製造場所で店頭販売する

しかし、「衛生事項」については表示義務があります。 「衛生事項」にはいる項目は下記のとおりです。

  • アレルゲン
  • 賞味期限・消費期限
  • 保存方法
  • 添加物

これらの情報は、容器包装に入れて販売する場合には必ず表示しなくてはなりません。 食品表示の義務範囲についてはこちらの記事で解説しているので、あわせてチェックしてくださいね。 お菓子・パンの食品表示|役割や表示義務の適用範囲を確認しよう

原料原産地表示は2位以下の表示をしてもいいの?

重量割合が2位以下の原材料については、原料原産地表示は義務づけられていません。 もちろん、表示しても問題ありません。 消費者にとっては、使用原材料が詳細にわかるのは安心材料。 多くの原材料に原料原産地表示されることは好ましいことです。

水は原材料表示するの?

食品表示基準には水の表示について規定されていません。 そのためお菓子やパンの製造に水を使用した場合であっても、省略することがほとんどです。 ミネラルウォーターのように、特別な原材料として表示したい場合は表示しても問題ありません。

まとめ|正しい原材料名表示で消費者に安心をお届けしましょう

食品表示の原材料名は下記のように、消費者の関心度が高い情報が記載されています。

  • どんな材料が使用されているのか
  • アレルゲンは入っていないか
  • 食品添加物の有無

ルールに従い、適切に表示をすることがお店への信頼感にもつながります。 複雑なルールだからこそ、正しく理解した上で食品表示を行いましょう。
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