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在庫管理における棚卸しの目的・やり方とは?原価率を改善しよう

date
2023/09/05
writer
コッタビジネス編集部
category
コスト管理 > FL管理
お菓子屋さん・パン屋さん・カフェなど飲食業の店舗運営において、「棚卸し」は定期的に行う業務のひとつですよね。 棚卸しを行う意味や目的をご存じでしょうか? 棚卸しを実施し、しっかりと振り返ると、店舗経営の改善に役立つヒントが見えてきます。 この記事では棚卸しの基本知識やその目的、具体的な実践方法を詳しく解説します。 棚卸しを実施しやすくするポイントは必見です! これから開業予定の方や、棚卸しの基本的な考え方について知りたい方は、ぜひチェックしてくださいね。

飲食業の必須業務「棚卸し」とは?

「棚卸し」とは、「現在の店舗内の在庫を数え、それを記録する」という意味合いです。 一般的な棚卸しは、月に1度、製造に使用する原材料の在庫数を調べ、仕入れ価格に基づいて、在庫金額がどのくらいなのかを算出することです。 単なる作業のように捉えがちですが、棚卸しには経営を見直す指標になります。 正確に棚卸しを実施すれば、精度の高い原価計算ができるため、経営の見直しがしやすくなりますよね。 定期的に棚卸しを行い、前年と同年とを比較すると、仕入れの予測が立てやすくなるのです。 このように、棚卸しは経営計画や在庫管理の面から見て、非常に重要な業務なのです。

棚卸しの主な目的とは?

棚卸しの目的がわかると、どのようなことに気を付けて棚卸しをすべきかがわかるため、棚卸しが実施しやすくなります。 棚卸しの目的を詳しく見ていきましょう。

目的1. 仕入れを適切化させ、ムダなロスを削減させる

棚卸しを通して、どの食材がどれだけ消費されているかの傾向がつかめます。 在庫状況を数値として把握すれば、「この食材はあまり使っていないから、仕入れ量を減らそう」と過剰在庫を減らす判断ができます。 必要な量だけを適切なタイミングで仕入れることでムダを減らし、コスト削減が可能となるのです。 また、棚卸しのデータを蓄積させると季節の影響も把握できます。 季節性を考慮すれば、仕入れ量の調整がより細やかに行えます。 原価率を抑えて利益を向上させるために、棚卸しはとても重要です。

目的2. 正確な利益計算をする

棚卸しを実施すると、在庫の状況が明確になるため、売上原価の計算がより正確にできます。 例えば、仕入れた食材の全てをその月で消費するとは限りません。 前月から残っている食材を使用することもありますよね。 当月の仕入れだけで売上原価を導くことは難しいのです。 下記の式を使用し、月の売上原価を算出できます。

  • 月間売上原価=期首棚卸高+当期仕入れ高-期末棚卸 高

「期首棚卸高」とは、前期末(前月)からの在庫を繰り越した総額、つまり前月の棚卸し額です。 「期末棚卸高」とは、期末(当月)に残った在庫の総額、つまり翌月への繰り越し分のことを指します。 月間売上原価が算出できると、その月の原価率も計算できます。

  • 月間原価率=月間売上原価÷月間売上高

店舗が目標とする原価率に収まっているかチェックしましょう。 一般的に原価率は30%前後が目安です。 算出した月間売上原価から月間売上高を引くと、具体的な粗利が計算できます。

  • 粗利(売上総利益)=売上高-売上原価

粗利とは、「売上総利益」のことで、経費や税金などを差し引く前の利益を指します。 (売上総利益からさまざまな経費や税金などを引いて、最終的に残った利益を「純利益」と呼びます。) 正確な棚卸しは利益計算をより適切に行うために欠かせません。 店舗の利益確保のために重要な原価管理については、こちらの記事で詳しく解説していますので参考にご覧ください。 原価率とは?計算方法や利益を上げる原価管理のポイントを解説

目的3. 確定申告に必要

棚卸しは確定申告においても重要な役割を担います。 経営者が個人事業主の場合、確定申告に必要となるからです。 対象となる1月1日から12月31日までの利益を申告し、その金額に見合った額を納税しなければなりません。 年末の在庫数は納税額に直接関わります。 その年に仕入れた食材を、その年12月31日までに消費できればよいですが、現実的には難しいですよね。 次の年に繰り越される在庫が発生するのではないでしょうか。 繰り越された在庫は次の年の「期首棚卸高」として計算されます。 正しい納税額を算出するために、棚卸しは必須なのです。 また、ムダな在庫を持たないために、普段から棚卸しを実施して在庫をコントロールしましょう。 確定申告の際には、棚卸し結果の保存期間にも注意が必要です。 税法上、原則として青色申告で7年間、白色申告で5年間の書類保存が義務付けられています。 税務調査などがあった場合、税額計算の根拠の証明として必要ですので、忘れずに保存しましょう。

棚卸しのポイント

お店の発展のために、棚卸しの重要性をがおわかりいただけたのではないでしょうか。 棚卸しを実施しやすくするためのポイントをご紹介します。

定期的に実施する

棚卸しの頻度はその目的や必要性によって変わります。 一般的な棚卸しのタイミングとその目的は以下の通りです。

週次(もしくは日次)棚卸し

週次で行う棚卸しでは、その日もしくはその週の在庫を確認します。 使用原材料の消費量やロス状況をタイムリーに把握できるので、仕入れ調整に役立ちます。 よく使用する原材料や鮮度保持が必要な食材に関しては、毎日簡易的な棚卸しを実施し、在庫のチェックをおすすめいたします。

月次棚卸し

月次の棚卸しでは、過去1ヶ月間の在庫状況を詳細に確認し、その月の売上原価を算出します。 原価に関わる全ての原材料を対象に棚卸ししましょう。

年末棚卸し

大規模な棚卸しでは、全仕入れ商品の在庫状況を詳細に確認します。 それに基づいた原価計算を行い、その年の経営状況の把握と次の年の経営戦略を立てましょう。 また、確定申告においても重要な棚卸しなので、正確に実施しましょう。

棚卸し作業をマニュアル化する

棚卸しは店舗スタッフの誰もが行えるようにマニュアル化しておきましょう。 マニュアル化すると、誰が棚卸しを実施しても同じ結果を得ることができる上に、作業もスムーズに行えます。 店舗に新しく参加したスタッフへの業務引き継ぎにも役立ちます。 棚卸しの流れや作業手順、作業を行う頻度などを明確に書き出し、ルール化します。 例えば「薄力粉が残り○袋になったら△袋仕入れる」というように、発注依頼をする具体的な数字を決めておくと、欠品の防止になりますよね。 発注業務の際に考える時間も削減できます。

整理整頓を心掛け、棚卸しをしやすいよう工夫する

正確な棚卸しをするために、整理整頓を心掛けましょう。 おすすめは「ロケーション管理」です。 在庫を置く保管棚の段ごとに番号や記号を振り分け、食材を保管するスペースを決めておき、「どこに何があるか」を把握しやすくします。
保管のルールを決めておくのもおすすめです。 例えば期限の近い食材から使用するために、古いものを手前に、新しいものは奥へといった「後入れ先出し」をすると、ロスの削減につながります。 日頃から整理整頓しておけば、 作業の効率化やチェックミスを防止ができます。

棚卸しの方法と流れ

棚卸しの具体的な方法と手順について解説します。

事前準備|棚卸し表を作成する

まずは棚卸し表を作成しましょう。 棚卸し表とは、商品名や数量など商品の情報を記録した一覧表のことを指します。 Excel(エクセル)などの表計算ツールを使えば、下のような棚卸し表が作成できます。 テンプレートを作成しておくと便利です。
ロケーション管理をする場合は下記の2点を棚卸し表に組み込むと、棚卸し作業がよりスムーズになります。

  • 原材料を保管する場所がわかるよう、ロケーション番号を記載しておく。
  • 棚卸し表もロケーション管理の在庫位置・順番を反映して作成する。

棚卸し表に少し工夫を加えるだけでも、効率良く棚卸しが実施できます。

棚卸しの実施と結果の記録・計算

事前に作成した棚卸し表を元に、棚卸しを実施しましょう。 在庫として保有している原材料の個数や重量を量り、在庫数を棚卸し表に記録していきます。 サンプル品など無料でもらったものはカウントしません。 既に仕込み済みの原材料に関しては、在庫としてカウントする必要がありますので注意しましょう。 棚卸しをする際は、賞味期限のチェックも同時に行いましょう。 在庫が動きづらい原材料は、賞味期限チェックが行き届かない場合があります。 いざ使おうというとき、期限切れで使用できないなんてことになると困りますよね。 月に一度の棚卸しの際に賞味期限チェックをすると、店舗の商材が正しく把握できるためおすすめです。 全ての数量を確認し終えたら、在庫の合計数や総価格を算出します。 棚卸しの結果は、将来的に在庫の管理や販売戦略を考える際の重要な指標となります。 できるだけ正確に記録し、管理しましょう。

適正在庫を把握する

記録した棚卸し表を参考に、適正在庫を把握しましょう。 適正在庫とは、「欠品にならずロスも発生しない最小限の在庫数」のことを指します。 適正在庫を意識せずに仕入れを行っていると、店舗にとって不利益が生じやすくなります。 余剰の場合は、原材料を使いきれずにロスの原因に。 反対に不足の場合は、原材料が足りないことによって商品が製造できず、販売の機会を失ってしまいます。 どちらも利益の損失につながるのです。 定期的に棚卸しをする中で、原材料の消費の傾向をつかみ、適正在庫の基準値を定めておきましょう。 過去の棚卸しデータから、曜日ごとや季節ごとの1日の食材消費量を算出できます。 例えば、ひと月の原材料出庫数に対してその月の日数(28~31日)で割ると、1日あたりのおおまかな原材料消費量を計算できますよね。 このように棚卸しは実施するだけでなく振り返りを行うことで、原材料の消費量傾向がつかみやすくなり、仕入れの調整をしやすくなります。 過剰在庫や欠品を防止でき、ロスによる損失を抑えられるため、より健全な店舗経営ができるのです。

棚卸しの注意点

棚卸しを行う際の注意点を確認していきましょう。

人的ミスに注意する

棚卸しは正確性が重要です。 人的なミスに注意しましょう。 よくあるミスは以下のようなものが挙げられます。

  • カウント漏れ
  • 数え間違い
  • 記入ミス
  • 記録漏れ
  • 類似商品を誤ってカウントしてしまう

ミスが発生すると、正確な在庫数が分からなくなります。 結果的に利益・資産の把握ができないという問題につながります。 慎重に作業を行い、できるだけミスをなくしましょう。

在庫数だけでなく品質もチェックする

棚卸しを行う際は、数量だけでなく品質も同時に確認しておきましょう。 在庫に破損や状態不良などがあった場合は、経理上「損金」として処理できます。 また、今後の販売が難しい季節性の商品やイベント性の高い商品なども「損金」あつかいとなる可能性があります。

棚卸し表は7年間保存する

棚卸しの結果を記録した「棚卸し表」は、棚卸し実施日から最低7年間の保存が国税庁により定められています。 また、平成30年4月1日以降に欠損金が発生した年度の棚卸し表は、10年間の保存が義務付けられています。 棚卸し表は決算にも関わる重要な書類です。 紛失しないようにしっかりと管理しましょう。

まとめ|棚卸しを定期的に実施し、ムダのない在庫管理をしよう

棚卸しは手間のかかる作業ではありますが、店舗の経営状況を把握するために重要です。 毎月実施し、データを蓄積していけば、仕入れ調整にも役立ちます。 また、確定申告前に実施する棚卸しについては、税金の額に関わるため正確に実施しましょう。 棚卸しは人手がいる作業ですので、マニュアルを作成し、店舗スタッフの誰もが対応できるようにしておくことがおすすめです。 棚卸し表を作成し、スムーズに行えるように日頃から整理整頓を心掛けましょう。 棚卸しを実施し、適切な在庫管理をすることで、より健全な店舗経営を目指しましょう。


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