お菓子・パンを容器包装に入れて販売する際に、必要となる食品表示ラベル。
食品表示ラベルは食品表示基準が定めたルールに基づいて、原材料名やアレルゲン、賞味期限、食品を販売する事業者名などを記載しなければなりません。
栄養成分表示について「どうやって表示すればいいの?」「自分の店舗の商品にも必要なの?」と迷ったことはありませんか?
この記事ではお菓子やパンを販売される方に向けて、栄養成分表示のルールや適切な記載方法について食品表示基準に沿って解説します。
食品表示ラベルを作成する際にぜひチェックしてみてくださいね。
「栄養成分表示」とは?表示する目的
下記は焼き菓子(クッキー)の食品表示ラベルの例です。
★マークの部分が今回説明する「栄養成分表示」の項目です。
栄養成分表示とは、食品にどのような栄養成分がどのくらい含まれるかを一目でわかるようにしたもの。
食品の栄養成分の表示に一定のルール化を図り、消費者が食品を選択する上で適切な情報を得ることを目的としています。
栄養成分表示は、全てのお菓子に必要なの?
原則として、全ての加工食品に栄養成分表示が義務付けられています。
ただし、小規模事業者が販売する加工食品は栄養成分表示の省略が可能です。
「小規模事業者」とは、課税売上高が1000万円以下、または従業員20人以下(輸入業・販売業の場合5人以下)の事業を指します。
注意が必要なのは、小規模事業者が製造を担当し、小規模事業者ではない事業者から消費者に販売する場合は、栄養成分表示が必要という点です。
例えば、スーパーや百貨店の催事、道の駅などに卸す場合が上記に当てはまりますので気を付けましょう。
その他、下記の場合には小規模事業者でなくても栄養成分表示の省略が可能です。
- 容器包装の表示可能面積がおおむね30㎠以下であるもの
- 酒類
- 栄養の供給源として寄与の程度が小さいもの
【例】 コーヒー豆やその抽出物、ハーブやその抽出物、茶葉やその抽出物、スパイスなど
- 極めて短い期間で原材料やその配合割合が変更されるもの
【例】 日替わり弁当のように3日以内にレシピが変更されるもの(サイクルメニューを除く)
- 販売しないもの
【例】 サンプル品、来店者プレゼントなど
- 食品を製造・加工した場所で販売するもの
【例】 製造所と販売所が一緒の店舗、インストア加工の場合など
- 量り売り、ばら売りなど、包装せずに販売するもの
まずは栄養成分表示が必須となるかを確認しましょう。
ネットショップでオンライン販売する際、商品販売ページに栄養成分を掲載する場合があります。
消費者庁はインターネット販売をする食品の栄養成分表示について下記のように記載しています。
消費者へ適切に情報提供をするという観点から、ECサイトにおいても、できる限り食品表示基準に準じた表示方法で掲載するよう心掛けましょう。
引用元:消費者庁「インターネット販売における食品表示の情報提供に関するガイドブック 」
ネット販売では購入時に実物を見られません。
詳しい情報を掲載することで、店舗への信頼感が上がり、売上アップにつながることもあります。
栄養成分表示の記載ルール
栄養成分を表示する場合の記載ルールについてチェックしましょう。
1. タイトル
最初に「栄養成分表示」と表示します。
これ以外の表示は認められないので注意しましょう。
2. 食品の単位
表示する栄養成分が、その食品のどの量に対するものなのかを「食品単位」として表示します。
食品単位は「100g」もしくは「100ml」、「1食分」、「1包装」のように表示します。
「1食分」、「1包装」と表示する場合には「1食分(100g)」のように、具体的な量(g、ml、個数など)を併記しましょう。
3. 表示項目と順番
表示が義務付けられている項目は下記の5つです。
- 熱量(エネルギー)
- たんぱく質
- 脂質
- 炭水化物
- 食塩相当量
表示する順番が決められており、「熱量」→「たんぱく質」→「脂質」→「炭水化物」→「食塩相当量」の順で記載します。
その他、任意で表示される栄養素は下記の通りです。
表示できる栄養成分
- 糖類
- 糖質
- コレステロール
- ビタミン類
- ミネラル類
4. 表示値と単位
栄養成分等の含有量は、一定値(〇g)、または下限値および上限値による幅表示(〇~〇g)で表示します。
表示単位は、栄養成分ごとに定められています。
熱量は「kcal」もしくは「キロカロリー」。
たんぱく質・脂質・炭水化物・食塩相当量は「g」で表示しましょう。
また、値は必ず最小表示の位まで表示しなければなりません。
表示単位はそれぞれの栄養素で異なります。
ただし、※1、※2の栄養成分及び熱量は、100g(飲用に供する液状の食品では100mlml)当たりで「0と表示することができる量」以上ある場合は、「0」と表示はできません。
表示の位を下げ、有効数字1桁以上を表示します。
栄養成分含有量を一定値で表示する場合、その食品の賞味期限内での分析値が、表示値を基準とした「許容差の範囲」内である必要があります。
例えば、主要な栄養成分(熱量、たんぱく質、脂質、炭水化物、食塩相当量)は、表示値の±20%が許容差となります。
栄養成分により許容差の範囲は異なりますので、詳細は
「食品表示基準 別表第9」をご確認ください。
5. ただし書き
日本食品標準成分表のような公的な食品成分表データベースから栄養成分を算出した場合、食品表示基準で定められた分析方法によって得られた値と一致しない可能性があります。
そのため、栄養成分表示に近接して「推定値」または「この表示値は、目安です。」と記載します。
なお、食品表示基準で定められた方法で栄養成分分析を行った場合は表示の必要はありません。
その他
表示する文字の大きさは、食品表示ラベルに記載する他の表示項目と同様に8ポイント以上です。
ただし、表示可能面積がおおむね 150㎠ 以下の場合は、5.5 ポイント以上の大きさの文字でも認められます。
表示スペースの関係で枠の表示が難しい場合は省略が可能です。
栄養成分表示をする手段
栄養成分を表示する方法は分析によって表示する方法と、データベースに基づいて算出する方法の2つがあります。
どちらの方法でも、行政機関等の求めに応じて表示値の設定根拠を説明できる資料として、必ず保管しておきましょう。
分析により表示する場合
国や公共団体の検査機関に食品に含まれる栄養素の分析を依頼し、栄養成分を表示する方法です。
分析によって表示値を求める際は、原材料の個体間差や季節間差、生産地間差、生産者間差等の変動要因を把握・考慮する必要があります。
検査期間は下記に掲載されていますので、参考にご覧ください。
独立行政法人 国民生活センター
「食料品を扱う商品テスト機関」
データベースに基づいて計算し、表示値を算出する場合
分析以外の方法により表示値を求める場合は、食品栄養価のデータベースを活用する手段があります。
【データベースの代表例】
日本食品標準成分表 2020 年版(八訂)
日本食品標準成分表を基にした食品成分データベース
上記に基づいて作成された栄養価計算ソフトも販売されています。
作成する食品表示ラベルが多い場合は、機関に分析を依頼する方法よりもコストを抑えられます。
お店の予算にあった手段で栄養成分表示を作成しましょう。
栄養成分表示についてよくある質問
詰め合わせ商品の栄養成分表示は?
例えばクッキー缶や焼き菓子の詰め合わせセットなど、数種類の商品を詰め合わせた商品の場合、どのような栄養成分表示になるのでしょうか?
詰め合わせ商品の場合、栄養成分表示は商品ごとに表示しなくてはなりません。
【例】クッキー缶
ただし、詰め合わせる商品の1つ1つに包装・食品表示をし、外装からその表示内容が見える場合は、改めて外装に表示を貼る必要はありません。
食品成分表に掲載されていない原材料を使っている場合は?
食品成分表には掲載されていない原材料や既製品を使用して商品を製造することもありますよね。
このような場合は、使用原材料の包装や規格書にある原材料の栄養成分を参考に、栄養成分量を計算します。
原材料の規格書は仕入先から入手できますので、問い合わせてみましょう。
まとめ|栄養成分表示が必要か、まずは確認しよう
栄養成分表示は、消費者が食品を選択する上で適切な情報を提供することを目的とした表示です。
近年の健康志向の高まりもあり、栄養成分に注目する消費者もいます。
栄養成分表示は原則全ての加工食品に義務付けられています。
ただし、小規模事業者に当てはまるなど表示が免除される場合がありますので、まずはお店で必要なのかを確認しましょう。
表示が免除される小規模事業者であっても、小規模事業者に当てはまらないスーパーや百貨店などに卸す場合は、栄養成分表示が必要となるので注意しましょう。
栄養成分を表示する方法は下記の2つがあります。
- 機関に依頼して分析する方法
- 公的なデータベースを参考に算出する方法
お店の予算に合わせて作成し、食品表示基準のルールに沿って記載しましょう。
食品表示についてはこちらの記事で詳しく解説しているので、あわせてチェックしてくださいね。
お菓子・パンの食品表示|表記ルールや書き方を徹底解説【2024年版】
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