ローソン×cottaコラボ
第3弾 金井史章シェフ
2024年4月に開始したローソン×cottaコラボ企画。大好評だった第一弾、第二弾に続き、ラストを飾る第三弾がスタート! メニューの共同開発を手がけた、cottaイチ推しのシェフ6名の魅力をご紹介するとともに、今回発売する商品や、お菓子作りへの思いについてもお届けします。
※新潟エリア含む関東全域で発売。
※但し、新潟エリアのみ2週間のみの限定発売となります。
「ふんわり口溶け苺クリームオムレット」
海外からも多くのファンが訪れる、東京・九品仏の「INFINI(アンフィニ)」。洗練された雰囲気の店内で、にこやかに迎えてくれたのは、オーナーパティシェの金井史章さんです。
パリの三ツ星レストラン「レストラン ギイ・サヴォア パリ」などで経験を積み、東京・青山のビストロ「ブノワ」、ミニャルディーズ(小菓子)専門店「UN GRAIN」でのシェフパティシエを務めるなど華々しい経歴を経て、2020年に自身の店「INFINI」をオープンしました。
シェフのチャーミングで温かなお人柄とスタイリッシュな佇まいを形にしたような、美しいケーキや焼き菓子などがお店にずらり。
パン店からスタートしたパティシエへの道
「高校生のときにアルバイトをしていたのは、近所のパン屋さん。もっと知識を深めたいと思い、学校で専門的に製菓を学んだあと、就職をしたのは日本にフランスパンを伝えたフィリップ・ビゴ氏の『ビゴの店』です」
この道に進むきっかけになった原点のパンも、お菓子とともにINFINIに並びます。
20代前半のころ、パンから製菓部門への異動がきっかけで、お菓子と深く向き合うことになったという金井シェフ。
「当時、フランスで働いてた古﨑義丸シェフ(「代官山シェ・リュイ」)の案内で初めてフランス国内を巡ったり、フランスから帰国された鎧塚俊彦シェフ(「トシ・ヨロイヅカ」)と出会って本場の味を教えていただいたり。
これまで自分が身を置いていたのと全く違う世界を知って菓子作りにのめり込み、フランスへの憧れもいっそう募っていきました」
「縁」が広げてくれた新しい世界
31歳で渡仏が叶ったシェフが働くことになったのは、 パリの三ツ星レストラン。
「『ビゴの店』で取り扱っていた輸入食材会社の社長さんにご紹介いただき、ご縁をつないでくださった方たちのおかげで『レストラン ギイ・サヴォア パリ』で働けることになりました。
言葉も不自由なうえに初めてのレストラン勤務だったので、がむしゃらに行動し、何でも吸収しようと、毎日懸命に働いていましたね」
半年たったころ、同系列の一ツ星レストラン「ル・シベルタ」のシェフパティシェ代理に抜擢され、2つの店を並行して経験を積むことに。ビザの問題で帰国を余儀なくされたあとも、ギイ・サヴォア氏が、友人のアラン・デュカス氏が手掛けるレストラン『ブノワ』の東京店に金井シェフを紹介してくれたそう。
「さまざまなご縁のおかげで、今の自分があるんです。
無限という意味の『INFINI』には、幾重にも重なるたくさんの縁がこれからも無限に続くようにという思いと、最大限の感謝の気持ちを込めました」
記憶に残る香りの「お菓子」
その後、世界的にも珍しいミニャルディーズ(フランス語で上品、可憐という意味を持つ、小さな菓子)の専門店「UN GRAIN(アン グラン)」の立ち上げに参加。初代シェフパティシエに就任した金井シェフが、当時、展示会で出会ったのが国産のベルガモットです。
「香りのマジシャン」とも称される金井シェフを虜にしたベルガモットは、紅茶のアールグレイフレーバーにも使われる柑橘類。主にイタリアなどで生産され、日本ではほとんど栽培されていません。
「私が出会ったのは高知の生産者さん。彼らが作る、高品質で香りの高いベルガモットに魅せられて、INFINIのスペシャリテ『パルファン』にも使っています」
「香水」という名前がつけられたケーキは、ベルガモットの白いムースを主軸に、中にはジャスミンとバラのブリュレ、いちごのジュレを。
ベルガモットのゼスト(皮)と、皮から抽出して蒸留した精油が織りなす、魅惑的な香りが箱を開けた瞬間から広がります。
「さらに、色を鮮やかに閉じ込めたローズの花びらを仕上げに施しています。無農薬で栽培される奥出雲薔薇園のオリジナル品種『さ姫』は、芳醇な香りが魅力です。
フランスの作家プルーストによる小説『失われた時を求めて』の中で、主人公が紅茶に浸したマドレーヌを口にした時に昔の記憶を蘇らせ、幸福感に包まれるシーンがあります。
香りは心を癒し、嬉しい記憶を思い出させてくれるもの。
私も、記憶に残り、また食べたいと思っていただけるようなお菓子を作っていけたらと思っています」
口溶けと香りのハーモニーをワンハンドで
ローソン×cottaのコラボ企画で、金井シェフが手がけたのは「ふんわり口溶け苺クリームオムレット」。
「INFINIで人気のショートケーキをヒントに、片手で気軽に食べられるお菓子を考えてみました。
この日、見せていただいたのは、家庭で作れるようにアレンジしたバージョン。
「ビスキュイは、液体油脂やはちみつを使い、しっとりとした食感に仕上げています。
クレームパティシエール(カスタードクリーム)と生クリームを合わせたクレームディプロマットをのせ、その上に、いちごとラズベリーのピュレを合わせた果汁感たっぷりのコンフィチュールを絞ります。
いちごを飾ったら、いちごのコンフィチュールを合わせたクレームシャンティ フリュイ ルージュを。
粉糖をふって、でき上がりです。
ふんわり口溶け苺クリームオムレット
レシピを見るいちごとビスキュイ、2種のクリームの口溶けのハーモニーと、それぞれの香りを楽しんでください。
いちごの代わりに、甘酸っぱいグレープフルーツを合わせるのもおすすめですよ」
お菓子は人を幸せにする「種」
今後もひとつひとつの出会いと縁を大切にしながら、旬の恵みのおいしさを子どもたちに伝えたり、日本の素材の素晴らしさを海外にもっと発信していきたいという金井シェフ。
お店の中央に置かれたドゥミセックには、それぞれに「GRAIN(グラン=種)」という名前をつけています。
「お菓子は、種のような存在。やがて種がいろいろな場所で花を咲かせて、お菓子から幸せを感じていただける。そんなひとときのお手伝いができるような仕事をしていきたいです」
撮影/広瀬貴子、cotta(ローソンコラボ商品画像) 取材・文/singt
1998年に国立辻製菓専門カレッジ卒業後、「ビゴ東京」に入社。2009年に渡仏し、三つ星の「レストラン ギィ・サヴォア パリ」に入社。在籍中にグループ店の一つ星レストラン「ル・シベルタ」でシェフ・パティシエ代理を兼務。帰国後、2011年東京・青山のビストロ「ブノワ」にシェフ・パティシエとして入社。2014年「UN GRAIN」立ち上げに携わり、シェフ・パティシエに就任。2020年、東京・九品仏に自身の店「INFINI」をオープン。国内外のホテルや調理専門学校などで監修、講習会講師、コンサルティングなども務める。