世界遺産から発見された天然酵母
パン酵母のひとつである「白神こだま酵母」。
世界遺産・白神山地から発見された野生の酵母で、自然な甘みと豊潤な風味のパンが焼き上がります。
今回は、「白神こだま酵母ドライ」の特性や使い方についてご紹介。
インスタントドライイーストとの違いについても解説します。
白神こだま酵母とは?
白神こだま酵母とは、秋田県と青森県の県境にまたがる世界自然遺産・白神山地の腐葉土の中から発見された酵母。
何種類か発見された酵母をふるいにかけ、発酵力や風味において最もパン作りに適した酵母として残ったものが、白神こだま酵母なのです。
白神こだま酵母の6つの特性
1.種起こし不要
種起こしが不要なのが、白神こだま酵母の一番のポイント。
天然酵母のパンは、種起こしや元種作りで1〜7日間かかるものが多いですが、白神こだま酵母なら、思い立ったらすぐにパン作りができます。
2.発酵力が強く、短時間で焼き上がる
天然酵母でのパン作りは、生地作りから焼き上げまでに半日ほどかかります。
白神こだま酵母は天然酵母の中でも発酵力が強いので、3時間程度と短時間で焼き上げが可能。
3.甘みがあり、しっとりとして日持ちがする
白神こだま酵母は、他の酵母よりトレハロースという糖を多く含んでいます。
そのため、少ない砂糖や油脂量でも、ほんのり甘いパンに。
また、しっとりやわらかい食感が長持ちします。
4.国産小麦と相性が良い
発酵の際、炭酸ガスの発生スピードが比較的緩やかな白神こだま酵母。
グルテン含有量が少ない国産小麦からできるグルテン膜との相性が良く、ふんわりもちもちしたパンが焼けます。
炭酸ガスの発生スピードが速いインスタントドライイーストには、グルテン含有量の多い小麦が適しています。
5.生地を冷凍保存できる
マイナス30℃の環境下での白神こだま酵母の生存率は100%。この特性はパン生地にも適応されるため、冷凍耐性に優れているといえます。
白神こだま酵母で作ったパン生地は、一次発酵後の状態で冷凍保存が可能。
2週間ほどなら、好きなときに解凍して焼くことができます。
6.使い勝手が良い
白神こだま酵母は、ドライタイプがメジャー。
賞味期限も長く、未開封のものは製造年月日から1年半ほど。
開封したものは冷蔵庫で保存し、3か月程度で使い切ってくださいね。
白神こだま酵母の使い方
使用量
粉に対して、白神こだま酵母は2%ほどを目安に。
使い方
- 使用する白神こだま酵母の約3倍量のぬるま湯(30〜35℃)を用意する。
- ぬるま湯に酵母を振り入れ、5分間程度置く。
- 混ぜて酵母を溶かし、他の材料とあわせる。
*ぬるま湯はレシピの水分量から取り分けます。
インスタントドライイーストとの違い
インスタントドライイースト
- 発酵力の強い酵母を集め、純粋培養したもの。乳化剤やビタミンCを添加したものも。
- 粒子は細かくさらさらしていて、酵母の香りは薄め。
白神こだま酵母
- 自然界で採取した酵母で、添加物を一切加えずに作られたもの。
- 色が濃く、みそのような強い発酵臭がある。
発酵時間は?
同じ酵母量だと、安定した発酵力をもつインスタントドライイーストが短時間で発酵します。
インスタントドライイーストと同じような発酵時間で作りたい場合は、白神こだま酵母を1.5倍量に。
ただし、粉量の2%を超えてしまうと、酵母の風味が強く出すぎるのでおすすめしません。
こね上げ温度
白神こだま酵母で作った生地のこね上げ温度は、32℃程度がベスト。
26〜28℃のインスタントドライイーストに比べると高めです。
白神こだま酵母を使ったくるみパンのレシピ
酵母のおいしさを感じられるように、砂糖と油脂は控えめに。相性の良いくるみと合わせました。
材料
- 強力粉…200g
- 水…130g
- 砂糖…8g
- 白神こだま酵母ドライ…3g
- 塩…3g
- 無塩バター…10g
- くるみ…40g
下準備
- くるみは150℃のオーブンで約15分間ローストし、砕いておく。
- 材料を常温にする。
- 分量の水から15gを取り分けて30~35℃に温め、白神こだま酵母を振り入れて5~10分間置く。
スプーンなどで混ぜてしっかり溶かす。
作り方
- ボウルにバターとくるみ以外の材料を入れて混ぜる。
- 生地を広げて、くるみの1/2量を散らして生地を折る。
- ひとつに丸めてとじ目を下にしてボウルに入れる。
- 生地を手で押さえてガスを抜き、5等分にして丸める。
- 生地のガスを抜いて丸め直し、手で押して少し平たくする。
- オーブンシートを敷いた天板に並べ、真ん中を押して形を整える。
- 湿気のある暖かい場所で、約2倍の大きさになるまで二次発酵。
- 200℃のオーブンで13分~焼き色が付くまで焼けば完成。
水気がなくなれば手でこね、生地がつながってきたらバターを入れてなめらかになるまでこねる。
同じように残りのくるみを生地に入れて、両手で生地をもむようにして均等に混ぜ込む。
ラップをして暖かい場所で、2〜2.5倍の大きさになるまで一次発酵。
乾燥しないようにボウルをかぶせ、15分間休ませる。
ドレッジで5か所に切り込みを入れる。
発酵が終わる少し前に、オーブンを200℃に設定して予熱を始める。
「白神こだま酵母のくるみパン」の詳しいレシピページはこちら。
動画でおさらい
まとめ
気軽に風味豊かな天然酵母パンが作れる白神こだま酵母。
ぜひ使ってみてくださいね!