クッキー作りに使われる油脂といえば
バターを使って焼くことが多いクッキー。でも、マーガリンや液体油脂(菜種油・米油・太白ごま油など)を使ったクッキーのレシピもありますよね。
使う油脂を変えると、作業性や見た目、味や食感はどう変わるのでしょうか。
実際に作って比較してみたいと思います。
クッキーを作って比較してみよう
今回はそれぞれの油脂で型抜きクッキーを作り、生地作り~焼き上がりまでの各工程で比較しました。
比較に使用する3種の油脂
バター
- 食塩不使用のもの。
- ミルクの風味豊か。
マーガリン
- 食塩不使用の植物性。
- 無味無臭。
液体油脂
- サラダ油・菜種油・米油などいろいろありますが、今回は太白ごま油を使用。
- 透明で無味無臭。
比較条件
- 生地は全て同じ配合で作る
- 一晩寝かせた後に型抜き
- 同じ温度と時間で焼成
配合
- 薄力粉…120g
- 油脂(バター・マーガリン・太白ごま油)…50g
- グラニュー糖…50g
- 全卵…20g
生地作りの比較
バター
- バターを室温に戻してクリーム状に混ぜたら、砂糖を加えて白っぽくなるまで混ぜる。
- 卵を入れて混ぜる
- ふるった薄力粉を加えてヘラで混ぜる。
マーガリン
- マーガリンを室温に戻したらクリーム状に混ぜ、砂糖を加えて白っぽくなるまで混ぜる。
- 卵を入れて混ぜる。
- ふるった薄力粉を加えてヘラで混ぜる。
マーガリンの特徴
- マーガリンはバターよりもやわらかく、すぐに室温に戻る。
- クリーミング性が良いのでクリーム状にしやすい。
液体油脂
バターやマーガリンのように、クリーム状にする必要がない液体油脂で作るクッキー。粉と砂糖を混ぜたところに油を加える製法もよく見られますが、今回は比較のため同じ工程に。
- 太白ごま油に砂糖を加えてなじませる。
- 卵を加え、乳化するようにしっかりと混ぜる。
- ふるった薄力粉を加えて混ぜる。
液体油脂の特徴
- バターやマーガリンよりもやわらかくベタついた生地になる。
型抜きの比較
バター
冷蔵庫から出したばかりの生地は、きれいに型抜きできる。
マーガリン
バターよりも生地がやわらかいが、冷蔵庫から出してすぐならばきれいに型抜きできる。
生地がダレるのが速く、やわらかくなってしまうと型抜きがうまくいかない。
液体油脂
冷蔵庫から出してすぐの状態だと、細かい抜き型を使用したものはポロポロと崩れる。
少し室温に出しておくと型抜きできるが、バターやマーガリンのものより生地がベタついてやわらかいので型抜きしにくい。
液体油脂の生地ならではの違い
生地を寝かさず、すぐに焼くことが多い液体油脂を使用した生地。
それは、すぐに焼かないと油が表面にしみ出して色や風味が悪くなってしまうから。
一晩寝かせた今回の生地も、表面から油がしみ出ているのが見えます。
焼成後の見た目・味・食感の比較
見た目
断面
バター
- サクサクとした食感。
- 口に入れるとバターの風味が広がり、食べ終わった後もバターの風味が残る。
マーガリン
- 見た目はバターとほぼ変わらず。
- 食感もサクサクとしている。
- マーガリン自体が無味無臭なため、バターのような風味はない。
液体油脂
- バターやマーガリンよりも表面が平らで、若干焼き色がつきやすい。
- 食感はザクザクとしていて、歯応えを感じる。バターやマーガリンのようなサクホロな感じはなくかため。
- 太白ごま油は無味無臭なので、バターのような風味はない。粉の味を感じる素朴な味わい。
違いが出るのはなぜ?
バターやマーガリンには、「ショートニング性」という性質があります。
バターやマーガリンをクリーム状にするのは、生地中でフィルム状に分散させやすくするため。これにより、グルテンができにくくなったり、デンプンが結び付いたりするのを防ぎ、サクサク感につながります。
液体油脂にはこの「ショートニング性」がないため、サクサクとした食感にならないのです。
バターとマーガリンを使い分けるなら?
マーガリンを抹茶味やココア味などのクッキーに使うと、バターの風味がしないことで素材の風味が引き立ちます。
バターの風味と作業性を両立させたいなら、バターを加えたコンパウンドマーガリンという選択も。クリーム状にしやすいというマーガリンの作業性の良さもありつつ、バターの風味が楽しめる仕上がりに。
液体油脂を使うときの注意点
今回は比較のために同じ配合にしましたが、液体油脂を使ったレシピは、生地がベタつかないようにバターよりも少なめのものが多くあります。
バターを使用したレシピをそのまま液体油脂に置き換えると、失敗する可能性もあるので気をつけてください。
仕上がりの違いをイメージして選ぼう
クッキーのレシピを検索していると、バター・マーガリン・液体油脂といろいろな油脂を使ったものがあります。
油脂の違いを理解していると、どんな食感のお菓子ができるかイメージしやすいですよね。
それぞれ良いところをいかしたお菓子作りの参考にしてみてください!