パンやお菓子をはじめ、食品の販売において品質と安全性は非常に重要な要素ですよね。
日頃からの衛生管理の徹底は欠かせません。
そこで重要なのが、食品衛生責任者の存在です。
本記事では、食品衛生責任者とは何か、なぜその資格が必要なのかについて詳しく解説します。
さらに、食品衛生責任者の資格を取得するために必要な手続きや養成講習会の受講方法についてもご紹介します。
お菓子屋さん・パン屋さんの開店をお考えの方、手作りのお菓子やパンなどの販売にチャレンジしたいとお考えの方はぜひチェックしてくださいね。
食品衛生責任者とは?役割や必要性について
食品衛生責任者は、パン屋・お菓子屋・カフェ・飲食店・食品工場など、食品の衛生管理が必要な事業を行うときに必須となる資格です。
どのような役割なのか、その必要性を確認していきましょう。
食品衛生責任者の役割とは?
食品の衛生責任者は、食品衛生法に定められた資格です。
食品衛生法に基づく営業施設ごとに、食品衛生責任者を配置することが義務付けられています。
設置が必要な施設はお菓子やパンをはじめとした食品の製造所や販売所、カフェ、飲食店などです。
1施設に1人の食品衛生責任者が必要です。
1人が複数の店舗を兼任することはできませんので注意しましょう。
食品衛生責任者の具体的な役割として、食品衛生法では以下の2つを定めています。
・都道府県の講習会を定期的に受講して、食品衛生の最新情報を把握すること
・経営者と協議しながら衛生管理計画を作成して従業員を指導すること
引用:e-Gov法令検索 「食品衛生法施行規則」第66条の2、別表第17
つまり、食品衛生責任者は食品衛生の最新情報を把握しておかなければなりません。
また、食品の品質や安全性を確保するために、規定や指導方針を作成し、施設・店舗の従業員に対して衛生管理を指導する必要があります。
食品衛生法を遵守し、食中毒や食品事故を未然に防ぐことが食品衛生責任者の役割なのです。
なぜ食品衛生責任者が必要なの?
どうして食品衛生責任者の資格が必要なのでしょうか?
それは、食品の品質と安全性を守るためには、徹底した衛生管理が不可欠だからです。
食品は消費者の健康と直結するものですよね。
衛生管理が不十分だと、食中毒や食品事故の原因となり、消費者の健康被害につながりかねません。
常に最新の衛生知識を持ち、衛生管理に関する規制やルールに従って業務にあたることで、お客さまに安全で安心な食品を提供できるのです。
食品衛生責任者不在での営業や、名義貸しなど他人名義で営業をした場合、食品衛生法違反による行政処分の対象となります。
営業停止や営業許可の取り消し、2年以下の懲役または200万円以下の罰金が科される恐れもあるので、注意しましょう。
食品衛生管理者との違いは?
食品衛生責任者と混同されやすい資格として「食品衛生管理者」があります。
両者の主な違いは、扱う食品です。
【扱う食品】
食品衛生責任者 |
食に関わる施設であれば、ほとんどの場所で選任する必要がある |
食品衛生管理者 |
食品衛生管理者の設置義務がある特定の食品を取り扱う製造工場のみ選任の必要がある |
なお、食品衛生管理者の資格を取得した場合には、食品衛生責任者の資格取得が免除されます。
食品衛生責任者の資格は、食品の販売や製造を営む全ての施設に取得が義務付けられています。
したがってパン屋やお菓子屋、カフェなどを開業するためには、食品衛生管理者ではなく食品衛生責任者の資格を取得することになります。
食品衛生責任者になるためには?
食品衛生責任者になるためには、下記のどちらかの条件を満たす必要があります。
1. 食品衛生責任者と同等の資格を持つ
次の食品関連資格を所持している場合、食品衛生責任者の資格を持つと認められます。
- 調理師
- 製菓衛生師
- 栄養士
- 船舶料理士
- と畜場法に規定する衛生管理責任者
- と畜場法に規定する作業衛生責任者
- 食鳥処理衛生管理者
- 食品衛生管理者または食品衛生監視員の資格要件を満たす者
養成講習会の受講を免除される条件が異なる場合があるため、必ず地域を管轄する自治体の保健所やWebサイトで確認をとりましょう。
2. 資格者養成講習会を受講する
食品関連資格を保持していない場合、養成講習会を修了することで食品衛生責任者の資格を所得できます。
計6時間ほどの養成講習会を受けたあと、確認試験に合格すれば資格が付与されます。
食品衛生責任者養成講習会の受講方法
資格者養成講習会は、管轄の保健所や食品衛生協会によって実施されます。
地域によって日程や受講料が異なりますので、Webサイトでチェックしましょう。
受講は「集合型講習会」と「eラーニング講習会」のどちらかを選択できます。
「集合型講習会」は会場に赴き、講習の受講と確認試験を行います。
「eラーニング講習会」はカメラ機能付きパソコンとインターネットの環境があれば、オンラインで受講できます。
この記事では例として、一般社団法人東京都食品衛生協会が実施している、資格者養成講習会の「集合型講習会」受講の流れを紹介します。
受講を申し込む
各都道府県の自治体や食品衛生協会の公式Webサイトから受講を申し込みましょう。
申し込みが完了すると、受講票が届きます。
全国の食品衛生協会の一覧はこちらをご参考になさってください。
>> 全国の食品衛生協会
講習会に参加する
集合型講習会の場合は、受講票や受講料などを持参して会場で講習会に参加します。
東京都の食品衛生責任者養成講習会では、講習内容が次の3つに分かれています。
- 公衆衛生学(0.5時間)
環境衛生や労働衛生について
- 食品衛生法(3時間)
食品衛生法や衛生管理に関わることなど
- 食品衛生学(2.5時間)
主要な食中毒や食中毒を防止するための対応など
講習会は午前から始まり6時間で終了しますので、1日あれば資格取得が可能です。
受講料は受講日当日に現金で支払います。
なお、料金は各都道府県で異なるのであらかじめ確認しておきましょう。
確認試験を受ける
最後にテストを受けます。
難易度はさほど高くなく、講習会で勉強した内容を理解していれば落ちることはないようです。
確認試験に合格すると、受講修了証(食品衛生責任者手帳)が交付されます。
食品衛生責任者の氏名を掲示する、食品衛生責任者プレートも購入可能となります。
食品衛生責任者の資格に関するよくある質問
食品衛生責任者の資格に有効期限はあるの?
食品衛生責任者の資格には期限はなく、更新もありません。
一度取得すれば使用し続けられます。
お店において食品衛生責任者の変更がある場合は更新手続きが必要です。
ただし、お店の菓子製造営業許可証には有効期限があります。
営業許可証を更新する際に実務講習の受講が必要です。
取得した都道府県以外でも資格は有効なの?
食品衛生責任者の資格は、全国のどこでも有効です。
他県に転居した場合でも使用できます。
受講修了証を紛失してしまったら?
修了証を紛失した場合、再発行の手続きが必要です。
各自治体の公式Webサイトで再発行に必要な書類を確認しましょう。
また、名義変更があった場合にも再発行が必要となります。
食品衛生責任者プレートはつけないとダメ?
食品衛生法の改正により、食品衛生責任者の氏名を掲示する義務はなくなりました。
しかし、責任を明確にすることや施設の衛生管理に対する意識向上、お客さまの安心という観点では、氏名掲示は有効です。
プレートは食品衛生協会にて販売されています。
プレートを設置する場合は、営業施設内の外来者から見やすい場所にプレート(縦23cm以上、横5cm以上)を掲示しましょう。
まとめ|衛生管理者は食品関連事業に必須の資格
食品衛生責任者は、パン屋・お菓子屋・カフェ・飲食店・食品工場など、食品の衛生管理が必要な事業には欠かせない資格です。
食中毒や食品事故を未然に防ぎ、お客さまの健康を守ることが食品衛生責任者の役割です。
食品衛生責任者講習会の受講は、管轄の地域の食品衛生協会で申し込みできます。
「食の安全」を守るという役割を理解した上で、法令を遵守しながら食品衛生責任者の選任と設置を進めましょう。
また、お菓子やパンを販売する際には「菓子製造業許可」を取得しなければなりません。
菓子製造業許可の申請や取得方法についてはこちらの記事で詳しく解説していますので、あわせてチェックしてくださいね。
菓子製造業許可を取るには?申請の手順や必要設備を詳しく解説
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