準強力粉ってどんな小麦粉?強力粉との違いをチェックしよう
日本では、含まれるタンパク質の量や質によって「強力粉」「準強力粉」「中力粉」「薄力粉」と分類されている小麦粉。
パン作りには、タンパク質量の多い強力粉と準強力粉が使われています。
今回は、この中から「準強力粉」に注目して解説。
準強力粉と強力粉でフランスパンを焼き比べ、違いと特徴を見ていきましょう。
準強力粉とは
準強力粉とは、主にフランスパンなどのハードパンを作るときに使われる小麦粉。「フランスパン専用粉」と呼ばれることもあります。
タンパク質含有量10.5~12.0%を目安とし、タンパク質量が高い硬質小麦を主原料とした、グルテン質が強い小麦粉です。
タンパク質量は強力粉と比べると少ないのですが、灰分量(ミネラル分)が多いのが特徴。
生地の弾力はやや弱いですが、緩やかなのびのある生地になります。
パリッとしたクラストと噛み応えのあるクラムで、香ばしい風味のパンを焼き上げることができるので、フランスパンやドイツパンなどのハード系パン、クロワッサンやデニッシュペストリーなどに向いています。
また、焼き菓子や中華麺に使われることも。
強力粉・中力粉・薄力粉と準強力粉の違いは?
「強力粉」「中力粉」「薄力粉」についても特徴を確認しておきましょう。
強力粉
タンパク質含有量11.5~13.0%を目安とし、準強力粉と同じ硬質小麦を主原料とした、グルテン質が強靭な小麦粉。
タンパク質量が準強力粉より多く、灰分量は少なめ。
生地の弾力は強くてのびがとてもよいので、ふっくらとしてボリュームのあるパンが焼けます。
ソフトな食感が求められる食パンやテーブルロール、菓子パン作りにおすすめです。
中力粉
タンパク質含有量8.0~10.5%を目安とし、タンパク質量があまり高くない中間質小麦を主原料とした、グルテン質がやわらかい小麦粉。
強力粉と薄力粉の中間ぐらいのタンパク質量なので、適度な弾力と伸展性があり、主にうどんなどの麺類を作る用途として使われます。
薄力粉
タンパク質含有量6.5~8.0%を目安とし、タンパク質量が低い軟質小麦を主原料とした、グルテン質が弱い小麦粉。
タンパク質量が少ないのでグルテンの形成が抑えられ、ふんわりとしたやわらかい食感に仕上がります。
スポンジケーキやクッキーなどお菓子全般、天ぷらなどのお料理に。
準強力粉と強力粉でフランスパンを焼いてみた
準強力粉と強力粉でどのような違いがあるのか、配合と工程を同様にしてバゲットを焼き、徹底比較してみました。
配合
- 準強力粉または強力粉…200g
- モルトパウダー…0.5g
- 水…135g
- インスタントドライイースト…1.2g
- 塩…4g
生地のこね
準強力粉または強力粉・モルトパウダー・水で2分間こね、オートリーズ20分間。
インスタントドライイーストを加えて1分間、続いて塩を加えて8分間こねる。
こね上げ温度は準強力粉が23.5℃、強力粉が24℃。
準強力粉
- グルテンの力が弱いので生地はやわらかく、少しベタつきがあり、横に広がってダレてくる感じ。
- 伸展性はよいが、グルテン膜はやや厚め。
強力粉
- グルテンの力が強いので生地には弾力があり、ベタつきはなくサラッとなめらか。
- 伸展性はとてもよく、グルテン膜は強く、薄くのびる。
一次発酵
26℃ 90分間 → パンチ → 60分間
準強力粉
- 生地の弾力が弱く、やわらかい。
- パンチの前後ともに横に広がるように、約2.5倍に膨らむ。
- パンチ後は生地に弾力がついてきて、伸展性もよい。
強力粉
- 生地の弾力が強く、ハリがある。
- パンチの前後ともに丸く上方向に約2倍に膨らむ。
- パンチ後は弾力と伸展性のどちらも力強さを感じる。
最終発酵
26℃ 60分間~
準強力粉
- 発酵時間は65分間。
- 横方向に緩むように膨らむ。
強力粉
- 発酵時間は75分間。
- 縦方向にボリュームが出てハリのある膨らみ方。
焼成後の見た目
準強力粉
- 濃い焼き色。
- クープが開き、フランスパンらしい棒状。
強力粉
- 明るい焼き色。
- 準強力粉に比べて大きく膨らみ、ボリュームのある形。
断面
輪切りと横割りにカットして、断面を見てみましょう。
準強力粉
- 大小の気泡がランダムに入っている。
- 気泡数は少なめで、気泡膜は厚め。
- クラムの色は黄色味を帯びている。
強力粉
- 準強力粉に比べると小さな気泡が入っている。
- 気泡数は多く、気泡膜は薄め。
- クラムの色は白い。
食感と味わい
準強力粉
- パリッとしたクラストと、もっちりとしたクラムのバランスがよく、噛み応えのある食感。
- 香ばしい香りとうまみもあって味が濃く感じられる。
強力粉
- クラストは引きが強く噛み応えがあり、クラムはふんわりとやわらかくて軽い食感。
- 香りは穏やでクセがなく、淡白な味わい。
まとめ
生地のこねから焼成まで、準強力粉と強力粉ではひと目見てわかるくらい違いがありました。
どちらの小麦粉でもおいしく作ることはできましたが、より本格的なフランスパンの風味や味・食感を求めるなら「準強力粉」がおすすめです。
他の小麦粉で準強力粉は代用できる?
準強力粉がないときは、強力粉7~8割に対して薄力粉を2~3割の割合で混ぜれば、代用とすることも可能です。
準強力粉と同じとはなりませんが、いざというときのヒントに。
準強力粉を使ったおすすめレシピ
準強力粉で作るおすすめレシピをご紹介します。
バゲット
小麦の風味と香り・甘味が感じられる、飽きのこないフランスパンです。
『オートリーズで作る フランスパン「バゲット」』のレシピページはこちら。
カンパーニュ
cotta無水調理鍋を使って、初心者の方にも作りやすいようにしたレシピです。
『素朴な味わいの田舎パン「カンパーニュ」』のレシピページはこちら。
準強力粉の特徴を生かしたパン作りを
今回は準強力粉について詳しく解説しました。
準強力粉は、タンパク質含有量や灰分量などがフランスをはじめとしたヨーロッパの小麦粉に近くなるようにつくられた小麦粉。だからハード系のパン作りには最適。
ぜひ、バゲットやカンパーニュなどのハードパン作りに使ってみてくださいね。