お菓子作りに欠かせないメレンゲに注目!
口当たりのよいムース、ふわふわなシフォンケーキ、サクサクとしたマカロン。どのレシピにも欠かせないモノ・・・それはメレンゲ。お菓子を作る人であれば必ず作ったことがあるはずのメレンゲについて、今回クローズアップしてみました。
そもそもメレンゲって?
卵白にお砂糖を加えて泡立てたモノ、それがメレンゲです。
「卵白を泡立てる。」そうやって言葉にするとシンプルですが、透明な卵白をかき混ぜるとモコモコと泡状になっていく・・・これってとっても不思議じゃないですか?
なんで卵白は泡立つのかな?
そもそも卵白の成分はなんでしょう。
答えは、水分とタンパク質です。
水だけをバシャバシャしても、もちろん泡立ちません。そこで水に洗剤を加えてバシャバシャすると、泡立ちます。
しかし、泡はすぐに消えてしまいますよね。それは、石鹸には泡を保つ性質がないためです。そう、卵白が泡立ちメレンゲになる秘密はタンパク質にあるのです。卵白のタンパク質のスゴイところは、空気を抱え込み泡立つ性質とそれを保つ性質を兼ね備えているのです。
水はギュッと丸まりたい性質(表面張力)が強いのです。それが水だけでは泡立たない理由、中に空気を含んだ「泡」という状態はいやなのです。卵白に含まれるタンパク質はその性質を弱めてくれるので卵白の液は泡になるのです。
ちなみにお肉を煮込んだ時に出てくるアクも原理は同じ。あれはお肉から煮汁へ溶け出したタンパク質が泡立ってできたものなんです。
タンパク質とは
三大栄養素の1つであるタンパク質。
ところでタンパク質って・・・なんだ?と言いますと「たくさん(1万個以上)のアミノ酸が手をつないで集まったモノ」です。
タンパク質はたくさんの種類があります。「アミノ酸」というメンバーは違えば、「タンパク質」というチームの形も大きく変わります。
卵白に含まれるもの、大豆に含まれるもの、お肉に含まれるもの・・・爪や髪の毛だってタンパク質からできています。ね、全く形や性質が違うでしょ? でも、どれも生き物には大切なものなのです。私たちの身体の中で働く多くのホルモンや酵素だってタンパク質。血管を通って私たちのカラダ全体に酸素を届けるのもタンパク質なんです。
タンパク質の大きな性質として「変性」というものがあります。タンパク質はアミノ酸の列がぐにゃぐにゃと独自の形を作っています。それが、大きな力によって形が変化してしまうのです。それを「変性」と呼びます。
身近な例が目玉焼きです。透明でドロッとした卵白は火を通すと白く固まります。それは、熱という大きな力でタンパク質の形が変化したからなのです!
この「変性」が、メレンゲの泡がすぐに消えずに保たれる理由の1つです。「空気に触れる」という大きな力が変性を引き起こし、膜状に固くなります。それによって、絞り袋で思いのままの形を絞りだせるほどしっかりとした泡ができるのですね。
どうしてお砂糖を加えるの?
メレンゲにはお砂糖を加えます。これは単に「甘さを足す」ことが理由ではありません。お砂糖には卵白の泡を安定させる力があるのです。
お砂糖が溶けたシロップってベタベタしますよね。そのベタベタが実はミソ。メレンゲに加えたお砂糖は水分にくっついて粘度が高まって膜に安定性をもたらします。
しかし、粘度が高いと泡立ちにくいのでメレンゲを作るときは始めは卵白のみで泡立てて、少しずつお砂糖を加えて粘度を上げて泡を安定させていきます。これがお砂糖を数回に分けて加える理由であります。
キレイなボウルを使うのはどうして?
僕のレシピでも、メレンゲが登場するときは必ず「キレイなボウルで作りましょう」と念押ししています。その理由は、汚れが泡を壊してしまう可能性があるからです。試しに実験してみましょう。
実験:油汚れが泡を壊す?
しっかり洗って乾かした清潔なボウルにサラダ油を塗り、この中でメレンゲを作っていきます。
こちらが出来上がったもの。全体は白くなっていますが、かさが少なく、ゆるく泡立てたクリームのようです。空気を含んだ膜が壊れていると考えられます。これではケーキは膨らみません。
ボウルやホイッパー、ハンドミキサーの羽根をキッチンの空気にさらしたままでいると、油汚れが付着していてメレンゲがうまくできない可能性があります。メレンゲを作るときは直前に洗剤で洗っておくことがオススメです!
最後に・・・
空気をたっぷり含んだメレンゲは卵白に含まれるタンパク質の特性を活かしたモノなんです。これからも、メレンゲを使っていろんなお菓子作りを楽しみましょうね^^