パン作りの基本的な材料
パン作りの基本的な材料は何かご存知ですか?
粉・酵母・塩・水。
リーンなパンは、たったのこれだけでできています。
粉と水、そしてパンを膨らませる酵母も必要なのはわかるものの、必ずと言っていいほど「塩」を入れる理由は?
以前のコラムで油脂の違いでの比較、そして油脂の役割について書いたことがありました。
「パンに使う油脂を変えると焼き上がりは変わる?」
今回はパン作りでの塩の役割や塩を入れたパンと入れないパンとを比較して、できるだけわかりやすくパンに塩を入れる理由がわかっていただけるコラムになればと思います。
塩の役割は?
パン作りでの「塩の役割」は何でしょうか?
- 味
- 生地(グルテン)を引き締める作用
- 酵母の発酵を抑制する作用
味付けです!料理でも塩加減はとても大切な味付けの一つですね。
よく「生地がダレる」という言い方をしますが、このダレを抑制してコシのある生地にしてくれるのも作用の一つです。
良く言えば、過発酵を抑制してくれる働きとも言えますね。
ちょっと難しい理由はさておき、この三つがわかりやすく大きな塩の役割になります。
「塩入り」「塩なし」の比較をしてみましょう
実際に山形食パンで比較をしたいと思います。
条件
- 安定性のあるパン酵母(イースト)に国産小麦を使用
- 二つのボウルに同じ粉、材料を同分量入れ、塩を入れたものと入れていないものを用意
- ニーダーを使い、こね時間も同様に作業
生地の違い、発酵の違い
一次発酵後の違い
ニーダーが一台しかないため、先に「塩入り」をこねたので15分間程の時間差があったのですが、「塩なし」の方が発酵が早く、ほぼ同じ発酵具合になりました。
こね上がりは、「塩なし」の方が若干べとつきのある生地に感じました。
ホイロ/二次発酵後の違い
「塩なし」の発酵が早かったこともあり、ここからはほぼ同時に分割・まるめ・成形をしました。
写真を見るとわかりますが、今回の二次発酵ではほとんど差は見えないですね。
焼き上がりの違い
外見の違い
「塩入り」の方がボリュームがあるようです。
上面の違い
「塩なし」の方が焼き色が薄いですね。
これは塩が入っていないことで発酵が進み、酵母のエサである糖が生地中から減り過ぎてしまった結果、焼き色が薄くなったように思います。
高さの違い
「塩入り」の方が窯伸びが大きく、高さがありますね。
グルテンを引き締める作用はパンのコシや引きに影響が出ますし、窯伸びにも影響が出ることがわかります。
クラムの違い
山食は、基本的に角食よりキメが粗くなりますが「塩なし」はさらに粗く、気泡もまるいようです。
何より大きな味の違い!
今回の比較でこれが一番大きな違い!味は写真ではわからないのでお伝えしにくいのですが、少し驚くパンなんです。
「味がしない」だけでなく、粉の旨味も甘味も引き出されていないようです。
正直なところ、とてもまずいんですね…。塩や塩分のある材料を全く入れない料理といった感じでしょうか。
塩味。味付けの大切さがとてもよくわかりました。
塩なしパンはちょっと塩を多めにしたフレンチトーストに♪
比較してみた結果
今回の比較の結果では、最初にお話した塩の役割、
- 味付け
- 生地(グルテン)を引き締める作用
- 発酵を抑制する作用→過発酵を抑制する作用
上記をしっかり確認することができました♪
塩なら何でもいい!?
「塩」といっても、本当にたくさんの名前と種類の商品が売られていますね。
食塩・減塩しお・岩塩・〇〇の塩など…。
ですが、塩は何でもいいワケではないんです。
中でも「減塩しお」は塩化ナトリウムに塩化カリウムが混ぜられています。
塩化カリウムは「塩味」のかわり。だからこそ減塩になるんですね。
その他にも旨味、ミネラル分が多く含まれた塩もあります。
味付けの部分は除いて、今回の比較でいう「塩」は「塩化ナトリウム」のことと考えてくださいね。
パン作りには大切な塩
パン作りに大切な塩。
塩の役割を考え、実際に比較をしてみた今回のコラム。
写真は少し地味ですが、コラムらしいコラムになったのではないかと思っています。
皆さんの今後のパン作りのお役に立ちますように。