メレンゲに加える砂糖について知りたい!
卵白と砂糖を泡立てて作るメレンゲの中で、最もオーソドックスなフレンチメレンゲ。
このフレンチメレンゲを作る際、加える砂糖は一般的に「2~3回に分ける」とされています。
では、この“2~3回”にはどんな意味があるのでしょう?
今回は、砂糖を加える回数とタイミングについて考えてみたいと思います。
フレンチメレンゲの泡立て方
卵白60g(割卵したてのもの)・グラニュー糖30gでフレンチメレンゲを作ってみましょう。
作り方
- ハンドミキサーの低速で卵白をほぐし、均一にする。
- 全体が泡状になりツノ…というよりは山のようになれば、砂糖の1/3を加える。
- 砂糖をなじませた後再び泡立てる。さらにボリュームが出てツノが立てば、残りの砂糖の半量を加える。
- 同様にして3回目の砂糖を加える。
- しっかりツノが立つまで泡立てる。
メレンゲの変化としては、砂糖が加わるごとに気泡のきめが細かくなっていき、ボリュームもどんどんアップ。
砂糖には、卵白の泡立ちを抑える働きと気泡を安定させる働きがあり、メレンゲを作る際にぼそぼそ(分離)してしまうのを抑えてくれます。
きめ細かくなめらかで、しっかりしたメレンゲを作り上げることができるのは、砂糖のおかげなのです。
砂糖を入れる回数による比較
砂糖が入ると気泡は安定します。ですが、気泡に対しその割合が多過ぎると、泡立ちを抑える力が強過ぎてボリュームを出すことができません。
ここでは、砂糖を3回に分けて加えたものと一度に加えたものの状態を比較してみましょう。
*卵白の状態をそろえるため、「業務用凍結卵白」を使用。分量・泡立て方は先ほどと同様。
左が「砂糖を3回に分けたもの」、右が「砂糖を一度に加えたもの」。画像は同時間ごとに撮影しています。
25秒経過(砂糖投入)
+20秒(左は2回目の砂糖投入)
+20秒(左は3回目の砂糖投入)
+15秒
砂糖を一度に加えたもののほうが、泡立ちが悪く、粘り気が多いのが分かりますね。
ハンドミキサーで泡立てているので、このまま立て続ければ後30秒ほどで同じようなツノの状態までもっていくことは可能。ただ、ボリュームはやや少ない仕上がりです。
卵白と砂糖
メレンゲの奥が深いところは、卵白の状態・卵白と砂糖の割合・砂糖を加えるタイミングなどで仕上がりが変わること。
目的のお菓子によって変えたり、作り手によって変わったりすることもあります。
例えば回数でいうと、分けるの?一度に入れちゃうの?と、いろいろなレシピを見るごとに悩んでいませんか?
卵白と砂糖の関係と働き、タイミングによる違いをざっくりでも把握すると、イメージが湧きやすくなると思いますよ♪
砂糖なしだとメレンゲはどうなる?
砂糖を3回に分けて加えたものと比較して、卵白のみで泡立てたものを見てみましょう。
左が「砂糖を加えたもの」、右が「砂糖なしのもの」。同時間で撮影しています。
砂糖を加えなくてもきれいに泡立っているように見えるかもしれませんが、きめは粗く、とても不安定。その証拠に、手を止めるとすぐに分離が始まります。
砂糖を3回に分けて加えたものは先に泡立てて放置していましたが、砂糖なしのものは泡立てた直後。安定性の違いは歴然ですね。
砂糖を入れても失敗する理由は?
砂糖をちゃんと加えているのに分離してしまうのはどうして?とお悩みの方もいらっしゃるでしょう。
それは、卵白に対して砂糖の分量で安定させることができる限界を超えて泡立ててしまっているからです。
卵白に対して砂糖が同量入るレシピと、1/3しか入らないレシピでは、同じ立て方はできません。
卵白に対する砂糖の分量が少ないほど安定が悪いので、加えるタイミングは早くなります。
逆に言うと、卵白に対して砂糖の分量が多くなればなるほど、砂糖を加える度にしっかり泡立てないとボリュームが出せないということ(例外はあります)。
個人的には、卵白に対して砂糖が1/3程度だと、軽く全体が泡立った後、一度に投入。
卵白に対して同量の砂糖が入るのであれば、今回ご紹介した画像より、もっとしっかり泡立ててから次の砂糖を加えていきます。
「砂糖を3回に分けてください」と聞くことが多いのは、卵白に対して半量~同量の砂糖が入るレシピが多いからではないでしょうか。
そのくらいの割合のメレンゲを必要とするお菓子が多いということですね。
動画でおさらい
よく見ることの大切さ
「メレンゲが苦手、よくわからない」というお声をよく聞きます。
でも、ある程度の範囲であれば致命的な失敗にはなりません。
分離する前にはつやがなくなってきてボウルの縁から変化が見られ、砂糖を入れ過ぎれば粘りと重さが出ます。
まずはボウルの中のメレンゲをよーく観察してみて(ハンドミキサーを早くしすぎないのもポイント!)。
その繰り返しが大切だと思います!