作り方の違いで出来上がりは変わるのか検証してみた
共立てと別立て。お菓子作りが好きな方なら、もうこの言葉の意味はご存知ですよね。
そう、二つは卵の泡立て方法のことで、読んで字のごとく、前者は「卵黄と卵白を分けずに共に泡立てる方法」、後者は「卵黄卵白それぞれ別々に泡立てる方法」のことを言います
。共立てと別立て、いつもレシピに書いてあるように作ってはいるものの、実際にどんな違いがあるの?どんな差が出るの?もしかしたら、説明できる方は少ないかもしれません。私も然りです。
そこで早速、お菓子作りの基本、ジェノワーズ(スポンジ生地)を二つの方法で作ってみて、その差を比較してみることにしてみました!
ジェノワーズで実験
材料(直径15cm1台分)
卵黄・・・40g
卵白・・・80g 共立ての場合は同じボウルに測ってOKです。
グラニュー糖・・・78g
薄力粉・・・66g
バター・・・20g
牛乳・・・10g
*今回は正確な実験結果を出すために、共立ての際にも卵黄の重さと卵白の重さを各々計量し、全て同じ状況に揃えました。
共通の下準備
・粉は2度ふるっておく。
・バターと牛乳は同じカップに入れ、湯せんで溶かし温めておく。
・型に合わせてカットしたオーブンシートを敷いておく。
・オーブンを170度に予熱する。
簡単な手順
1.卵を泡立てる。
2.粉を入れる。
3.バター、牛乳を入れる。
4.型に流し入れ、約30分焼成する。
*共立ての際には、卵液(卵+糖)を湯せんでひと肌まで温めてから泡立てます。
*別立ての際には、卵黄の方に一握りの糖を入れ、残りは3回に分けて、卵白に入れます。
実験結果~共立てと別立ての違い~
膨らみ
焼きあがりはどちらも同じくらいの高さ。別立てのスポンジのみ冷めた時に少ししぼんでしまい、結果側面にはしわが寄り、高さも低くなってしまった。
断面の気泡
別立ての方がやや大きく、共立ての方がきめ細かい印象。
食感
若干ではあるが、共立ての方がもろく、口どけが良い印象。生クリームをサンドしショートケーキに仕上げてしまえば大差を感じない。どちらもおいしい(笑)。
共立てと別立て、使い分ける必要なし?
おいしさに差がないなら、泡立て方法を変える必要はないんじゃない?
そう思われてしまうかもしれませんね。
シフォンケーキで追加実験
実は上の実験の後、本来別立てで作るシフォンケーキも、共立て別立て、二つの方法で試してみました。もちろん配合は全く一緒です。
実験結果
今度は出来上がりを待つまでもなく、作っている過程で、色々な気付きがありました。
シフォンケーキにはジェノワーズよりも多くの水分と油分が入ります。その為、卵黄に全ての材料を加えしっかりと乳化をさせた後に、力強く泡立てた卵白で気泡を足していくようなイメージなのです。
しかし、共立てだと、泡立てた卵に重たい液体を加えることになり、せっかく作られていた気泡が潰されてしまい、卵白の水分で乳化も難しい印象でした。
共立てで作ったシフォンケーキも美味しく頂きましたが、やはりその特性から、シフォンケーキは別立てで作ったほうが断然美味しいと思いました。
共立てと別立てはお菓子の特性に応じて使い分けが必要
シフォンケーキで気付いたように、お菓子にはそれぞれの特性があり、その特性を最大限に引き出すために共立てと別立て、二つの方法を使い分ける必要があります。以下は私が製菓学校で習った知識をもとに、共立て、別立てで作り分けるお菓子について少しまとめてみました。
共立て
・ジェノワーズ・・・きめが細かく、かつ口どけの良い「もろさ」が最大の魅力。
別立て
・ビスキュイ・・・卵黄、卵白別々に泡立てるので、配合も自由自在に操れる。
求めるメレンゲを作ることにより、求める食感を再現しやすい。
・シフォンケーキ・・・しっかりとコシのある中に大きな気泡を抱いているふわふわの生地が魅力。
おまけ
今回この記事を書くにあたって色々と検索した結果、実はジェノワーズは別立てで作る方も多いよう。理由としては、卵白は、「全卵よりも泡立てやすいから」だそうです。
確かに、メレンゲは手で簡単に泡立つ一方、全卵はハンドミキサー等がないと、なかなか泡立ちません。それに、レシピにも記載しましたが、泡立ちにくいがゆえに、湯せんで温めたりなどする補助作業が必要になります。初心者さんだと、その温度の見極めや、泡立ち終了の見極めも難しいようです。
私が実際に食した結果では、同じ配合だとどちらも大差なく美味しく頂けましたので(笑)、初心者さんは、別立てからチャレンジしてみるのも良いかもしれませんね^^